水島臨海鉄道さんの撮影会に行ってきました!(後編) | 湯郷温泉てつどう模型館&レトロおもちゃ館スタッフブログ

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岡山県美作市の湯郷温泉にある観光施設『湯郷温泉てつどう模型館&レトロおもちゃ館』のスタッフです。
美作市役所の地域おこし協力隊員として令和4年4月に赴任させていただきました。
当館の日常や鉄道ネタ、地域おこし協力隊について書いていこうと思っています。

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中編からの続きです・・・)

 

 

ではでは満を持しましてこのクラウドファンディング最大の目玉車両であるキハ205について見ていきます。

このキハ205は前回紹介したキハ37やキハ30同様、国鉄が製造した気動車で、形式上はキハ20系キハ20形となります。

形態差はあれど日本全国津々浦々で活躍した形式で、総勢1126両が製造されました。

 

 

水島臨海鉄道キハ205は元々はキハ20-321という車両で、1960年生まれで高知を中心に活躍したのち、国鉄民営化を目前にして水島臨海鉄道にやって来たとのことです。

 

 

実はこのキハ205、前回紹介したキハ37やキハ38の活躍もあり、5年前の2017年に現役を退いています。

それから4年ほどここ倉敷貨物ターミナルに留置されていたのですが、車籍こそ抹消され法定検査を受けておらず営業運転に就くことはできませんが、いつか再稼働したいとの思いでエンジンがかかる状態で維持されていたそうです。

 

そして昨年、キハ37・キハ38のお色直しとこのキハ205の車庫内での動態保存に向けたクラウドファンディングが実施され成功に終わり、こうして綺麗になってお披露目されたというわけでございます。

 

 

水島臨海鉄道さんのご厚意で前照灯を点灯してくださりました。

 

 

こう並んでみても左の現役車両たちと遜色ない感じです。

何も知らなければキハ205も現役だと勘違いしてしまうことでしょう。

 

 

実はキハ30の貫通扉の窓枠のゴム云々のごとく、こちらは前後でライトの形状が異なっております。

倉敷貨物ターミナル寄り(幌付き)が原型、倉敷市寄り(幌なし)が国鉄103系電車と類似したものに交換されています。

 

 

 

車内はこんな感じで国鉄の匂いがムンムンする…

トイレが撤去されたり冷房が設置されたり変化はありますが、比較的原形をとどめているとのことです。

 

 

 

昔懐かしい青モケットのボックスシート

 

 

 

国鉄の近郊型や急行型気動車に見られた栓抜きと灰皿も現存しております!

ただ、末期は全面禁煙だったので灰皿があるのに禁煙という矛盾も…

 

 

 

最近の車両では名ばかりとなってしまっている網棚がきちんと網になっています(笑)

 

 

 

運転台は貫通型(他の車両と行き来できるようになっている構造)なのでコンパクトに纏められています。

 

 

 

扇風機には懐かしの国鉄マークが残っています。

 

 

エンジンが掛かっているので少々聴こえにくいですが、国鉄型気動車の風物詩、『アルプスの牧場』のチャイムも健在です。

ただ、やはり60年モノですのでたまに途中でストップすることも…

 

 

 

おお!JR四国の特急車両で始終着駅などで聴ける所謂『四国チャイム』も搭載されているとは!

ただこの車両、JR四国を経験せず、国鉄から直接水島臨海鉄道に移籍してるんですよね…

何らかの事情でどこかのタイミングでJR四国からやって来た車両の物に交換されたのでしょうか…?

 

 

 

楽しい時間はあっという間です。

早くも撮影時間の1時間が経ってしまいました…

全国のファンからの投資で動態保存車として復活を遂げたキハ205は今後倉敷貨物ターミナル内でイベント走行したり、体験運転に用いられるとのことです。

 

鉄道車両は自動車同様に車籍(自動車でいうところの車両ナンバー)を有していない場合、営業路線を走行することはできません。

まだ、車籍を保有していると自動車の車検に当たる重要部検査や全般検査を定期的に実施しなくてはならず、鉄道車両を動態保存する場合のネックになっています。

しかし車籍を一度抜いてしまうと、再度復活させようにも運輸局の厳しい審査を突破する必要があり、旧式の鉄道車両だとほぼ突破することは不可能に近いとのことです。

なので、島根の一畑電車さんなどではあえて車籍を残した上で動態保存されているケースもあります。

 

しかし、車籍を保有していない場合でも車庫内など、自動車でいうところの私道に当たるともいうべき部分においては車籍があろうが無かろうが走行は可能となっておりますので、水島臨海鉄道さんは今回そちらの道を選ばれたことになります。

 

 

 

キハ205の末長いセカンドライフを祈念しまして帰路に就きました。

 

最後に、今回クラウドファンディングという形で一度は引退した車両を復活させたり、懐かしの塗装に復刻してくださった水島臨海鉄道さんに感謝しつつ、終わりとさせていただきます。