今回のお話の舞台は、JR京葉線です。

 JR京葉線は、東京駅から蘇我駅(千葉市中央区)までを結ぶ路線で、東京~千葉を結ぶバイパス路線であるとともに、内房線・外房線へ直通する特急の通り道としての役割も果たしています。

 もっとも、多くの方にとっては、「東京ディズニーランドや幕張メッセへ行くときに乗る路線」「東京駅のホームがめっちゃ遠い路線」というイメージが強いかもしれません。

 京葉線には、特急・快速・普通の3つの種別がメインとなっているのですが、平日限定で「通勤快速」という種別の列車も設定されています。今回はこの「通勤快速」について解説します。

 

1.概要

 この通勤快速は、平日に2往復設定されています。いずれも内房線・外房線のどちらかに直通するのが特徴で、朝に上り東京行きが2本(内房線の上総湊発、外房線勝浦発・東金線成東発)、夕夜間に君津行き(内房線直通)と勝浦・成東行き(外房線・東金線直通)が1本ずつ設定されています。外房線直通列車のほうは誉田で勝浦発着の列車と成東発着の列車を分割(併結)しています。

 

2.特徴

 最大の特徴は、なんといっても停車駅にあります。

 

 ご覧ください、この通過っぷりを!! 通勤快速は京葉線内では八丁堀と新木場にしか停車しません。ディズニーランドの最寄り駅である舞浜も、幕張メッセの最寄駅である海浜幕張も一切スルーして、新木場~蘇我間の35.6kmをノンストップで駆け抜けます。

 東京~蘇我間の所要時間は、各駅停車が約50分、快速が約42分なのに対し、通勤快速は上りが39分、下りが33~34分となっています。特に下り列車は非常に速いのが特徴で、同区間を走る特急が所要31~35分であることを考えると、特急と同等の走りをしているといえます。

 最高速度は100km/hながら、東京~蘇我間の表定速度は約78.2km/h、新木場~蘇我に至ってはなんと約85.4km/hであり、最強の快速と評される関西地区・東海地区の新快速に匹敵する速さとなっています。実際に乗ってみると、すさまじい爆走という感じではありませんが、ひたすら100km/h近い速度をキープしたまま走り続ける、という感じです。

 

3.おわりに

 京葉線内は駅をスルーしまくる一方、蘇我から先の内房線内・東金線内は全駅に停車、外房線直通列車についても通過駅は4駅と、京葉線内での走りぶりからすると大きな差があります。これは、「通勤快速」が、内房線・外房線沿線の利用者が東京へまさしく”通勤”するための列車であることを意味しています。

 そんな通勤快速ですが、2022年3月のダイヤ改正により、上り列車2本が削減されました。残念ではありますが、通勤客の減少等を考えればやむを得ないかもしれません。それでも、関東地区から「通勤快速」が続々と姿を消していっている中で、京葉線の通勤快速は、今なお活躍しています。それだけ、房総民にとっては重要な列車なのです。