葛西氏の訃報で思う事 | 鉄道きさらんど

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先月、葛西敬之氏が亡くなった。

 

葛西氏については、一昨年の5月に取締役を退任して単なる名誉会長になることが報じられた(事実上の経営からの引退)タイミングで筆者はこう書いていた。

 

JR東海も毀誉褒貶激しい会社として評価されていて、葛西氏と絡めてあれこれ語られることが多く、葛西氏を支持する人は会社も好きだがそうでない人からは毛嫌いされる傾向にあったが、やはり今までのJR東海が葛西氏の属人的な人脈を生かした財界活動で今の地位を築いてきた会社だしその属人的なイメージが会社に重ねあわされ語られてきたのは無理なかったことではある。そこがJR東日本などほかのJR各社とも違うところ。また民鉄だともとから私企業というだけあってかつての西武=堤家のように創業の頃からのファウンダーのようなキーパーソンの属人的な活躍で会社が大きくなるというのはおかしくなかったが、JRのように公社を政治的な分割で作られた会社で公社のころからの「国鉄官僚」から分割後の新会社役員に政府から任命された人であるにも関わらずまるで創業者・オーナーのような振る舞いで旧公社系の企業では他に例を見ない「代表取締役名誉会長」にまでなるというその生きざまはこれまた特異だし、そういう人の属人的な政治力や発信力に任せきりだったJR東海という会社もまた特異な歩みをしてきたとはいえる。今後のJR東海はどういう道を歩んでいくのだろうか。

 

葛西氏は最近は体調が明らかに思わしくないようで、先々月にツイッターにアップされた駐日アメリカ大使と面会した時の写真ではげっそりとやつれてチューブをつけている様子だった。先月間質性肺炎で亡くなったが、個人的には数年前までの代表取締役の時のまだバイタリティのある姿が記憶に残っているだけに衝撃を受けた。

 

JR東海顧問の須田寛氏が90代なのにまだ元気よさそうにマスコミの取材を受けているので葛西氏も90歳までは大丈夫かな?と以前は思っていたが…。

 

前述したようにいままでは葛西氏の特異なパーソナリティとJR東海の会社のイメージが重ねあわされてきたが、名誉会長としてもいなくなった後のJR東海はどのような歩みをしていくのか。あまり、そこのけそこのけ唯我独尊わが道を行く特異な体質から、JR他社のような「普通の会社」に変わっていくのがいいだろう。

 

そうなればきっと、現在の最大の懸案のリニアの全区間の着工と開業の見通しも立つだろう。もうちょっと謙虚に歩み寄る姿勢になれば…。

 

ところで、葛西氏といえば国鉄改革で、国鉄改革といえば長期債務の処理だが…。

 

ちょうど四半世紀前に政府がJR7社の長期債務を追加負担させたとき、東日本を中心にJR各社は猛反発したが、東海は正面から事を構えることを避けて結局追加負担を課す法律ができた。

 

「このようにJR側の反発は強いが、政府・自民党の説得工作などで必ずしも7社は一枚岩ではない。JR東海は法的対抗措置で勝訴できるか疑問視し始めている」

「法案成立後、川崎運輸相はJR7社の社長と個別に会談し協力を求めた。(中略)またJR東海も支払いに応じる考えを示した。しかしJR東日本は、(負担に反対の)主張に変わりはなく、提訴の可能性を示唆。またJR西日本は1998年度下期に特別損失で負担額全額を計上し支払う方針だが、提訴の可能性を示唆したという。JR7社は1998年12月14日に東京都内で定例の記者会見を開いた。JR貨物を含むJR7社の社長と副社長が出席した。この中で長期債務追加負担について話し合ったが、国を相手に訴訟を起こすかなど、今後の対応について結論は出なかった。」

 

とはいえ束は人口集中する首都圏地盤だし、Cは$箱路線抱えてるから何とかなったが、酉は三洋なんて政治のために作られただけにぜんぜん儲かんねえし、在来はことごとく私鉄と競合だし、もうめちゃくちゃ。98年に追加負担の議論が国会で出た時に、社長の難谷も怒ってたよなあ。そりゃ怒るよ。ていうか、土壇場で日和って逃げたCの大風呂敷男、あいつ本当にきたねえ奴だよマジで。末田はスクラム組んで戦おうって言ってたのにな。風呂敷男氏ね。

 

 

丁度最近国鉄債務のことについてまた気になって調べていたときに葛西氏の訃報に際して、改めて色々調べてみたら葛西氏がJR東海社長だったころの追加負担の話がいろいろ見つかった。

 

JR東海や葛西氏はは新幹線買い取りやリニアのルート選定とかのぞみの名古屋飛ばしのように国や自治体の政治力に頼らない独立独歩の気風で鳴らしているようなイメージがあって、毅然とした姿勢に見えると評価する人がマスコミやネット上で結構いるが実際はどうなのかは割り引いて考える必要があると思う。