レン鉄★気ままな乗車記

乗り鉄&きっぷ鉄の管理人が、備忘録を兼ねてブログに綴っていきます。

乗り鉄&きっぷ鉄っぽい管理人が、乗り鉄旅行とそこで使用したきっぷを思うがままに記録したブログです。
どうぞ、お付き合いください。
 

観光列車「SAKU美SAKU楽」に乗車

 JR旅客6社では、地元自治体や観光事業者と共同してデスティネーションキャンペーン(略してDC)と呼ばれる大型観光キャンペーンを実施しています。キャンペーン期間中は、地域の魅力を全国に発信しようと工夫を凝らした様々な企画やPR、各種イベントが開催され、旅行会社からも関連する旅行商品が発売されるなど、DCは誘客促進や観光振興に一役買っているところです。また、これまでに開催されたDCでは、開幕のタイミングにあわせて新たな観光列車を運転したり、期間限定のイベント列車が設定されたこともあり、乗り鉄的な視点からも注目したい一大イベントとなっています。ちなみに僕の住んでいる愛知県においても、2018年10月から12月までの期間で愛知DCが開催され、お膝元となるJR東海は、313系8000番台の車両に郷土ゆかりの三英傑や県内観光施設などをラッピングした車両を登場させました。僕も当時、このラッピング車両を使用したイベント列車である「知多鉄道酢トーリー号」に乗車しています。

len-railway.hatenablog.jp

 そんなDCですが、近年は、4月から6月、7月から9月、10月から12月、そして1月から3月までの期間を単位として実施されることが多く、特に1月から3月までの期間は“京の冬の旅”として京都市で開催されるのが通例となっています。今年度について見ると、4月から6月までの春季については設定がなく、7月から9月までは岡山県、10月から12月までは佐賀県長崎県で開催されます。佐賀・長崎両県での開催は、おそらく9月23日の西九州新幹線(武雄温泉-長崎間)の開業にあわせて実施されるもので、N700S車両の「かもめ」や、新幹線開業と同時に運行を開始する「ふたつ星4047」が大きな注目を集めることと思います。一方、7月からDCが開催される岡山県でも、“こころ晴ればれおかやまの旅”をキャッチフレーズに、様々な企画が用意され、DCにあわせて「おか鉄フェス 2022」を開催するなど、こちらも鉄道ファンのハートをがっちりと掴む企画が用意されています。この中でも乗り鉄的に特に注目したいのは観光・イベント列車で、今回の岡山DCでは、津山線を走る新たな観光列車として「SAKU美SAKU楽」が運行されることになりました。そこで今回は早速、7月1日に運行を開始したばかりの「SAKU美SAKU楽」に乗車するため、岡山経由での津山までの乗り鉄旅を楽しんできましたので、そちらを紹介したいと思います。

 まずは、いつものように下調べと旅行行程の作成から準備を進めます。「SAKU美SAKU楽」は岡山DCの期間にあわせて、7月から9月までの金・土・日・月曜日にそれぞれ1日2往復ずつ運行されています(10月以降も運行されるようですが、現時点で運転日は発表されていません)。運転区間は岡山⇔津山間で、金・土・日曜日は臨時列車として「SAKU美SAKU楽」が単独で、月曜日は定期列車である快速ことぶきの岡山方に連結して運転されており、単独運転日と併結運転日とで運行ダイヤも異なっています。

 今回は、18日の休日出勤の代休を22日の金曜日に取得することにしたため、この日に乗車することを決めましたが、まずは1号から4号までのどの列車に乗車するのかを決定する必要があります。ちなみに「SAKU美SAKU楽」の車内では乗客全員にお弁当またはスイーツと沿線のお土産が提供されることになっており、乗車する列車によってその内容も異なっています。乗車する時間帯としては、1号でも2号でも対応できそうでしたが、1号の車内で提供されるお弁当に魅力を感じ、津山12時52分発の「SAKU美SAKU楽」1号に乗車することにしました。

 なお、津山までは岡山経由で向かうため、名古屋から岡山までは新幹線に乗車し、岡山から津山線を利用します。復路の津山から岡山間で「SAKU美SAKU楽」に乗車し、岡山から名古屋までは再び新幹線に乗車します。ちなみに利用する旅行商品の都合上、往路では新大阪で乗り換える必要があり、これらを踏まえて次のような行程を作成しました。

山陽・九州新幹線用のN700A新大阪駅 2022/7/22

 名古屋-新大阪間は東海道新幹線のひかり号に、新大阪-岡山間は山陽新幹線のひかり号に乗車します。上の写真は新大阪駅で撮影した8両編成のN700Aです。同じひかり号であっても、東海道区間に直通または東海道区間で完結する16両編成のN700Aと異なり、山陽または九州区間のみを走行する8両編成のN700Aでは、普通車のうち自由席と指定席とで座席の差別化が図られています。今回は普段あまり乗客する機会が少ない8両編成のN700Aに乗車しましたが、やはり2+3列配置の普通車に比べて座席は非常にゆったりしており、在来線であればグリーン車の座席に匹敵するといっても過言ではないと思います。今回は新大阪-岡山間の50分間の乗車でしたが、あまりの心地良さに乗車早々に寝てしまい、気付けばすでに岡山直前でした。寝過ごさなくてよかったです😅

 岡山からは津山線で津山に向かいます。津山線に乗車するのは今回が初めてです。津山線岡山駅から津山駅までを結ぶ路線距離58.7kmの地方交通線で、全線単線・非電化の路線となっています。定期列車としては快速ことぶきと各駅停車の普通のみ運転されており、いわゆる優等列車は設定されていません。使用されている車両は、国鉄気動車であるキハ40系気動車がメインとなっています。

津山線で使用されているキハ47形ノスタルジー編成:岡山駅津山駅 2022/7/22

 往路となる岡山→津山で乗車したのはキハ47形のノスタルジー編成です。わざわざこの編成を狙っていた訳ではありませんが、乗車予定だった列車にたまたま充当されていました。この編成は、6年前の岡山DCにあわせて登場し、観光列車「みまさかノスタルジー」号で運用されたこともある列車です。

 ワンマン運転の2両編成で、観光列車とは言っても車内はいたって標準的な気動車ですが、津山方車両の車端部にテーブル付きの1人掛けカウンター席が4席設置されています。青春18きっぷ利用可能期間ということもあってか乗客は多く、岡山発車からしばらくの間はカウンター席もすべて埋まっていましたが、途中で気が付くと空席があったため、僕も利用してみました。長時間の乗車には不向きなカウンター席ですが、短時間であれば車窓を眺めるにはちょうどいい席です。今回の乗り鉄旅では復路の津山→岡山で乗車する「SAKU美SAKU楽」がメインとなりますが、期せずしてノスタルジー編成にも乗車することができ、運のいい津山線乗り鉄旅をスタートすることができました。

 津山駅からはいよいよ「SAKU美SAKU楽」に乗車します。往路で乗車したノスタルジー編成と同様、SAKU美SAKU楽編成もキハ40系気動車の一つです。同じJR西日本が運行する「ベル・モンターニュ・エ・メール」「花嫁のれん」「あめつち」などにも同じ系列の気動車が使用されており、JR西日本が手掛けた観光列車の定番とも言える車両です。
 まずは、今回乗車する「SAKU美SAKU楽」1号のダイヤを紹介しておきます。

 Webページなどで案内されているのは津山駅の発車時刻と岡山駅の到着時刻のみで、臨時列車として単独運転される際の途中停車駅は正式には公表されていないようです。実際に乗車してみると、途中の亀甲駅弓削駅に停車しましたが、僕が乗車した「SAKU美SAKU楽」1号では両駅ともそれぞれ4分程度しか停車時間が設けられておらず、車外には出ずに車内で過ごすよう案内がありました。せっかく観光列車として運行するのであれば、乗客が車外でも写真撮影等を楽しめるよう、もう少し時間に余裕のある停車時間としてもらえるといいなと感じました。なお、「SAKU美SAKU楽」は1号から4号までそれぞれ乗車時間が微妙に異なりますが、僕が乗車する1号はちょうど1時間20分です。

SAKU美SAKU楽号で使用されているキハ40形:津山駅 2022/7/22

 上の写真は津山駅で撮影した「SAKU美SAKU楽」です。全面が淡いピンク色となり、ところどころに花びらをイメージした扇型の模様が散りばめられています。往路で乗車したノスタルジー編成は、国鉄時代の急行色を復刻させたものでキハ40系気動車にとってはベストマッチなカラーリングとなっていましたが、「SAKU美SAKU楽」のピンク色も斬新なスタイルで、さらに1両単独のこじんまりした外観から、列車名と相まってなかなか可愛い感じがしました。

 乗車日は金曜日ということで、乗客はそれほど多くないのではないかと予想していましたが、団体での利用があったようで意外と乗客が多く、車内にある4人掛けボックス席はすべて埋まり、ロングシート部に設置された座席にもあまり空席はありませんでした。上の写真は車内に入った直後に撮影したものです。ロングシート部分には2名で使用する可搬式のテーブルが置かれ、テーブル中央部分には新型コロナウイルス感染症対策としてアクリル製のパーティションが据え付けられています。僕は1人での利用となるため、ロングシート席となりましたが、テーブルは固定されておらず、しかもパーティションで区切られてかなり狭いため、少し不便に感じました。今回は運よく両隣が空席でしたが、もし両隣に他の乗客がいると、かなりの圧迫感があると思います。車内でお弁当やスイーツを楽しむ列車としては、もう少し配慮や工夫があったほうがいいかも知れません。

 車内には、乗車時点ですでに各テーブル上にお弁当とお茶が置かれていました。乗車時間が1時間20分で、さらにデザート類も提供されることから、あまり時間をかけて食事をする余裕はなく、多くの方は発車早々にお弁当に箸を付けていました。1号で提供されるお弁当は、イタリアンのシェフが監修したもので、『体の中から美しく』をコンセプトに地元の食材にこだわって作られたイロドリちらしです。メインはローストビーフですが、夏野菜も盛りだくさんで、見た目にも楽しめるお弁当になっていました。量的にもちょうどよく、もちろんお味も申し分ないものでした。

 「SAKU美SAKU楽」1号は途中の亀甲駅弓削駅に停車しましたが、亀甲駅ではアイデア料理研究家の方が監修したスイーツ(黄身だんごとフルーツのバターサンド)が、弓削駅では特産品の「ゆず」と豆乳で作ったシャーベット状のミルクセーキが、それぞれ車内に運び込まれて乗客に提供されました。僕はスイーツ系は大好きなので、どちらも美味しくいただきましたが、お弁当を食べ始めたばかりで直ぐにデザートが提供されるとは思っていませんでした。今回は2人用のテーブルを1人で利用することができたことから、特に問題はありませんでしたが、本来の1人分のスペースにお弁当とスイーツの両方を並べる余裕はほとんどないので、提供するタイミングについては検討の余地があるかなと感じました。

 今回の乗り鉄旅で使用したきっぷ類をすべて紹介します。名古屋ー新大阪間はJR東海ツアーズの旅行商品を、新大阪ー岡山間は日本旅行の旅行商品をそれぞれ使用しました。新大阪で分割せずとも、本来であればJR東海ツアーズの「日帰り 1day 岡山」を利用すればいいのですが、岡山までの旅行商品を利用した場合に乗車可能な帰路の新幹線があまりに少なく、名古屋への到着も相当遅くなってしまうため、やむを得ず分割して別々に購入しました。日本旅行の乗車票は駅の指定席券売機でのみ受取可能ですが、名古屋近辺の駅では受け取ることができないため、当日に新大阪で一旦下車して改札を出て乗車票を受け取る必要があります。多少の手間はかかりますが、今回は全体的に時間に余裕のある行程としたため、特に問題はありませんでした。

 「SAKU美SAKU楽」の乗車票も日本旅行で購入していますが、こちらは指定席券売機での受け取りのほか、自宅への郵送も可能とのことだったため、事前に郵送してもらいました。マルス券の券面には、列車名として「SAKU美SAKU楽」と表記されるのかと思っていましたが、実際にはひらがな表記でした。

 そして最後の1枚は、帰路の名古屋→金山で使用したきっぷです。名古屋駅の新幹線地下街エスカにある金券ショップの自販機で購入した普通回数券のバラです。JR東海は9月末をもって普通回数券の販売を終了することをすでに発表しており、数か月先にはこうした普通回数券のバラ売りも見ることができなくなります。そうしたこともあって、今回はあえて普通回数券のバラ売りを買ってみました。

 「SAKU美SAKU楽」に乗車する乗り鉄旅は以上のとおりです。今回は当日の天気が心配されましたが、津山では晴れ間もあり、雨に降られることもなく無事に予定どおりの行程を終えることができました。ところで話は少し変わりますが、夏季の青春18きっぷ利用可能期間となりました。津山線の車内でも18きっぱーらしい人を何人か見かけました。この時期になるとよく迷うのですが、今年は今のところ5回分の青春18きっぷを購入する予定はありません(急に気が変わって購入するかもしれません)。そんな計画性のない状態ですが、また8月になったら乗り鉄旅に出かけたいなーと思ったりしています。