4月の下旬から今月にかけて、鉄道各社から色んなニュースが飛び込んできました

東武からは新型スペーシアの詳細が発表され、近鉄は四半世紀ぶりに新型通勤電車を導入します

 

一方で、いすみ鉄道からは国内で稼働状態にあるキハ28形最後の1両の引退がアナウンスされました

個人的に気になる鉄道ニュースをダイジェスト形式でまとめてみました

 

●キハ283系、グリーン車はすべて廃車に

最新号の鉄道ファン22年7月号によると、今春のダイヤ改正で定期運用を失ったキハ283系について、グリーン車であるキロ282形はすべて廃車となったとのことです

キハ283系については、石北特急への転用がまことしやかに囁かれていますが、グリーン車が全廃されたということは、「オホーツク」「大雪」をモノクラス化するのでしょうか?

 

キハ283系のグリーン車については、10年ほど前にキハ183系やキハ281系ともどもリニューアル工事が行われており、座席の交換や内装材の交換が行われています

リニューアル工事から10年少々ですべて廃車になるのは少しもったいないような気もしますね

 

●JR西日本、岡山地区に227系導入

https://www.westjr.co.jp/press/article/items/220510_03_okayama.pdf

 

5月10日にJR西日本より、岡山地区に導入予定の新型車両について、形式や内外装のデザインについて発表がありました

これまで形式は未定とされていましたが、既に広島地区や和歌山地区に導入され、実績もある227系に決定しました

 

広島地区用が0番台、和歌山地区用が1000番台なので、新たに導入される岡山地区用は2000番台になるのでしょうか?

デザインコンセプトは豊穏の彩りで、GKデザイン総研広島が監修を手掛けます

 

なお、豊穏とは豊穣と穏和の造語で、山陽地方の豊かで穏やかな気候・風土を表現しています

運行開始は2023年度以降を予定しており、2・3両編成の合計101両が製造されます

 

●リバイバル鷲羽・リバイバル砂丘運行へ

7月から9月にかけて開催される岡山DCにあわせて、JR西日本岡山支社管内に国鉄型車両が数多く活躍している強みを活かして、急行「鷲羽」・急行「砂丘」のリバイバル運行を行います

今回のリバイバル運行にあたって、前者は姫路~宇野間を、後者は岡山~智頭間を走行します

 

岡山支社に国鉄型車両が多く在籍しているとはいえ、当時の急行列車に充当されていた車両は現存しておらず、おそらく115系やキハ47形を活用しての運行となることでしょう

 

●JR東日本、200系塗装を復刻

岡山支社のリバイバルに続き、こちらも鉄ちゃんの財布を狙い撃ちに来た企画といえます

JR東日本は「鉄道開業150年」事業の一環として、E2系1編成に200系に施されていた緑のカラーリングを復刻させることになりました

 

さらに、各駅毎に使用されていた「ふるさと」チャイムまでもが復活します

この復刻塗装のE2系は団体列車に用いられるほか、定期列車にも充当される予定で、しかもJR東日本のHPでどの列車なのか案内してくれるわけですから、いつにない”優しさ”にこちらがびっくりです

 

●いすみ鉄道、キハ28引退へ

いすみ鉄道の公式HPより、同社が保有しているキハ28形(キハ28 2346)について、来る2022年11月27日をもって定期運行から引退することが発表されました

その後、2023年2月上旬まではイベント等で不定期に運行されるようですが、国鉄が製造した急行形気動車の最後の1両が遂に引退することになりました

 

いすみ鉄道によると、引退の理由として全般検査に多額の資金が必要になるほか、走行用・冷房用エンジンの交換部品が入手しづらくなっていることが背景にあります

半世紀以上前に製造され、DMH17系エンジンを搭載している車両が小湊鉄道のキハ200形以外ほぼ消滅している現状を踏まえると、資金的な面よりも部品の入手難の方がより深刻な問題かと思われます

 

●近鉄、新型通勤電車導入へ

5月17日に近鉄より、2024年秋に新型通勤電車を導入することが発表されました

エクステリアには、近鉄伝統の赤色をより鮮やかにした色調が施される予定で、デザインは川西康之さん率いるイチバンセンが手掛けます

 

4両×10編成が製造・投入され、奈良線や京都線を皮切りに、他線区へも展開されていくようです

車内は、ロングシートとクロスシートを切り替えることのできるL/Cシート…近鉄のお家芸ですね…となっており、乗降ドア脇にベビーカーやキャリーケースを持っている人でも気兼ねなく着席できる座席が設けられます

 

この他の注目点といえば、遂にJR西日本を飛び出して、近鉄でも先頭車両に227系と同様の転落防止幌が取り付けられます

デザイン性は損なわれますが、安全性を考慮するとこればかりは仕方ないですね

 

●東武、新型スペーシアの詳細を発表

1ヶ月ほど前の話題となってしまいますが、東武から現行の100系スペーシアの後継車両の詳細が発表されました

エクステリアデザインは既に発表されているものから変更はなく、先頭車両は組子や竹編み細工をイメージしたひし形の側窓がこれまでの鉄道車両にはない斬新さを演出しています

 

内装について特筆されるべきは、これまで同社が頑なに開放してこなかった前面展望を集客の目玉にしたことでしょう

1号車には定員4人の個室の他に、運転席後方の区画がコックピットスイートと名付けられた定員7名の個室になっています

 

先頭部分に位置していることから、車幅を目一杯使ったゆとりある空間が特徴で、床面積は11㎡と私鉄特急最大を誇り、東武が標榜するように”走るプライベートジェット”に相応しい個室となりそうです

車端部にあることから、トワイライトエクスプレスの展望スイートの生まれ変わりのようにも見えますね

 

また、2号車には東武の特急としては初めて横3列シートのプレミアムシートが連結されます

シートピッチは、現行のスペーシアの1,100㎜よりも広い1,200㎜が確保され、バックシェルに覆われた座席は「ひのとり」からインスピレーションを受けたように見えます

 

2023年から運行開始予定のN100系こと新型スペーシアですが、導入数は6両×4本に過ぎません

現行の100系が9本在籍(1本廃車済み)しているので、N100系は半数の置き換えに留まります

 

残る100系の置き換えをN100系の増備で賄うのか、それとも500系Revatyを増備するのか気になりますね

 

●西武、他社から車両の譲渡を検討?

西武HDが5月12日に公表した2022年3月期の決算補足説明資料によると、他社からの車両の譲受を匂わせる記述があり、様々な憶測を呼んでいます

仮に、JR東日本から車両を譲受するとすれば、その有力候補と目されるのが武蔵境駅で中央本線と接続している多摩川線です

 

同社の路線網の中では、多摩川線だけがその歴史的経緯から孤立路線となっており、全般検査を行うとなると、JR線を経由して小手指の車両基地まで甲種輸送する必要があります

もし、ここにE231系や209系を導入して検査をJR東日本に委託すれば、わざわざ甲種輸送を仕立てて小手指車両基地まで運ぶ手間が省けるわけです

 

同じ資料の中にJR東日本との連携強化が謳われているため、有り得ない話でもなさそうです

詳しくはこちらからどうぞhttps://ssl4.eir-parts.net/doc/9024/tdnet/2118922/00.pdf

 

●丹鉄、中古車両の導入を検討

京都丹後鉄道の安全報告書2021を読んでいると、設備投資の項目に中古車両を導入することで車両の更新を図る旨の記述があります

普通列車用にはKTR300形が順次導入されていることを踏まえると、この中古車両は西舞鶴の車両基地で朽ち果てているKTR001形の代用車両と考えるのが順当です

 

非電化区間もある丹鉄なので、使い勝手のいい車両となると、気動車となります

ここ最近、他社で引退する予定があって、気動車で、なおかつ優等列車に相応しいアコモデーションを備えた車両となると、キハ85系が思い浮かびます

 

しかし、丹鉄の保有する気動車のエンジンがコマツ製で統一されているので、ここにカミンズエンジンを搭載しているキハ85系を導入しても整備性が悪化しそうです

エンジンがコマツ製で優等列車にも運用できる車両だと、他に四国の2000系がありますが、過酷な運用で老朽化が深刻なので、現実的ではありません