大阪メトロ10系。その2 | 鉄道とバスのブログ

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前回に引き続きつづき大阪メトロ10系について紹介しよう。

9両編成化

昭和50年代は高度経済成長がつづき、御堂筋線の梅田駅、難波駅では朝ラッシュ時には改札制限するほどの混雑で輸送力増強と混雑緩和が 課題となっていたが1987年に御堂筋線で9両編成での運転が開始された。

それに伴い1987年以降に製造された10系は新造時から9両編成で新造された。それ以前に製造された10系については中間車1900形が新造により増結された。








9両編成で新造された第18編成


新製終了

1990年に鶴見緑地で花の万博が開催されることが決定された中、地下鉄の冷房化率の低さが指摘され、御堂筋線以外では中央線 に20系が運転されているだけであった。他の民鉄が冷房化率100%を達成して行く中、1989年には御堂筋線に10系2編成、谷町線に20系9編成、中央線に20系が2編成導入され、冷房率がアップした。

なお、この年で10系の新造は終了となった。


10両編成化

1995年に御堂筋線では10両運転が開始されたが、増結車両は新造されず、試作車の01編成と量産車の02、03編成をばらして種車とし、1995年~1996年に1700に改造して04~26編成に組み込まれた。





改造工事


1998年から2003年にかけて、内外装材や各種機器の更新を内容とする更新工事が05編成 - 18編成を対象に実施された。翌年からは中央線における20系24系のワンマン・高速化改造を行っていた影響で、19編成以降の更新工事は中断していた。2006年の23編成から更新工事が再開されたが、これ以降はIGBT素子VVVFインバータ制御装置への更新が行われることになった。また、それ以前に更新工事が実施され、後にIGBT素子VVVFインバータ制御への更新が追加で施工された2編成(17編成・18編成)もあり、最終的には17編成 - 26編成がIGBT素子VVVFインバータ化された。IGBT素子VVVFインバータ制御に更新された車両は系列名が変更され「10A系」とされ、車両形式の末尾にAがつくが、車両番号の変更はない。未更新で残った04編成は2011年に廃車となった。、その時点をもって残存する編成が更新工事施工車となった。

更新工事の主な内容は次のとおりである。

外装編集

  • 先頭車前面上半分のFRP外縁内アルミ合金露出部についての黒色塗装実施
  • 車体外板のブラスト洗浄
  • 側面帯を白の補助ライン入りに変更するとともに客用扉間のみへの貼付から客用扉部を含めた連続貼付に変更
  • 側面の行先設置
  • 「大阪市高速鉄道」のシンボルマーク移設(各車両の客用扉間側窓下3か所から新20系と同じ戸袋部2か所に移設)
    • 2018年の民営化後、現有車両の全車がOsaka Metroロゴに交換済み
  • 正面運転席窓上側の「ACCC10 SERIES CAR」シンボルマーク貼付
  • 正面運転席窓上側の「VVVF 10 SERIES CAR Rebirth」シンボルマーク貼付と正面白帯下側の細い白線2本追加(10A系化更新工事施工車のみ)

内装編集


  • モケットの交換(茶系色→赤色)
  • 化粧板の交換(白色→グレー)
  • 床クロスの交換(茶色→グレー)
  • カーテンの交換
  • 車内案内装置の設置
  • 扉開閉チャイムの設置
  • 1700形を除く全車両の車椅子スペースの設置
  • 座席中央部の握り棒設置(14編成は2002年に試験的に設置、2003年以降の更新車から本格的に設置
  • 客用扉付近の吊り革増設(2003年に更新工事を施工した18編成から実施)

  • 車内案内装置

車椅子スペース

各種機器編集

  • 冷房装置の冷却能力1割向上(23.25kW→25.58kW)
  • 車内スピーカー更新
  • 電気笛の音色変更
  • 制御装置の電子部品交換(1998年 - 2003年)
  • 制御装置のIGBT素子VVVFインバータ制御装置(日立または三菱製)への更新と主電動機の三相誘導電動機への交換による10A系化(2006年 - 2011年)
  • IGBT素子VVVFインバータ制御に更新された10A系(17編成 - 26編成)は以下の10両編成となる。付随車1900形が電動車1900A形、制御電動車1100形が制御付随車1100A形、電動車1300形が付随車1300A形に変更された。電動車と付随車の位置は新20系や後に登場した30000系と同じであるが、1400A形は2200形・30200形、1500A形は2300形・30300形相当









10系チョッパ車



10A系

 イベント列車
1983年5月20日、市営地下鉄開業 50周年を記念して1112編成を使用したイベント列車があびこー新大阪間で運転された。
イベント列車は貸切で車内でファッションショーが行われた。
市営地下鉄開業 50周年特別イベント列車
ラッピング車両
大阪市営地下鉄開業60周年を記念して1114編成に地下鉄車両の旧塗装が施された。







復刻塗装の14編成





地下鉄旧100形塗装のラッピング。


昭和36年製造の旧6000形と昭和39年製造の旧6100形の塗装のラッピング。


昭和28年製造の1000形から昭和35年製造の50系までの塗装のラッピング。

広告ラッピング車
一部の編成が広告ラッピング車両となった。


広告ラッピング車両の1123編成










廃車

1101F - 1103Fは、前述のとおり10両組み替えの際に編成が分解されて1104F以降の1700形として編成に組み込まれ、一部先頭車(1101・1102・1103・1801)は廃車となった。また、10系更新時は御堂筋線の編成が1編成不足することから、その補充の名目で21系1本(21618F)が1998年に新造されたが、10系の更新は2011年4月に終了し、1本が余剰となることから、最後まで未更新で残った04編成は2011年3月31日付で廃車、1104先頭部を残して解体。この1104の先頭部カットボディは緑木車両工場で保存されている。通常は非公開であるが、緑木車両工場のイベントで公開されている。

その後、2011年12月からは御堂筋線30000系の導入による更新車の置き換えが始まり、10系は1107Fを皮切りに1105F・1108F・1106F・1114F・1109F・1115F・1110F・1116F・1111F・1112F ・1113Fの順で廃車となり、2020年7月に10系チョッパ車は全廃となった。

また、2019年度からは10A系も廃車が進められ

、同年度に1118Fが、2020年度に1117F・1120Fが、2021年度に1119F・1121F~1123Fが、2022年度に1124F・1125Fが廃車となった。

最後まで残った1126Fも2022年7月4日に運用を離脱した。