久々の投稿になります。

かねてからJR北海道が導入を予定していた『2両ワンマン電車』ですが、この程、同社からその詳細がついに発表されました!(詳細は下記リンクをご参照ください↓)

 

JR北海道8月17日プレスリリース「737系通勤形交流電車が登場します」

 

その2両ワンマン電車ですが、2019年4月9日のプレスリリースによれば姿カタチはまんま733系で、中間車を抜いた1M1T方式に手直しされるだけというイメージでしたが、8月17日になって発表されたプレスリリースでは全くの新形式が起こされ、番号的には735系の次となる『737系』となり、車体形状もワンマン運転に適した構造という事で733・735系からとは全く別モノの前後2扉、前面も平面的な形状となり無難なデザインではありますが(※個人的にはH100形より全然マシだと思う)ブラックフェイスの下部にH100形に類似したライトグリーン黄色のデザインが配される事になっています。

走行機器として、主変換装置にハイブリッドSiCモジュールを採用…との事ですが、従来の同社通勤形電車とは異なる全く新しいシステムのようです。最高速度は120㎞/hと、従来のキハ143形よりも10㎞/hアップ、さらに電車による高加減速性能から、大幅なスピードアップも期待できそうです。

 

また、車両構造体の材質として、JR北海道の在来線車両としては735系以来久々のアルミ合金製(裾絞り広幅車体、前面のみ普通鋼製)を採用したというのも大きなトピックであり(※同社のアルミ製通勤形電車の採用に関してはひと悶着あり、結局735系の量産はされなかった)、しかも外板は素地むき出しではなく薄いピンク色塗装(カラーリングの詳細はプレスリリース参照)というのも同社では今までになかった試みです。窓構造も固定窓ではなく、導入路線となる室蘭本線の苫小牧~室蘭で運用のキハ150(100番台※コチラは運用撤退済)やH100と同様に上部開閉式のスイング窓を採用しているのは、地域柄夏場でも比較的気候が冷涼であるから冷房使用を抑えるという意味合いもあるのでしょう。

 

ただ、やはり通勤通学輸送が中心という性質上、座席はオールロングシートという近距離向けに特化した仕様になっているのは少々残念ではありますが、導入メイン路線である室蘭本線の苫小牧~室蘭に関しては特急列車(※東室蘭~室蘭は特急すずらんの延長運転による普通列車)も走行しており、快適性を求める中長距離客は特急利用という棲み分けができるだけまだマシなのかも…?もっとも、最近は相席を嫌って4人用BOX席や2人用転換クロスシートに1人しか座らなかったりという実態も散見され、主な利用客は比較的短距離利用という事もありオールロング化は妥当なのかもしれません(※ちなみに私は転換クロスシート派です!)。普通列車を乗り継ぐ『18キッパー』にしてみれば不評でしょうが…。そのロングシートも、プレスリリースの資料を見る限りではH100形と同様の形状(つまりJR東日本車と同様)に見え、座り心地はあまり良くなさそうで、コレはちょっと残念。

 

さて…気になるのがその運用。置き換え対象となるキハ143形気動車は苫小牧運転所(札トマ)配置ですが、気動車基地である同所にわざわざ電車のための検修施設を設けるのは不経済のため、新型737系電車は札幌運転所(札サウ)配置となるのは容易に想像でき、キハ143形に置き換えられる前に運用されていた711系電車と同様、早朝と深夜に札サウの接続駅である手稲発着で千歳線経由の送り込み列車が設定されると思います(現行はキハ143形は苗穂運転所に滞泊のため、札幌駅発着の列車が設定されている)

また、現行のキハ143系(2両×5編成)より大幅に多い13編成も量産される事になっている事から一部のH100形による運用をも置き換える可能性もあり、現在のキハ40形・150形で運用されている他所への玉突き転配も考えられるのでは…と(※あくまでも推測です)。

(室蘭本線の711系撤退前に手稲5:57発、東室蘭9:04着で運転されていた2726M)

 

 

 

かつて国鉄時代に交流電化された路線でも、新幹線開業に伴い『並行在来線』扱いとなった在来線の旅客列車がコストダウンのため軒並み気動車化された事に対し、電気機関車牽引の貨物列車が走行しない室蘭本線の苫小牧~室蘭においての電化設備を継続するという事は大いに評価されるべきでしょう。電車から気動車の置き換えに際してはそれぞれメリットとデメリットがあるため、一概にはどちらが良いのかは言えませんが。

他方、西九州新幹線開業に伴う長崎本線の肥前浜~長崎の電化設備廃止というのはショッキングな出来事であります…。

(長崎本線の電化廃止区間に導入される青いキハ47形※試運転)

 

 

そして、今回発表されたキハ143形の置き換えは、国鉄時代に50系51形として製造され、札沼線(学園都市線)の輸送改善のために気動車(PDC)化改造されたキハ141系の終焉を意味するモノであり、奇しくもJR東日本に譲渡されて釜石線の『SL銀河』の第2の車生を送る事となった同系も老朽化によって同じく2023年春の運転終了で、客車改造気動車の歴史にもいよいよピリオドが打たれる事となりそうです。

PDC化改造当時は50系51形客車の車齢が10年前後と比較的若かったという事もあり、資源の有効活用という面では大成功ともいえたJR北海道のキハ141系。既に客車時代の製造から40年以上経過し、車体の老朽化も著しくなってきた事からいよいよ寿命を迎える事となりましたが、JR他社のほとんどが50系客車のまま車齢20年未満で廃車解体されてしまった事を見れば幸せな車生だったのかもしれません。

 

 

何はともあれ、JR北海道の今回の発表は石北本線のキハ283系導入と共に、2023年春のダイヤ改正において非常に大きなトピックであり、新型737系導入に伴う気動車の今後の動向が注目される処です。