東京・三ノ輪橋と早稲田を結ぶ都電荒川線(全長12.2キロ)の「顔」として長年親しまれた7000形電車。元は1954(昭和29)年に登場した形式で、その後期型のうちの31両が77年から行われた新製車体への更新と新たに車両番号を7001〜7031とする変更を経て、2017年まで活躍しました。

 

 

荒川線は廃止を免れた都電の27、32系統をつないだ路線で、74年にいまの形がつくられました。車体が新しくなった7000形は従来の路面電車のイメージを一新するような軽快な外観で、新しい都電を印象付けました。

 

 

地下鉄千代田線や京成本線と接続する町屋駅前に停車中の更新7000形。写真は車体色の変更、冷房化、パンタグラフ化などが行われた1987年の姿

 

 

 

私は幼少期に東京に住んでいて、都電荒川線沿線には祖父母らが住んでいたため、この7000形はとても身近な存在でした。一方でブルートレインなどと違って趣味的には見ていなかったようで詳しく調べたりはせず、その外観から後年まで「昭和50年代生まれの新車」だと思い込んでいました。

 

 

78年4月に発行された都電荒川線新装記念乗車券。6000形(上)とともに登場時の更新7000形の姿がデザインされています。本体はソノシートになっていて「音でたどる都電荒川線」(語り・三遊亭圓右)が収録されています

 

 

 

一緒に活躍していた7500形が84年から大掛かりな更新を受けると、7000形もそれに合わせ、おなじみの黄色い車体色からアイボリー字に緑色の帯が入った塗装となり、冷房化やパンタグラフ化もあり、外観がすっかり現代風に変わりました。

 

 

ただ、7000形は都電伝統の車体色×軽快なデザインの組み合わせだったからこそスタイリッシュに見えたように思います。新塗装はさわやかで好感が持てましたが、車体そのものから受ける印象としては、逆に新しさが消えたような気もしました(新塗装だった期間の方が圧倒的に長く親しまれたのですが…)。

 

 

その後、平成の時代となり8500形、8800形、8900形など後継形式が登場すると、7000形は少しずつ数を減らし2017年に退きました。しかし一部は足回りを換装するなどして「7700形」として新たな活躍を見せているので、車体だけを見たら現役を続けているともいえます。

 

 

旧7000形製造当初と比べれば全くの別物になっていますが、時代に合わせて何度か更新工事を受けて「最新型」7700形になった古さと新しさが交錯した歴史は、なかなか興味深く感じます。電車の上を変え下を変えの順番でいえば同形もいずれは車体が一新されそうですが、昭和50年代以来の更新7000形の「顔」はまだまだ沿線に親しまれそうです。