わたかわ 鉄道&旅行ブログ

乗り鉄&旅好きの20代男子が全国を巡る!

特急「かささぎ」デビュー目前! 終着駅「肥前鹿島」ってどんな街?

 

2022年8月12日(金)

やってきたのは福岡県の博多駅。本日はこれより「佐賀県鹿島市」へ向かいたいと思います。

既に複数のメディアでも報じられている通り、2022年9月23日にいよいよ西九州新幹線が開業します。ただし当面の間は直接博多駅へ乗り入れることはなく、武雄温泉~長崎駅間での先行開業という形になっており、残る博多~武雄温泉駅間については新幹線と接続する在来線特急を運行させて利便性を図ります。

ここで今回注目したいのが、佐賀県鹿島市の中心駅である「肥前鹿島駅」。在来線特急〔かもめ〕が運行されている現在においてこの駅は博多~長崎駅間のいわば”本線ルート上”にあり、全ての特急〔かもめ〕が停車する主要駅として位置づけられています。

しかし新幹線開業後、新幹線とリレー特急の接続駅は現在の本線ルート上にはない武雄温泉駅。すなわち在来線特急〔リレーかもめ〕も新幹線〔かもめ〕もこの肥前鹿島駅を通ることなく、現在と異なるルートが新たな博多~長崎駅間の本線ルートとなります。

そこでJR九州では、本線ルート上から外れてしまう肥前鹿島駅へ向けて博多方面から代替特急を運行すると発表しました。その名も特急〔かささぎ〕。従来の在来線特急〔かもめ〕からは大幅な本数減となりますが、それでも博多方面からの直通列車が維持されることになったのは地元としても喜ばしい知らせではないでしょうか。

ちなみに残る肥前鹿島~諫早駅間については定期在来線特急の運行が取りやめとなります。この区間は現在でも全ての在来線特急〔かもめ〕がノンストップで運行しており、新幹線開業により在来線特急〔かもめ〕が廃止された後は普通列車の運行がメインとなります。

現在は特急の単なる途中停車駅でしかない肥前鹿島が、これからは特急列車の行先として一大ターミナルである博多駅の電光掲示板に輝くことになります。特急〔かささぎ〕デビューでいま注目の佐賀県鹿島市へ、さっそく行ってみることにします!

乗車するのは博多9:55発の特急〔かもめ13号〕長崎行。新幹線開業後、この在来線の発車標には「かもめ」ではなく「リレーかもめ」の文字が躍ることでしょう。一方で〔リレーかもめ〕の行先は武雄温泉ですが、その先の新幹線接続をアピールする意図で博多駅では引き続き「長崎行」の文字も残るかもしれません。

そしてまもなく、4番線に列車が入線してきました。九州を代表する特急車両「787系」です。1992年にデビューし、今年で30周年を迎えました。かつては博多~西鹿児島(現・鹿児島中央)駅間を結ぶ在来線特急〔つばめ〕や、九州新幹線部分開業時に博多~新八代駅間でリレー特急として運行されていた在来線特急〔リレーつばめ〕等でも活躍した過去をもちます。

列車は7両編成で、1号車がグリーン車になっています。既に30周年を迎えた車両ですが、この西九州新幹線開業に際しても引退する予定はなく、〔リレーかもめ〕〔かささぎ〕等に充当されることが発表されています。ただし現在の7両編成ではなく8両編成での運行となる列車が多くなり、「7両編成」で運行されている現在の光景も貴重なものとなりそうです。

列車は無事に定刻通り博多駅を発車。旅行や帰省のシーズンということで車内は混雑しており、4号車はほぼ満席です。

この4号車、かつてはビュッフェ車両として使用されていました。天井がドーム状になっているのはそのためで、ビュッフェ廃止後に座席が取り付けられています。

今回はインターネット予約限定の割引きっぷ「九州ネットきっぷ」を使用し、博多~肥前鹿島駅間通常3,610円(繁忙期)のところを何と2,340円で移動しています。JR九州アプリやJR九州公式HPから予約でき、繁忙期で比較すると約35%OFFとなります。当日でも予約可能ですので、これはかなりオススメです!

鳥栖駅から先は鹿児島本線を離れ、長崎本線へと入っていきます。長崎本線鳥栖の一つ隣にある新鳥栖駅では九州新幹線と接続しており、2駅連続で全ての特急列車が停車します。

佐賀駅を通り、列車は佐世保線との分岐駅である肥前山口駅に到着。この駅は新幹線開業に際し駅名を町名と同じ「江北」へ改称することが決定しています。最長片道切符のゴール地点としても名の知れた駅ですが、新幹線開業に伴いその経路も変更されるため、肥前山口駅はゴールではなくなってしまうようです。

肥前山口駅を出たあたりから雨足がかなり強まり、猛スピードで走る車両の窓には視界が遮られるほど大粒の雨粒が打ちつけています。肥前鹿島は目と鼻の先ですが、不安が募ります。

そんな最悪の天候でも、列車は定刻通り10:54に肥前鹿島駅へと到着。博多~長崎駅間のほぼ中間に位置し、どちらからでも所要時間は約1時間程度です。

肥前鹿島駅は1面2線の島式ホーム。上下線での列車交換が可能となっています。

映像をご覧いただくと分かる通り、もはやホーム上の屋根が意味をなさないような激しい雨。これでは流石に駅の外へ出るのは危険と判断し、雨足が弱まるまで駅の待合室で待機することにしました。

全列車停車駅の割にはこじんまりとした駅舎で、もちろん自動改札機はなく交通系ICカードも使えません。みどりの窓口は設置されているものの、営業時間が限られているため注意が必要です。

40分ほど待ち、ようやく雨が落ち着いたので駅舎の外へ。日射しこそないものの、湿気でもわっとしておりじっとしていても汗が出てきます。

肥前鹿島駅の1日平均乗車人員は1,200人程度(コロナ前まで)。全列車停車駅で、中には土産物品等を取り扱う売店も併設されています。

ここで、改めて佐賀県鹿島市の基本情報を確認しておきます。佐賀県の南部に位置する鹿島市は人口約2万7000人、面積は112㎢ほとで有明海長崎県大村市に挟まれています。市の中心である肥前鹿島駅は北部に位置しており、市街地も主に市の北部に形成されています。

肥前鹿島駅の目の前には「鹿島バスセンター」があり、ここ鹿島市に本社を置く祐徳バスの運行拠点になっています。本日はこの祐徳バスを使いながら市内をあちこち巡っていきたいと思います。

鹿島バスセンターの中はひっそりとしており、日中でも薄暗い印象。看板の類等を見るとかなり古くからそのままのようで、地方のバスセンターにありがちな昔ながらの光景がそのまま残されています。一方で中央の柱を囲むように設置された待合スペースの机上には充電用のコンセントが完備されており、バスセンター内にはフリーWi-Fiも飛んでいます。

昭和の雰囲気を色濃く残すバスセンターですが、その隅には等身大の大きなモニターでバスの発車案内がなされておりかなりハイテク。鹿島市内各方面のほか、嬉野・武雄・太良・佐賀方面等へバス路線がのびているようです。私が見た限りでは高速バス路線は発着していないようでした。

ではまず、鹿島バスセンター12:00発の竹崎港行へと乗り込みます。12:00ちょうどにはこのほか嬉野方面・祐徳神社方面へのバスもありますので、乗り間違いには注意が必要です。

お盆ということもあってか、乗客はまばら。私の他にもう一人だけでした。

有難いことに、祐徳バスではnimocaをはじめとする全国相互利用可能な各種交通系ICカードが利用できます。私を含め遠方の都市圏からの来訪者にとっては、これだけでも路線バス利用への敷居がぐっと下がるものです。

13分ほど乗車し、「肥前浜宿前」で下車。まずは肥前浜宿を散策していきます!

肥前浜宿はかつて醸造業で栄えた地域で、昔ながらの蔵造りの街並みの中には酒蔵やレトロな建造物が立ち並びます。長崎本線肥前鹿島駅の一つ隣、肥前浜駅からも徒歩ですぐですので、比較的交通の便も良いと言えます。

ちょうどお昼時でしたので、通り沿いにある「浜宿キッチン」さんでお昼をいただくことにします。

数あるランチメニューの中でも一番人気の「鯛のあらだき定食」(1,100円)を注文。鯛の頭の部分を丸ごと一匹使用したワイルドな一皿で、ぷりっぷりの鯛に濃厚なたれを絡めていただきます。ご飯とよく合いとっても美味しいです!!

お昼時ということで、店内は一時ほぼ全ての座席が埋まるほどの盛況ぶり。曜日や時間によっては席に着くまでに時間を要することもあるかもしれませんね。

食後は再び通りを散策。天候がいまひとつだったせいもあってか、観光客の方の姿はほとんどありませんでした。これまで宿場系の観光地は数ヵ所行ったことがありますが、それらと比べても圧倒的な閑散具合です。

時間的にちょっと酒蔵巡りまでは厳しかったので、代わりに「甘酒ソフト」(400円)なるものをいただくことに。甘酒の風味を残しながらもノンアルコールで甘酒独特のきつさはなく、とても食べやすくて美味しかったです!

想定外だったことといえば、このソフトを食べている間に再び雨が降り出したことと、このソフトが想像以上に大きく食べるのに案外時間がかかったということです。夏は食べているうちに暑さで溶け始めてしまうこともあると思うので、うまく食べられるか自信がない方は是非カップでお願いしてみてください(作る際にどちらにするかお店の方が聞いてくださいました!)。ともかく一度食べてみる価値アリです!

発車間際に無事食べきることができ、肥前浜宿前13:29発の竹崎港行に乗車。先ほど鹿島バスセンターからここまで乗車してきたバスの1本後続の便です。

今度はバスに揺られることわずか数分、やってきたのは「道の駅鹿島前」。国道207号沿いにある道の駅です。

ここ道の駅鹿島では、周辺で採れた新鮮な野菜、様々なご当地商品や土産物等をふんだんに取り扱っています。今回の私のようにバスで来るもよし、あるいは先ほどの肥前浜駅から長崎本線でさらに1駅進んだ「肥前七浦駅」からも徒歩圏内ですので、鉄道・バスどちらでもアクセスできます。駐車場は車でほぼ満車に近いくらい賑わっていました。

そしてここ道の駅鹿島の最大の特徴は、干潟体験ができること。直売所の裏手がちょうど有明海に面した干潟になっており、様々なアクティビティを満喫することができます。ちょうど訪問時もたくさんの子どもたちが泥まみれになりながらはしゃいでいました(笑)。

また、この干潟は毎年5~6月頃に開催される「ガタリンピック」の舞台にも使われています。これは干潟を舞台に開かれるスポーツの祭典で、1985年の第1回開催以来鹿島を代表する初夏のイベントとなっています。残念ながら新型コロナウイルス感染症の影響で2019年の開催を最後に今年まで3年連続の中止となってしまっているようですが、来年は復活することを願ってやみません。

短い滞在時間の中で泥だらけになるわけにもいかず、また直売所の新鮮な野菜なども魅力的でしたが持ち帰りに困ってしまうので、代わりに肥前鹿島のご当地丸ぼうろ5枚セット(570円)を自分へのお土産に買って帰りました。後でホテルに帰ってからいただきましたが、しっとりサクサクでとても美味しかったです!

来た道を戻るような形で、道の駅鹿島13:55発の鹿島バスセンター行へと乗り込みます。定刻よりも7分ほど遅れて14:02頃にやってきました。

鹿島バスセンターまでは戻らず、先ほどの肥前浜宿の近くにある「浜三ツ角西」というバス停で下車。ここで祐徳神社方面へ向かう14:08発のバスに乗り継ぐ予定でしたが、道の駅鹿島から乗車したバスが遅れていた影響で私が浜三ツ角西に到着したのは14:10頃。これは逃してしまったか…と思っていましたが、何と祐徳神社方面へのバスも遅れていたため間一髪で乗り継ぐことができました。

14:25頃に終点の祐徳神社前へと到着。バスが何台も停まれる広大なロータリー(?)になっており、その需要の大きさを感じます。

道の駅鹿島に続いて訪れたこの場所は「祐徳稲荷神社」。鹿島市を代表する観光地で、特にお正月は初詣客で大変な賑わいをみせます。冒頭にご紹介した肥前鹿島駅のホームや駅舎もこの祐徳稲荷神社をモチーフにしたデザインとなっており、まさにこの街のシンボルといえる存在です。

参道の両側には土産物店や飲食店等が並びますが、主に営業しているのは長い参道の中でも神社に近い数店舗のみ。後の大半はシャッターを下ろしている店舗も多く、やや寂しさを感じるところではあります。

長い参道を通り、神社へ到着。まずは立派すぎる門をくぐり、境内へと入ります。いや何かこの門豪華絢爛すぎません!?

門をくぐると、壮大な本殿がお目見えします(というかあまりにもデカすぎて境内に入る前から見えている)。工事現場の足場のように何層にも組まれた朱色の櫓の上にそびえる本殿へは階段を上がっていく必要があり、ちょうど雨も降っていたのでヒヤヒヤしながら上りました。

階段を上りきったところにある本殿からは、神社周辺の街並みを一望できます。比較的内陸にあるため、この本殿からは有明海までは見えませんが、本殿よりもさらに高いところにある「奥の院」からは有明海が見えるそうです。時間的に厳しかったのと、雨であまりにも危険ということで私は本殿までにしておきました。

帰り際、せっかくなので名物の「稲荷ようかん」を買っていくことに。参道のどのお店でもだいたい売っているようですが、本殿に負けないくらい朱色の鮮やかな看板のお店がありましたのでここで買っていくことにしました。

「稲荷ようかん」とは円筒状の形をした糸切りようかんで、1本300円。筒の上部の蓋を開け、筒の底を指で押すと上部から円筒状のようかんがにゅるっと出てくるので、それを白い糸で切って食べます。あずきの粒感をしっかり味わうことができ、優しい甘さでとても美味しかったです! 片手サイズでお皿もフォークもいらず、手が汚れることもありません。

それでは祐徳神社前のロータリー(?)から、15:29発の嬉野温泉・湯の田行へと乗り込みます。実は鹿島市嬉野市は隣接しており、鹿島市内各所から嬉野温泉へは1本の路線バスで繋がっています。ご紹介が遅れましたが、鹿島・雄・野の3エリアのバスが乗り放題になるデジタルフリーパス「かぶきフリーきっぷ」なるものもありますので、興味ある方は是非利用してみてください。

saga-moblab.jp

このバスには5分ほど乗車し、市街地まで降りてきたところで「執行分」というバス停で下車。「しぎょうぶん」と読みます。何だか仰々しい名前ですね(どうでもいい)。

このバス停を降りて目の前にあるのが、最後にご紹介する「ひぜん祐徳温泉宝乃湯」という温泉施設。入館料は大人700円です。初っ端から大雨に降られ、その後も移動しっぱなしで汗だくなのでここでさっぱりしていきます!

館内には様々なタイプの内湯のほか、光が差し込む露天風呂もありとにかく広々とした造り。私が訪れたのは16時前後でそれほど激しい混雑ではありませんでしたが、地元の方から観光客まで多くの方で賑わっていました。

食事処やゲームコーナー等もあり、施設内は大変充実しています。祐徳稲荷神社肥前浜宿等、今回ご紹介したような市内各所の観光地から肥前鹿島駅へ戻る道の途中にありますので、とても立ち寄りやすいかと思います。国道444号・207号のいずれからも1本路地へ入ったところにありますので、是非お立ち寄りください。

というわけで祐徳温泉へは約1時間滞在し、16:40頃に鹿島バスセンターへと帰着。

合計5時間弱で鹿島市内の4ヵ所の観光スポットを巡ることができました。

実はこれ以外にも、鹿島城跡茅葺の街並みなど本当であればご紹介したかったスポットがまだまだたくさんあります。午前中の早い時間の特急でお越しになるとそちらへも足を運べると思いますので、是非参考にしてみてください。

 

今回の記事を通じて、いま注目の「佐賀県鹿島市」の魅力が少しでも伝われば幸いです。

現在は特急〔かもめ〕で、そして西九州新幹線開業後は特急〔かささぎ〕で、魅力いっぱいの鹿島市へ是非お越しください!

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。