御殿場線の旧国加工を手掛ける際に、TOMIX製の72・73形の最新パーツを確保したことを投稿(→こちら)しましたが、その中でクモハ73の下回りの構成が大きく変更になっており、旧製品のボディには装着できなかったことを最後に述べて、原因を究明せずに終わっていました。

 

旧製品基本セット(品番92067)のクモハ73で、ボディとその下回りを分離した状態です。右側の薄茶色シートで遮光を兼ねた淡緑色の運転台パーツが付いているのが、今回入手した現行製品増結セット(品番98465)のクモハ73に使用されている最新の下回りです。

 

最新のクモハ73用の下回りを、旧製品のクモハ73のボディに装着に装着を試みましたが、何処かに当たって入りません。更に床板自体も後位側が斜めに持ち上ってしまいます。

 

この時、ボディ側面は左右に膨らんでしまっており、薄茶色の座席パーツが側面窓ガラスと干渉している模様です。

 

下回りをボディに固定するための機構として、側面窓ガラスの片側4ヶ所で下部に突き出した部分に固定用爪が内側に向けて形成されており、座席パーツの側面に設けられた切り込み部分に固定できるようになっています。新旧両製品の座席パーツの切れ込み位置を確認すると、片側4ヶ所の内、後位側3ケ所は一致していますが最前部の切れ込み位置が異なっていまることが判明しました。

 

座席パーツの最前部の切れ込み位置の違いにより、側面窓ガラスの下部に突き出た部分が、座席パーツの切れ込みがなくて幅が広い部分に当たってボディを押し広げることになります。これでボディが膨らんでしまう原因が判明しました。

 

そこで側面窓ガラスを両側とも外した状態にして、再度下回りの装着を試みます。床板自体は水平(ボディと平行)になりましたが、装着には至りませんでした。乗務員室の天井付近が当たっているようです。

 

乗務員室の天井付近に来る黒色の遮光パーツの旧製品と、淡緑色の遮光を兼ねた運転台パーツの現行製品で、正面から高さを比べてみると現行製品の方が高く見えます。ノギスで床板を含む高さを計測したところ、旧製品=14.8mm、現行製品=15.4mmと、現行製品の運転台パーツの方が0.6mmだけ背が高いのです。

 

そこで淡緑色の運転台パーツを外した状態にして、テールライトレンズの先端を前面板の尾灯穴に挿し込むと、下回りは何とか収まりました。従って、運転台パーツの上部がボディの天井部分に当たっているのは明確です。

 

旧製品の屋根板を外した状態のボディですが、乗務員室の天井にはヘッドライトの導光用の穴があるだけです。現行製品では乗務員室の天井が切り欠かれているのではないでしょうか。

 

オークションに、屋根板を外したボディだけの状態で出品されている現行製品があり、マスキングテープを貼った部分が切り抜かれた現行ボディの写真が掲載されていました。これで天井部分で当たらない理由が解明できました。

 

側面窓ガラスを外し、運転台パーツを外した状態にしても、実は下回りの連結面寄り(右端)が、まだボディに完全には収まりきらない状況です。

 

座席パーツの端部の切り欠きに有無の差はありますが、室内灯用の集電部と上方保持部の高さは同じです。

 

再度、並べてみました。室内灯用の保持部の位置が、前後とも変更されています。

 

後方の室内灯保持部の柱に相当する位置に、ボディには天井に逃げ穴がありました。柱の位置が前方に移動しているので、逃げ穴から外れて天井部分に当たってしまうということです。前方に移動した理由は、扉と窓の間の柱に隠れる位置にして目立たなする改良がなされたからの様です。前方の室内灯保持部も同様に位置変更がされていますが、なぜか大丈夫です。

 

前方の室内灯保持部では、柱の高さを低くすることで天井部分での当たりが回避されていました。

 

現行製品では、構成が見直されて運転台パーツの採用による見映え改善が図られていますが、旧製品に改良型の下回りを装着しようとすると、上記の通り色々な箇所で当りが発生し、加工が必要となります。今回はクモハ73の下回りについて述べましたが、クハ79300番台とクハ79920番台の下回りも同様に改良されており、従来製品に装着するには何らかの加工を伴うものと思われますので、交換を計画の方はご注意下さい。

 

【関連記事】

 TOMIX 旧国72・73形旧製品の加工用にパーツ集め