西日本鉄道は2022年7月5日、プレスリリースにて8月28日にダイヤ改正を行うと公表した( 西鉄天神大牟田線連続立体交差事業高架切替日が2022年8月28日(日)に決定！ 【2022年8月28日（日）実施】西鉄電車ダイヤ改正のお知らせ )。今回はこれについて見ていく。
1. 高架化で所要時間短縮へ！
今回の2022年8月28日西日本鉄道ダイヤ改正では、2021年3月13日西日本鉄道ダイヤ改正以来約1年5か月ぶりに天神大牟田線系統でダイヤ改正を実施する。
今回のダイヤ改正では天神大牟田線雑餉隈～下大利間を高架化するのに合わせ区間最高速度を引き上げ、所要時間短縮を図ることとなった。
今回の雑餉隈～下大利間連続立体交差化はほとんどの区間で直上方式による高架化を図るほか、複線同時に高架化を図る。
なお高架区間のうち雑餉隈～春日原間に設置予定の桜並木駅(仮称雑餉隈新駅)は2023年度末の開業を予定しており、今回のダイヤ改正では開業しない。駅名が桜並木というのは紫駅並みに抽象的だが、西日本鉄道では地名はもう駅名に採らないということなのだろうか。
今回のダイヤ改正では高架化による最高速度引き上げに伴い、昼間を中心にほぼ終日に渡り特急と急行で2分、普通で1分程度の所要時間短縮を図る。普通は原則西鉄二日市で特急や急行の待ち合わせを行うことから、特急・急行・普通にて西鉄二日市以南で2分の時刻変更を行う。これにより西鉄二日市以南では下り(西鉄久留米・大牟田方面)はほとんどの列車で2分繰り上げるほか、上り(西鉄福岡天神方面)ではほとんどの列車で2分繰り下げる。
なお今回のダイヤ改正で西日本鉄道では終列車の時刻の繰り上げはしていないとしているが、厳密には最終列車の始発駅発車時刻に変更はないの誤りであり、雑餉隈～下大利間での所要時間短縮は深夜時間帯も行っている。このため下り(西鉄久留米・大牟田方面)は下大利以南で概ね2分～3分程度終列車を繰り上げるほか、上り(西鉄福岡天神方面)では春日原以北で1分程度終列車を繰り上げる。
ただ雑餉隈～春日原間を普通列車でも2分で到達することから、桜並木駅の停車時間に相当する余裕時分は確保していない。とはいえ、西鉄二日市で急行連絡待ちのために7分～9分も停車する程であるから、特急や急行の運転時刻を変えることなく停車時間調整のみで桜並木駅の停車時間を確保することは十分可能ではあるが。というか、昼間に大橋で普通が特急や急行の待ち合わせを行う必要はあるのか甚だ疑問に思う。昼間くらいすべての列車が西鉄福岡(天神)～西鉄二日市間は全列車先着ではいけないのだろうか。
2. オフピークを中心に減便実施へ
前回の2021年3月13日西日本鉄道ダイヤ改正では全日に渡り朝ラッシュ時に減便を図る朝ラッシュ時ピーク時の特急の運転を取りやめたが、今回の2022年8月28日西日本鉄道ダイヤ改正ではオフピークを中心に減便を図っている。
今回のダイヤ改正では平日は713本から686本に27本減便(うち太宰府線4本、甘木〜大牟田間2両ワンマン普通が2本減便)、土曜日は642本から631本に11本減便(うち甘木〜大牟田間2両ワンマン普通が4本減便)、日曜祝日は626本から617本に9本減便(うち甘木〜大牟田間2両ワンマン普通が4本減便)することとなった。
今回のダイヤ改正では平日朝オフピーク時に天神大牟田線で長距離列車を中心に減便を図っている。西鉄柳川7時22分発急行西鉄福岡(天神)行きは西鉄二日市8時36分発急行西鉄福岡(天神)行きに大きく短縮することとなったほか、西鉄柳川7時38分発普通西鉄福岡(天神)行きを大善寺8時08分発普通西鉄福岡(天神)行きに短縮、大牟田7時33分発急行西鉄福岡(天神)行きおよび津福8時11分発急行西鉄福岡(天神)行きを廃止することとなった。
救済として大牟田7時56分発特急西鉄福岡(天神)行きを大牟田7時55分発急行西鉄福岡(天神)行きに格下げした。ただ先述したように雑餉隈～下大利間高架化による高速化を図ったため、西鉄福岡(天神)到着は9時05分着から9時06分着に1分の繰り下げに留めることができている。
このように筑後からの列車を多く減便している背景には、前回の2021年3月13日ダイヤ改正では近距離の列車を中心に減便したため大善寺以南での減便はあまりなかったこと、筑後は筑前と比べ人口減少が著しいことから利用が減っていることが挙げられる。
なお先述した通り西鉄柳川始発の急行1本を西鉄二日市始発に短縮したことから、西鉄二日市始発西鉄福岡(天神)行き急行は3本から4本に増加することとなった。この列車は2021年現在6両での運転であるが、オフピークなのと運転区間を大きく短縮することから平日朝ラッシュ時の普通同様4両や5両に減車してもおかしくはなさそうだ。
これにより平日朝オフピーク時に西鉄二日市以北では急行以上を2本減便することとなったほか、西鉄久留米では平日朝に西鉄福岡(天神)行きの急行以上が3本も減便することとなった。
これらの減便により3運用削減する見込みだ。西鉄福岡(天神)駅改良工事のために乗降時間を短縮するために導入した4ドアの6000形から優先的に廃車になるのではないだろうか。
このほか今回のダイヤ改正では平日10時台の小郡始発終着急行2往復を廃止し、救済として特急格2往復を急行に格下げた。
また平日夕方にもオフピークに減便を行っている。今回のダイヤ改正では西鉄福岡(天神)17時21分発急行筑紫行きおよび西鉄福岡(天神)19時21分発急行西鉄二日市行きを廃止する。これにより平日夕ラッシュ時に急行と特急を合わせて毎時8本運転する時間帯が2時間30分から1時間30分に縮小することとなった。
一方西鉄福岡(天神)17時13分発および17時43分発急行筑紫行きを津福行きに延長した。これにより急行津福行きが復活することとなった。
もっとも今回の西日本鉄道ダイヤ改正では平日オフピーク時こそ筑後方面で列車の減便を大きく図った。ただ、依然西鉄福岡(天神)～大牟田間にてほぼ終日に渡り毎時2本の急行以上の速達列車を運転することに変わりはない。
このほか甘木線で甘木7時38分発普通大牟田行き花畑8時19分発普通甘木行きの1往復を廃止した。
3. 土休日にわずかに減便も毎時2本の特急維持へ！
このほか今回の2022年8月28日西日本鉄道ダイヤ改正では、土曜ダイヤや日祝ダイヤでも減便を図っている。
土曜および日祝ダイヤの朝は、西鉄福岡(天神)6時23分発特急大牟田行きを6時30分発に7分繰り下げたほか、西鉄福岡(天神)6時38分発急行筑紫行きを6時43分発に5分繰り下げることで利便性を向上する。また西鉄小郡7時34分発普通西鉄福岡(天神)行きおよび西鉄福岡(天神)9時19分発普通筑紫行き、西鉄福岡(天神)22時40分発普通筑紫行きを減便した。このほか土曜ダイヤでは西鉄福岡(天神)8時19分発急行筑紫行き、日祝ダイヤでは西鉄福岡(天神)7時25分発普通西鉄小郡行きを減便した。
このほか西鉄柳川5時44分発普通本郷行きおよび花畑7時33分発普通甘木行き、折返しの本郷7時07分発普通大牟田行きおよび雨具7時33分発普通花畑行きの2往復を廃止した。これにより甘木線は土曜と日祝は終日に渡り毎時2本化したほか、土曜ダイヤ・日祝ダイヤから甘木線本郷行きと本郷始発が消滅することとなった。
このほか西鉄柳川7時31分発普通西鉄福岡(天神)行き(筑紫より急行)を西鉄柳川7時48分発急行西鉄福岡(天神)行きに格上げし、区速化を図っている。これにより大善寺～大牟田間では朝の7時台の普通が毎時4本から毎時3本に減っている。
平日は特急の運転しない時間帯がさらに増えたが、土曜及び日曜祝日は朝ラッシュ時を除いてほとんどの時間帯で特急を毎時2本運転し続けることとなった。
JR九州では2018年3月17日ダイヤ改正で昼間の大牟田方面直通の快速を廃止し原則久留米乗り換えとしたほか、2022年9月23日ダイヤ改正では平日朝夕ラッシュ時もほとんどの列車で鳥栖や久留米で系統分割を行うことで、博多と久留米・大牟田を直通で結ぶ列車がさらに減ってしまう。そう考えると今回の2022年8月28日西日本鉄道ダイヤ改正は減便こそあるもののまだ良心的で、筑後地方と福岡市間の輸送を続ける意思は十分あるということなのだろう。
このほか今回のダイヤ改正で土曜・日祝の朝の花畑以南の車掌常務の普通列車が減少している。もっとも急行格上げのため減便ではないが、乗務時間減少による経費削減は狙っていると言っていいだろう。今後土曜・日祝の朝も4両ではなく昼間や平日夕ラッシュ時同様2両ワンマンで輸送できるとなれば、減車とワンマン化を図る可能性が高い。
今回の土曜ダイヤ・日祝ダイヤでの甘木線内の終日毎時2本化で大牟田方面へ朝も2両不通を運用できる余力が生まれたことを考えると、土曜・日祝の大善寺以南の普通の朝も含む全列車2両ワンマン化はかなり現実味を帯びてきているのではないだろうか。
4. 結び
今回の2022年8月28日西日本鉄道ダイヤ改正では、雑餉隈～下大利間の連続立体交差化事業に伴い複線同時の高架化完成に伴い当区間の最高速度を引き上げほぼ終日に渡り所要時間を短縮することとなった。
ただ合理化のためにオフピークなど一部時間帯で減便を図ることとなった。
今後さらなる運賃値上げも模索している中、西日本鉄道で土曜案ダイヤ改正を行うのか、見守ってゆきたい。
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