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【J‐TREC出場】【JR東日本】 JR東日本E233系0番台グリーン車(サロE232-1+サロE233-1) J-TREC横浜事業所出場 2022年7月12日

・ついに動き出す 中央快速線新時代

7月12日未明、中央快速線用E233系グリーン車がJ-TREC横浜事業所を出場しました。

これは、2024年度末(昨今の半導体不足により予定より1年延期)に導入予定である中央快速線へのグリーン車サービス開始の一環となります。

中央本線で見ると、特急列車「あずさ」「かいじ」でグリーン車は導入されていますが、JR東日本における普通列車のグリーン車導入は常磐線に続き6路線目となります。

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金沢八景~池子間はお馴染みのDD5515と7200系のコンビ。
このコンビはどんな新車であっても、鉄路での出場時にはほぼ必ず登場する。
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サービス開始まであと2年程期間はあるが、実車は一足先に完成。
あまり表に出なかった車両だったのもあり、注目度は大きい。

今回出場したのは、「サロE232-1+サロE233-1」の1編成2両のみとなり、このグリーン車が今後の導入に向けて各種試験が実施されると思われます。

・E233系導入路線において2路線目のグリーン車であるが、その差異とは?

E233系が導入されている路線においてグリーン車の導入は東海道線に続き2例目となりますが、今回のグリーン車は他線区で運用されているグリーン車とは若干異なる部分があります。

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今回導入される中央快速線グリーン車の外観。
従来車をベースとしているが、同線専用車として異彩を放つ部分もある。

今回はこの差異について簡単ではございますがご紹介します。

  1. ドアが両開き

  2. ドアに帯が無い

  3. 定員数が各車両で異なる

・①ドアが両開き

まず、最初に注目されるのがドアの形状。
現在運用している普通列車グリーン車は全車片開きドアとなっています。

普通列車グリーン車の走行線区が中距離電車を占める為(横須賀線・総武快速線は近距離電車の扱いですが、房総・成田方面の直通もある為、ここでは中距離電車の枠とします。)、折り返し時間も比較的余裕を持たせることでグリーン車の整備・清掃を行っています。

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画像は横須賀線・総武快速線用E235系のグリーン車。
現在も導入が続けているが、従来車同様片開きドアのままである。

しかし、朝ラッシュを中心に多くの列車本数が走る中央快速線。
同線のターミナル駅である、新宿、立川、八王子等では多くのお客様が乗り降りするだけでなく、東京駅はホームに入れる列車が2線のみの構造の故、折り返しは昼間でも2~3分程と短時間となります。

この様な状況を鑑み、両開きドアにすることでスムーズな乗降及び、東京駅での短時間折り返しを可能とするために設計されました。

https://www.jreast.co.jp/press/2018/20180402.pdf

※導入決定時のリンク。
このプロジェクト2018年から予告された時から4年の時を経て実車が登場しました。

そして、両開きの2階建て車両は日本で初めてであるとご紹介したいところですが、実は日本で初めて両開きの2階建て車両は今から約30年以上前、1991年に登場し2006年まで活躍した車両がありました。

それは、たった1両しか製造されなかった「クハ415-1901」

国鉄分割民営化からJR東日本になって数年後、新たな着席機会の向上の為、常磐線で運用されていた415系1500番台の最終増備車に2階建てが採用されデビューしましたが話が脱線しすぎるので省略。

このことから、今回出場した両開きドアの2階建て車両はグリーン車として初ですが、車両自体としては2006年以来約16年振りの復活となりました。

・②ドアに帯が無い

少し細かい部分になってしまいますが、現在各線に導入されているE233系の全車にはグリーン車を含めドアの部分に帯が巻かれています。

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上野東京ライン・湘南新宿ラインで運用されているE233系3000番台。
ドア部分に帯が巻かれていることが一目瞭然である。

先程のリンクのイメージ画像及び、同系の流れで行くと今回の中央快速線用のグリーン車にも帯が巻かれるのは確実視されていました。
しかし、実際出場した車両にはドアの部分に帯が巻かれていないだけでなく、車内側の化粧板が省略されました。
化粧板については、現在上野東京ライン及び湘南新宿ラインで運用中の同系3000番台のグリーン車でも同様ですが、ドアに帯が無い状態で出場したのは今回が初めてのパターンとなります。

今後、所属先の豊田車両センターで施される可能性も無きにしも非ずですが、製造工場から出場時時点でドアだけ帯が巻かれてないことで今後車両センターで帯が巻かれるのは考えにくいと筆者は思います。

これにより、今後増結される中央快速線用の各編成は普通車にはドアに帯が巻かれ、グリーン車にはドアに帯が無い何とも不揃いの状況で走ることがほぼ確実となりました。

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E233系はグリーン車にもドア帯を巻かれているのが通例だが、中央快速線用グリーン車はドアに帯部分が省略された。
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他の普通列車グリーン車同様、ドア部分の化粧板が省略された。

・③定員数が各車で異なる

中央快速線のグリーン車は両開きドアを採用した為、片開きの従来車と比べ車端部着席スペースがより限られ定員が減るのではないかと予想されました。
そして、実際に出場した車両は各車で定員が異なることが判明しました。

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4号車であるサロE233-1。
左端にある「八トタ」表記の下に注目。
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5号車のサロE232-1。
「八トタ」表記の下に注目。

サロE233-1(4号車)・・・86名
サロE232-1(5号車)・・・94名

従来車のグリーン車は定員は各車90名の計180名でしたが、今回のグリーン車は合計定員が変わりませんが、各車で異なるという普通列車グリーン車では初のパターンとなりました。

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他の普通列車グリーン車は各車定員が90名で固定されており、2両で180名定員となる。

恐らく、両開き化によるお手洗い、車掌室のスペース確保の為、従来車より4名の増減が発生していると考えられます。
ただし、合計で180名が変わらないことから、車内の配置が気になるところです。

・特集① グリーン車導入だけではない、中央快速線周りの近況

グリーン車の導入編成は10両固定のT編成(一部編成除く)と分割編成(H編成)の基本(一部編成除く)が対照表となっています。
しかし、グリーン対象外である青編成にも最近大きな動きを見せる様になりました。

それは、、、

ワ ン マ ン 化 改 造 工 事

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ワンマン化改造前の青編成。
この姿が製造時からの姿。

2022年5月、東京総合車両センターに入場した青編成4両が出場し、所属先の豊田車両センターに回送されました。
その姿はE233系にとって初めての姿となりました。

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ワンマン化改造され、編成も青編成からP編成と変わったE233系0番台。
同系で初めてのワンマン化工事対応車が登場した。
※ワンマン化工事前にホーム検知器改造は施工済み。

ワンマン運転に向けて側面にカメラが設置。
編成番号も青編成からP編成に変更されました。

恐らく、中央快速線と直通している青梅線のワンマン運転関連かと思われますが、この出場から順次入場している青編成はワンマン化改造を施工し出場しています。
グリーン車関連工事をしている反面でワンマン化工事が行われている中央快速線界隈。
1〜2年先で大きな変化を遂げるであろう中央快速線界隈です。

・特集②:数年前の同時期に突如登場した中央快速線用の増備車(T71編成)

今回のグリーン車出場に驚いた方も多くいらっしゃると思いますが、実は同線周りの車両動向で驚く出来事が数年前の同時期にありました。

2020年、製造が終わったと思われた同系0番台新造車が12年ぶりに出場したことを覚えていますでしょうか。

それは、同系0番台である【T71編成】

この項では、12年振りの増備車となったT71編成を振り返ってみようと思います。

2020年6月11日未明、中央快速線用のE233系0番台(T71編成)がJ-TREC横浜事業所を出場し、所属先の豊田車両センターまで回送されました。

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12年振りの増備車となったT71編成。
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実は、中央線E233系と7200系が繋がるのは初のパターンとなる。
※12年前のE233系は2008年3月。
7200系が上田電鉄から横浜へ来たのは同年10月以降の出来事となる。
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同日、廃車となったクモヤ143系による最後のOM出場回送があった為、普段のTK出場回送を撮影する形となってしまった。

この出場は、今回出場した同線のグリーン車導入に関連する工事による予備車的に製造されたものと思われます。

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従来、T編成は編成番号と車両番号が一致していることが多いが、T71編成のみ編成番号と車両番号が異なることとなった。

T71編成の出場時期から少し前より同線のグリーン車導入に伴い、グリーン車導入編成に普通車にトイレ設置及び床下機器の一部移設工事が行われていました。

この工事で長期間離脱する車両が発生することから、常磐緩行線で運用を終えた209系1000番台(10両×2編成)を松戸車両センターから豊田車両センターに転属し運用を開始しました。

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中央快速線に転属となった209系1000番台。
E233系より古い車両が中央快速線に来たのは当時ファンの注目を浴び、現在もその動向に注目が向かれている。

しかし、この工事中に新たな難局が控えていました。
それは…

機 器 更 新

2006年12月に登場した同系は2022年で16年を迎えます。

この16年というのは全般検査(自動車で言う車検※全ての部品をばらすオーバーホールの検査)が2回目を迎える時期と重なるからです。

現在、鉄道車両の機器は電子制御化されているものが多く、その電子制御機器も寿命があります。
そして、技術も日々進歩している為、2006年当時に使われた部品に寿命を迎えたタイミングにはメーカー生産が終了。残りは予備部品で車両の修繕をやりくりしないといけません。
当然、生産が終わった調達しますのでコストが余計にかかります。
この場合の選択として、廃車として一気に新型車両を導入する方法もありますが、製造から16年しか経っていない車両を廃車にするのは勿体ないかつ、機器を取り換えるだけであと16年は使えると考えると、現在メーカーで生産が続けられている確保しやすい機器に一斉交換することで機器更新のコストのみで車両寿命を延ばすことも出来ます。

話が大きく脱線してしまいましたが、今回のグリーン車導入工事及び同系の機器更新、そして前項の一部編成のワンマン工事化が同時に重なってしまい、運用における予備車確保が必要となり今回の製造に至ったと思われます。
※列車が一番多く走るのは朝ラッシュです。
鉄道車両も機械ですので突然故障するという場面も発生します。
何編成か予備車があれば、故障した車両と比較的容易に交換することが出来ます。しかし、予備車が無い場合、朝ラッシュの本数を維持出来なくなり、一部列車が「運休」せざるを得ない状況となります。

ただし、出場したT71編成はホーム検知装置が追加された以外は従来の0番台と合わせた仕様となり、グリーン車導入によるトイレ設置もなく、車内のモニターも15インチとなりました。

恐らく、グリーン車導入後に他線区へ転属を前提に製造された車両であると考えています。
グリーン車サービス開始後どの様な車両配置の展開になるか、グリーン車導入やワンマン化と話題豊富な中央快速線に注目です。


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