タイトルの元ネタ、もう初回放送が7年も前になるんですね… 今日はお団子さんの誕生日です。
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さて今日はMicrosoft Excelを用いて横須賀線・総武線E217系の直近保全後の走行距離を推定しようという記事です。
横須賀線・総武線のみならず関東の鉄道各線は目撃情報をもとに日々の鉄道車両運用を趣味的に記録する「運用調査」なるサイトが存在し、関東を活動拠点とする鉄道趣味者で知らない人はいないのではないかというほど必携のツールになっています。この運用調査サイトの過去データおよび各運用の行路表から、編成毎に直近の保全出場後の走行距離を算出し次の保全入場または廃車の時期を探る、というのが目的。
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筆者の手元のエクセルファイル。実際に入った運用を記録して算出した方が高い精度の結果が得られますが、如何せん1編成あたり最長3年程度の毎日の記録を手打ちで入力していると算出に大きく時間がかかってしまうため、全ての運用に等確率で入るものとして平日/土休日ダイヤ、改正毎に平均走行距離を算出し、その平均走行距離×走行日数で簡易的に走行距離を算出します。

①駅間営業キロを算出する
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E217系の運行範囲のうち、折返列車が設定される駅の営業キロを計算します。幕張車両センター入出庫は津田沼駅発着のものと幕張駅付近の入出庫線を介するものがありますが、いずれも幕張本郷駅の営業キロを用いて、前者は津田沼~幕張本郷、後者は幕張本郷~千葉間の営業キロ分を回送したものとして扱います。品川~横浜間は品鶴線経由のため東海道本線の営業キロではなく、品鶴線の営業キロを用いる点に注意が必要です。この表には掲載されていませんが、朝晩の鹿島神宮発着の列車は鹿島サッカースタジアム滞泊になる為その区間の営業キロ(3.2km)も計算に必要になります。これ以外の構内回送(大船駅~鎌倉セなど)は距離データが見当たらなかったため省きました。

②運用別の走行距離を算出する
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各運用の行路一覧(運用サイトにも過去データが格納されています)をまとめてコピペします。
始発・終着駅の抽出はデータツールの「区切り位置」を使用した後にMID関数を用いるなどして行い、対応する走行距離をVLOOKUP関数で算出し最後に足し合わせます。運用サイトの行路表には回送列車は記載されないので、幕張入出庫運用や錦糸町留置線への回送がある運用は手作業で修正が必要です。
筆者のExcelはこの作業を簡略化する為に終着駅を「錦糸町」に書き換えると自動で東京~錦糸町間4.8kmが加算されるようにしてあります。
付属編成は久里浜、横須賀発着の場合は自動で逗子発着となるようにIF関数を用いると作業が楽です。
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算出が完了したら運用別の走行距離をまとめ、平均値とそのダイヤでの走行日数を算出します。
このとき最初からE235系専用運用だった運用(21年改正のA17~A25,22年改正のA25~A47)は平均算出から除外すると精度が向上します。20年改正までは総運用の距離和を編成数(基本51/付属46)で除して求めましたが、以降は編成数からE235系専用運用を差し引いて考えます。共通運用は扱いに困りましたが、とりあえず他の運用同様に等確率でE217系も入るものとして扱いました。
num欄は各ダイヤの適用日数で、以下で計算します。

③平日ダイヤと土休日ダイヤの日数をカウントする
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行路が大きく異なる休日ダイヤの日数を確認する為、土曜/日曜以外で休日ダイヤの適用日となる日の一覧表を作成します。この日付は手作業で打ち込む必要があります。
赤太字は振替休日の設定対象になる日曜日に被る祝日です。年末年始ダイヤに被る日(2022年1月2日)なども条件付き書式で太字になっていますがこちらは振替休日の設定はなく、あくまで国民の祝日が日曜日と被った際に忘れずに振替休日を設定するための表示です。
記事執筆時点で現存する編成のうち最終保全出場が最も早いY-119編成が2019年2月出場ですが、このExcelを作成した頃は最終出場2018年の編成が居た為2018年から作成しています。2024年中には全廃されるだろうという体で24年分までしかありませんが、未だに車体保全を通す編成が居るような状況なので2025年も平気な顔をして走っていそうで怖い。

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祝日一覧が完成したら、平日休日を判別するセルを用意します。画像は上の行から順に日付(オートフィル)、曜日(WEEKDAY関数、月曜を1とする)、祝日/年末年始(VLOOKUP関数、先ほどの一覧表からYEAR関数を用いて参照行を決定)、ダイヤ判別(IF関数、2行目が0かつ3行目が空欄なら平日ダイヤ=0,そうでなければ休日ダイヤ=1)、適用ダイヤ(手入力、ダイヤ改正日から次の改正日まで)です。
後はCOUNTIF関数で画像の4行目の1のセル(土休日ダイヤの日数)を数えれば完了です。

④疎開日数を数える
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走行距離算出の際に大きく影響するのが疎開です。E235系への置換過程で長い編成では3か月程度一切運用に就かないこともあるため、この疎開日数のカウントが重要になります。筆者は過去にExcelで山手線のラッピング日数を数える為に、VBAマクロを使用し「色がついたセルの個数を数える」関数を作成したことがあった為、今回もそのマクロ関数を使用し、疎開期間はセルに色を塗ることで日数をカウントします。平日と休日は別でカウントします。

⑤編成毎に走行日数×平均走行距離の値を求め、総和を推定走行距離とする
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走行日数はダイヤ改正および平日土休日ダイヤを分けて計算します。
2019年3月改正ダイヤの場合、その編成の保全出場が2019年3月16日から2020年3月14日の間の場合、(出場日から改正前日までの日数)×(2019年ダイヤの平均走行距離)で算出します。2020年改正以降は日数計算において、疎開日数を減じます。ここの計算式は長いので省略…

こうして出来上がった編成毎の保全後推定走行距離は以下の通りになります。(執筆日時点)
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一部編成は実際の運用に基づいた走行距離計算をしたものが別にありますが、それとの差は±6000km程度に収まっています。「検切予想日」はこのまま疎開を1度もすることなく毎日現行ダイヤの平均走行距離分走行したとして、60万kmに達する日を示しています。計算式は「(60万-現在の推定走行距離)/((5*平日平均走行距離+2*休日走行距離)/7)+今日の日付」です。基本編成は概ね前回保全から3年、付属編成は同3年4か月程度の日数を示すようですが、実際に動きがあるのはこれよりもう少し早く、それぞれ4か月前倒しして基本編成は2年8~9か月、付属編成は3年程度(疎開日数分だけ後倒し)になる傾向があります。
結果から分かるように、疎開日数が長い編成はその分走行距離がたまっておらず、この差が動向に影響を与える場合がある点に留意して、消えゆく編成の記録を進めるのがよさそうです。
例えば基本編成では最も保全出場から日が経っているY-12編成より、保全出場時期は後でも疎開日数が少ないY-6編成、無疎開のY-30,32編成の走行距離が上回っています。付属編成でも、同時期保全の基本編成が全滅しているY-119編成(2019年2月出場)であっても付属編成の走行距離の少なさや疎開日数の多さも相まって現在も運用についていることが見えてきます。

…とか言っているとこちらの予想でもY-12,14の各編成より走行距離が少なかった(推測52万km前後)Y-3編成が早々とドナドナされていくような事例があるので、推定走行距離が48万kmを上回ったら要警戒でしょうか。

さてここまでひたすらExcelで計算する記事でした。本文を飛ばさず読んで眠くなった方、貴方の脳は正常です(笑)
E217系の編成記録の参考になれば幸いですが、過信は禁物でお願いします。