昨日日本語学校のオンライン授業についてのある講演会の話を紹介したが、この2年間で、日本語教師の間の世代間の力関係が大きく変化したと感じたことを話したい。
けんじいの勤務する日本語学校は8年前に就職した頃は本当にひどい管理運営状況だった。4年ほど前に就任した新校長が「この学校が非常勤の先生方の力で運営されていることを実感します」と認めたほど、ベテランの非常勤の先生がほとんどを仕切っていた。期末テスト問題さえ作っていた。
その後段々と若くて有能な常勤の先生が定着し始め数も増えた結果、徐々に本来の姿になってきた。そこへこのコロナ禍、授業のオンライン化である。
それまでけんじいなどは、「毛沢東が蒋介石を台湾に追いやった1940年代の話と劉少奇を文化大革命で失脚させた1960年代の話」の区別も知らない若い女の先生を「そんなことも知らないのか」と心中馬鹿にしていた。
しかし今やズームだ、グーグルドライブだ、スラックだと言われて、操作方法を聞き返すたびに「そんなことも知らないのか」と馬鹿にされているに違いない。それを繰り返しているうちに、常勤、非常勤だけでなく、同じ非常勤の中でも今まで遠慮気味だった若い世代となんとなく威張っていた古い世代の力関係が逆転したように思う。
今の若い人は礼儀正しいのでそんなことは態度に出さないのだが、「すみません、教えてください」とやっていれば、自然雰囲気やムードは変わる。もちろん問題は授業の中身なので、人生経験の長い世代にはその分強みがあるはずだが、現代の学生に役立つかは自信がない。
以上は非常勤の多い日本語学校の話なのだが、同じような他の組織ではどうなのだろうか。また常勤の多い普通の会社ではどうなのだろうか。さらに誤送金事件もあったがお役所ではどうなのだろうか。普通に考えると、上司たちが実はデジタルデバイドのせいで仕事ができないのに、偉そうにしている状況に反乱が起きてもおかしくないように思えるのだが、実際はどうなのか。興味のあるところだ。そして政治は多分一番遅れていて、ちっとも変わっていないのだろうなあと思ってしまうのだ。