近鉄の経営改善策 | 京阪大津線の復興研究所

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大津線とは、京阪の京津線と石山坂本線の総称です。
この大津線の活性化策を考えることが当ブログの目的です。
そのために、京阪線や他社の例も積極的に取り上げます。

1) 35kmまでの特急料金を値下げして需要を喚起し、総収入の増加を図る

昼間時(10~16時発)に限り、特急料金を名鉄と同額の360円まで下げます。35kmで区切る理由については「近鉄の特急政策(2)」の記事をご参照ください。


2) 近鉄丹波橋―京都間と吉野線内・志摩線内の特急料金を値下げする

昼間時100円、それ以外は200円に設定して需要を喚起し、総収入の増加を図ります。丹波橋―京都間はわずか6.0km、約6分ですが、大きな荷物を持った旅行客や出張客が京阪から新幹線に乗り継ぐ場合などはそれなりに重宝されるでしょう。同区間で生じる空席を活用する観点からも効果的です。


3) 近鉄奈良―国際会館間に有料の「準特急」を設定する
共に経営不振に苦しむ近鉄と京都市営地下鉄の連携策です。地下鉄烏丸線に近鉄の特急車両を乗り入れさせる提案もあるようですが、ホームドアの改修などに数十億円程度を要すると試算されており、現実的ではありません。


こういう時こそ「L/Cカー」の出番ではないでしょうか。L/Cカーはロングシートとクロスシートの切り替えができるデュアルシートを備えた車両で、関東の大手私鉄の指定席車として大流行していますが、最初に導入したのは近鉄です。


ただ、近鉄のL/Cカーは烏丸線直通車両と比べて車体全長が220 mm長く、京都市営地下鉄の保安装置に対応させても乗り入れできるかは微妙です。また、指定席車としての運用を想定しておらず、枕をプラスチック製にするなど、特急車両との差をつけるためにわざと居住性を落としている感があります。



近鉄L/Cカーの車内

 

居住性は近鉄側の問題ですが、相互直通が初めから予定されていたのに車体全長を合わせなかったのは京都市交通局側の責任です。ここは、2023年度中に2本の増備が予定されている地下鉄の20系を、L/Cカーに設計変更するのが良いでしょう。幸い、車両メーカーは近鉄と同じ近畿車輛です。


その際、枕をクッション入りにするのは当然として、背ずりをできるだけ厚くして座り心地を高め、京王電鉄のL/Cカー5000系の増備車にならってリクライニング機能を持たせることが望まれます。さらに、戸袋窓を設けて眺望を改善するとともに、できれば車端部もデュアルシートにしたいところです。


2024年秋導入予定の近鉄の新型L/Cカーのうち、「準特急」に充当する編成は20系の増備車と仕様を統一します。この豪華版L/Cカーをどこまで増やすかは評判次第ですが、それ以外の編成もせめて枕だけは改善すべきでしょう。京奈特急の乗車率が低迷している現状を踏まえると、今後の展開次第では一部を「準特急」に差し替える選択もあり得ます。

 

まずは、平日朝ラッシュ時の上りと夕ラッシュ時の下りに2本ずつ、土休日の午前中と夕方に1往復ずつの運転から始めるのが妥当です。停車駅は近鉄奈良・大和西大寺・高の原・新田辺・大久保・近鉄丹波橋・竹田・地下鉄京都―国際会館間の各駅とし、烏丸線内と平日の近鉄線内は増発、土休日の近鉄線内は近鉄奈良―国際会館間の急行の一部を置き換えるものとします。


指定席料金は烏丸線内200円、近鉄線内300円を基本とし、近鉄丹波橋ー竹田間のみ100円に設定します。上りの地下鉄京都以北と下りの大久保以南は、料金不要の自由席車として開放します。平日朝ラッシュ時の上りは地下鉄京都から混雑しますが、先行列車の2分後を続行させればクロスシート状態でも対応できると思われます。

 

 

4) 中古車両を購入する
近鉄は昭和40年代に製造した車両約450両を置き換える方針を示していますが、当然ながら多大な費用と時間を要します。この問題を緩和するため、中古車両の購入を行うべきでしょう。


まずは京都市営地下鉄の10系です。6両固定編成なので、主に大阪線の各駅停車の運用に就けるのが良いでしょう。

 

昭和56年製の初期車両は順次20系に置き換えられる予定です。すでに2編成が廃車されましたが、まだ7編成残っています。これを逃す手はありません。ただ、7本のうち1本は、早ければ今年の8月24日に搬出されてしまいます。一刻の猶予も許されません。


さらに、阪神本線の2代目5001形と武庫川線の5500系が有力な候補です。共に高加減速車の「ジェットカー」ですが、武庫川線にそんな性能は不要であり、1000系の2両編成で十分です。阪神から5500系の2両×4本を購入し、何かとダイヤの制約が大きい奈良線に4両編成で走らせるのが効果的です。


準急と区間準急の停車駅を河内小阪から八戸ノ里に変更して緩急接続すれば、各駅停車を6両から4両に短縮できる目途が立ちます。もともと奈良線の大阪府内は大部分が職住近接地帯であるため、駅ごとの乗客の入れ替わりが多い一方で混雑は集中しにくいのです。


5001形も4両編成ですが、今年の6月18日時点で2編成が廃車されており、残る6編成も来年度までに全車引退する見込みです。こちらも急がなければなりません。


5001形は昭和50年代の製造であり、近鉄の置き換え対象車よりはまだしも新しいのです。阪神から譲り受け、5500系と同じく奈良線の各停運用に就けるのが効果的です。
 

 

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