東京都から神奈川県に向かって走る小田急にとって、都県境としての印象が強い多摩川橋梁。
小田急線上で最も長い橋であり、現在は複々線化された二代目の橋が使用されています。

複々線化に合わせて架け替えが行われた多摩川橋梁ですが、今とはどのような点が異なっていたのでしょうか。

小田急線上で最も長い橋

和泉多摩川から登戸の間にある多摩川橋梁は、小田急線上で最も長い橋となっており、その長さは429.6mとなっています。
現在の橋は、複々線化に合わせて架け替えられた二代目で、開業時から使用していた旧橋梁の隣に新橋梁を建設し、切り替え後に旧橋梁を撤去して新橋梁の建設を行い、現在の姿となりました。

橋の上にはポイントが設置されており、下りは緩行線から急行線へ、上りは相互に転線することが可能となっています。
このような配線によって柔軟な運用ができるようになっており、橋の上では日常的に車両がぐにゃぐにゃと移動する、面白い光景が展開されます。

現在の橋梁が竣功したのは2008年のことで、既に15年近くが経とうとしています。
橋が完成した際には、その立派な姿に感動を覚えたものですが、それと同時に旧橋梁を懐かしく思うようにもなりました。

旧橋梁にはどのような違いがあったのか

架け替えによって過去のものとなった旧橋梁ですが、今とはどのような点が異なっていたのでしょうか。
開業時から使用していた橋であり、その佇まいからは歴史を感じたものです。

まず最初に、初代の橋は長さが異なっており、今よりも長い493.8mでした。
延長を重ねたホームは橋梁上にもかかり、駅と橋が混ざり合ったような状態となっていました。

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高さは現在とかなり異なっており、旧橋梁は現在よりも低い位置にありました。
和泉多摩川寄りに踏切があるのも現在と異なる点で、今よりも橋が身近な存在だったといえます。

新旧の橋には、構造でも違いがあります。
現在の橋には道床がありますが、旧橋梁はプレートガーダー橋だったため、電車が通過する際には大きな音がしました。
新橋梁は静かになり、周辺に住む方々にとっては嬉しい変化であったと思いますが、長年その音に慣れ親しんできた者としては、少し寂しく感じる部分もあります。

騒音という面では、旧橋梁はロングレール化が行われていなかったため、レールの継ぎ目を通過する際のジョイント音も相当なものでした。
これがプレートガーダー橋特有の音を生み出しており、外を見なくても多摩川橋梁を渡っているのだと分かったものですが、これこそが今と最も異なる点といえるのかもしれません。

おわりに

多摩川橋梁の架け替えによって、周辺の雰囲気は大きく変化しました。
景色も大きく変わりましたが、騒音が激減した影響もかなりあるのでしょうね。