芸備線 と 持続不能の日本・その10
もう2022(令和4)年も半分が終わった6月ですが、今日の写真は昨年の11月7日に撮影したキハ40系です。
秋の風物詩″撓わに実った柿の実″の横を過ぎて行く、キハ回送を通り過ぎるまで連写しました。
この日の編成は下関方からキハ40-2077 + キハ47-1014 + キハ47-2013 + キハ47-1102 + キハ47-93の5両。
山陽本線 下関~広島間を疾走する国鉄型気動車は、ほんとにありがたい存在です。
回送ではなく、営業運転ならまだ嬉しいんですけど、途中で長時間停車の時間と回数がネックでもあります。
これがあるから旅客列車や貨物列車と干渉せず、定時運行を賢持している回送列車だったりしています。
さてこのキハ40系の回送ですが、広島近郊で気動車を使用するのは、非電化である芸備線のみで、そのためだけに広島まで送り込みされてきます。
もし将来、広島~狩留家間が電化された場合、狩留家~三次間そして三次~備中神代間は分断されます。
運用上は既に広島から新見・備後落合・庄原への直通運転はなく、必ず三次駅での乗り換えが強要され、列車本数も旅客が利用できるものではありません。
乗り換えは三次駅でのみではなく、現在の備後落合駅でも分離されており、3分割となっています。
かつては″ちどり″″たいしゃく″″やまのゆ″といった急行列車が3本体制で、広島から新見・米子・津山を結んでいました。
近年では快 速庄原ライナーや観光列車″etSETOra″″″○○のはなし″の運行などで利用促進策が図られ、単発の観光事業はそれなりに成果を上げています。
以前の記事で路線維持のための駅廃止も、有効な方法として議論の1つと述べましたが、そもそも芸備線の駅は芸備鉄道開業時よりも多く存在しています。
当時、新しい交通手段として路線バスが勢力を伸ばし始めていて、芸備鉄道はそれに対抗するためにガソリン動力併用認可を受けてガソリンカーを導入しました。
その折に停留場を小まめに設置して利用客誘致を図り、これらの停留場はホームの長さが車両1両分のガソリンカー専用駅で、「飛乗り駅」と呼ばれていました。
当時は点在していた駅周辺集落も無くなり、利用者が見込めないのであれば、視点を変えて都市間輸送と観光事業に特化するのも、鉄道というシステムでは他に真似のできない交通体系として構築できます。
しかしJR西日本随一の赤字区間であっても、1日の利用客一桁の駅であっても、その人たちの生活を斬り捨てるのか?は、自治体として選択し辛い現実もあります。
JR西日本としてもできることなら奪いたくないという気持ちがあることから、今回の沿線自治体への協議持ちかけを行ったのですけれども。
しかし路線維持困難であることは、近い将来には営業不能路線となることは間違いなく、廃線となればそれ以上の生活圏を奪うことになります。
国鉄が分割民営化され、株式一般開放による完全民営化が実施された2001年、その時に国交省が明言した「地元の了解がなければ廃線はできない」の規程は、2022年の現在も生きています。
しかし沿線自治体もその規程に油断していると、JR西日本の会社再建法適用へ追い込むことも視野に入れなければなりません。
沿線自治体はJR西日本に国鉄の二の舞を踏ませるのか。
まだ始まったばかりの協議会と言うけれど、残された時間もそれほど無いことも事実です。
赤字ローカル線の再生に、 もっと多くの声が必要な現況ですが、沿線自治体にその声を聴く力があるのも気がかりです。
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