どこ鉄110 〜ヒントはいつも背後に | 菅野貴夫の野球電鉄

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俳優・菅野貴夫のブログです。
「どこ鉄」とは、友人から送られてきた鉄道写真を、それがどこで撮られたものかを推理・検索・悪戦苦闘しながら解いていくシリーズです。

こんにちは。




個人的な話ですが、18〜19年ほど勤務しているコンビニ夜勤をいよいよこの夏に辞めると決めまして。

「これだけ続けてきて今しかないと自分で決めたんだから、これでいいのだ」という前向きな気持ちと「ホントに他の仕事でやっていけるのかな」という不安が日々さざ波のように押し寄せてきます。



何年か前、人生数度目の路頭に迷った時に買った禅の本にも「手放してこそ大切なものが手に入る」とありましたし、まあそういう事なんだろうと。



さあそんなわけで、今後どんな仕事をやることになろうと死守して手放さないコチラをやっていきましょう。




まずは加瀬さんからの1枚。

夜の都市部。

高架の駅前にタワマン。


向こうに見えるガラス張り(ペデストリアンデッキ?)に駅の構造が映り込んでいるけど、拡大してもよく分からない。


鉄道要素も写っているものは最低限で、ここから追えるセンはまるで無し。



仕方なく「常磐線 駅前 タワマン」で検索。

常磐線を入れたのは、別に常磐線に絞っているわけではなく(加瀬さんがそっち方面の駅が多いのもあるけど)物件情報寄りの検索結果を避けるため。見たいのはあくまで外観。



↑南千住のタワマンがルックス的にも(茶色いラインが縦に2本)高架駅としても引っかかったものの、残念ながら人違い。



タワマンなんて無縁だから、そんなマジマジと眺めたことないもんな……と貧乏人のダウナーな思いが漏れ出てきますが、ここは愚直に南千住のタワマンから類似画像検索。

お!こっちのほうが近いな。

市川か。降りたことないから駅前もピンと来なかったわけだ。



では元の写真↓


探し出した画像↓

駅前のデッキ、線路との間にある屋根と階段、そしてタワマン。

JR総武線・市川駅(千葉県)、5分ちょいで確保。



自分で言うのも何ですが完全に仕事レベルの捜索クオリティです。誰かお金になる仕事をください!もしくはダイレクトにお金をください!!




えー只今、一部情緒が乱れる場面がありました。

大変失礼致しました。





さあ続きまして、鉄はる君こと大野遙さんからの1枚。写真とともにメッセージが。

「妻から送られてきました。悪の画角の一味だったようです。」

↓↓↓

なるほど。


以前、写真に登場してくださった奥様。完全にアチラ側の一味だったのですね。



本家ひろえさんの悪の画角

線路の角度すらも酷似。



また手ごわい勢力が台頭してきたな!



さて。

新京成か京成だろう。


(理由は線路幅と、鉄はる君のテリトリーが千葉方面であること、そして何となく線路やホームの雰囲気)



駅の構造が2面2線の対向式ホームであることを確認し、もう一つの要素に注目。

ホームの奥にあるのは踏切?

だいぶ幅が細いようにも見えるけど……?

黄色と黒の遮断棒が立っているから、踏切と考えておかしくないだろう。



さあ配線略図大先生をお招きし、捜索開始。

2面2線で駅前に踏切のある駅を探していきます。


習志野駅。

非常にいい感じだが、駅と踏切が微妙に遠いか…!

ホームすぐに踏切。

それに左側の建物の窓が、こちらは2つ並んでいそう。習志野駅はひとつだけ。


ホームの縦面についている黄色いレール(おそらく上るための足かけ)も一致してるんだけどな…!



新京成電鉄全線捜索、敗北。



次は京成だ!

2面2線の駅が多い!



船橋・津田沼あたりから見ていこう。



船橋市にある海神(かいじん)駅。

惜しい!しかしホーム下の構造が違う!



捜索を進めるうち「構内踏切(駅の中にある、ホーム間を移動するための踏切)では?」という考えが浮かびます。



検索。

地方や郊外のローカル線はともかく、都内の大手私鉄ともなれば安全性の面からもどんどん姿を消している構内踏切ですが、京成電鉄にはまだ残っているんですね。



出てきた目ぼしい駅を捜索→当たりなし。



とにかく略図大先生を頼りにひたすら2面2線の駅を捜索継続。

徐々に捜索範囲を広めますが、京成も郊外まで来ると構内踏切はもちろんホームすぐの踏切も無くなってきます。



京成本線・千葉線・押上線。

京成電鉄の全ての路線を捜索し終え……あっ!



また金町線を忘れるところだった!

途中の柴又駅が2面2線。

柴又。


観光地。



…これは来たかな…!?



いざ現地へ!

クーッ!違った!!

構内踏切も「A」の停止位置目標もいい感じだけど!



これにて正式に京成電鉄全線捜索無事完了。




うーむ。


……というか、あの壁と窓2つと細い踏切しか判断要素がないぞ!

なんなんだこの写真は!



ブツクサ言いながらも、やはり京成か新京成としか考えられない。というかますます新京成っぽい。なのに何故見つからないんだろう。



もう一度、両路線の目ぼしい駅を捜索しながら、フラフラと新京成電鉄の新津田沼駅に辿り着きます。

ここは商業ビル街のど真ん中に立地していて、踏切がないからよく見てなかったんだよな……。



とにかく駅の画像へ。

あーーーーーっ!!!!



あの窓!そして細い踏切!!!



しかもこの画像、以前加瀬さんからの写真(京成)を捜索した時にも見たんだよな…その時はこの駅じゃなかったけど!

今回はキミが出てきてくれて助かったよ!



というわけで元の写真↓


ようやく辿り着いた写真↓

新京成電鉄・新津田沼駅、巡り巡ってどうにか確保!



あの踏切は旅客用ではなく、乗務員さんや駅員さんが使う踏切なのでしょう。

ヒントだと思っていたものが逆に足枷になるとは!



……それにしても夫婦そろって僕を苦しめやがって……ちくしょう!なんだか楽しいぞ!今後ともよろしくお願いします!!!





さて今回ラストはムーチョ先輩からの1枚。

ああ良い景色だ。天気もよくて、あんな写真をさんざん眺めた後だと余計に気分も晴れ晴れしますね!



どこだろう。




線路はおそらくJRの幹線クラスの複線(たぶん直流区間)、それ以外の情報は見当たらない途中の景色。



あまりに茫洋としているため、どうしたものか…と捜索に出るのを躊躇しているとパイセンから「いいヒントを入れたと思ったんだけどな」とメッセージ。



いいヒント?




写真をくまなく眺めまわして。

……………あの山のことかな???



森の背後に見える、山頂がギザギザした山。右側に向かって裾野がなだらかに広がっているのが見て取れます。



……八ヶ岳(やつがたけ)か?



元長野県民は「裾野が広い山」というとまず浅間山八ヶ岳が思い浮かびますが、浅間山は山頂の形が違います(富士山に少し似た円錐形で西側の角が崩れている)。県民みんな知っています。知らんけど。



そしてあの山が長野県の山だとは誰も言ってないけど。



とにかく八ヶ岳の見えるところへ。

…………。



ワカラナイヤ。



「山の稜線をジーッと眺めるほど危険なことはないぞ!」

と過去の自分が泣きながら叫んでいますが、とにかく八ヶ岳が見える場所を捜索開始、その前に確認。

ここは八ヶ岳が左側に見える地点。

そして線路と並走した道路、手前にT字路があって奥はS字カーブを描いている。



長野県側を捜索。

JR幹線・中央本線沿いの区間だろうと目星をつけたものの、該当する地点は見つからず。

(「赤岳」が八ヶ岳の最高峰)




うーむ、八ヶ岳ではないのか?



基本に戻って検索。

うう、、自称地理オタクが非常に頭の悪い検索語句を使ったのは恥ずかしくて載せたくないけど仕方がない!



さて目を惹いたのは赤城山。

確かに裾野が広くて山頂もギザギザしているな!

このあたりのJR幹線・上越線沿いを捜索してみよう。


事前に眺めの良い地点を探して確認。

うーん。


ちょっと違うか……?

山は見る角度によって全然変わるしな……とりあえず探してみよう。



結果は不安どおりの撃沈。




一旦撤退。




他の山を探すか、やはり八ヶ岳にもう少しこだわってみるか…などとフワフワ考えながら、我が家の冊子で久しぶりにスイッチバック区間の記事を読んでいた時。

捜索とは関係ないんですがね。たまには別の鉄分補給をしないといけませんから。



もう何度も読んだ記事を辿っていくと。

中央本線が出てきたな…長坂…以前に苦しんだ駅だ…


(皆様のおかげで、行ったこともないのに思い出に残る駅が増えています。本当にありがとうございます)


ここでふと思ったのが。

中央本線の、こっち側から見たらどうだろう?


八ヶ岳は南北に長い山なので、最初の捜索では縦方向の稜線(山頂から左下へ向かう点線のあたり)ばかり追っていたけど、、横方向(右へ向かう点線側)の稜線もなだらかな感じではないか?



ただこの区間の中央本線から見ると、八ヶ岳は正面からやや右方向。

丸で囲んだあたりで、八ヶ岳が左側に見えそうな地点はあるのか……?

ん!


まさに長坂駅のあたりで、線路が右にカーブしている……!



現地へ急拡大。

あっ!駅の向こうの道路にT字路と軽いS字カーブ!



ここだな!!!



では元の写真↓


探し出した写真↓

奥の駐車場の端っこから撮ったんだろう!



線路の向こうに見えた道路も↓


仕留めておきます↓

というわけでJR中央本線・長坂駅付近の土手からの景色、確保!!!




いやー八ヶ岳のおかげで助かった!
地理オタク的にも、非常に面白い問題でした!


長坂駅のあたりのカーブを見て頭に浮かんだのが、海側の富士山のこと。


東海道新幹線(古くは東海道本線)では、特に座席を指定する時に「海側・山側」という呼び方をするのはご存知の方も多いと思います。


言うまでもなく海側=太平洋、山側=富士山という訳ですが、東海道新幹線でもごく一部の区間で、海側の窓から富士山が見える地点があるのです。

静岡駅を過ぎて、安倍川を渡ってからのわずか十数秒間。


通称「左富士」とも言われるこの区間、僕も何度か写真を撮ろうと挑戦しておりますが、

毎度この体たらく。



なお在来線の東海道本線だと、もう少し近くの富士川駅付近に「左富士」が見える地点があります↓
今後東海道を移動する際には、ぜひ注目してみてください。


それにしてもこの「左八ヶ岳」を解けたのは嬉しいですね。つい悦に入ってしまいますね。



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今回は以上です。



おかげさまで手ごわい写真がたくさん届いておりますので、次回も頑張っていきたいと思います。



絶望的な写真(まだ解けてない)に導入した絵↓



ではまた!