どこ鉄109 〜痛恨の初動捜査ミス | 菅野貴夫の野球電鉄

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俳優・菅野貴夫のブログです。
「どこ鉄」とは、友人から送られてきた鉄道写真を、それがどこで撮られたものかを推理・検索・悪戦苦闘しながら解いていくシリーズです。

こんにちは。




参加していた「ワレワレのモロモロ 小金井編」10日間のワークショップが無事に終わりました。

思っていたより10倍以上大変な日々でしたが、それ以上にかけがえのない経験ができた日々でもありました。

岩井さんをはじめ関係者の皆さま、本当にお世話になりました!


僕が出たのは廣川チームの作品。

廣川さんの書いた作品のテーマも、演劇的ライブ感を存分に出した撮り方も、どうやったら観た人に伝えられるようになるかが本当に繊細で難しくて。廣川さんを軸にみんなで話し合い試行錯誤しました。それぞれが作品のためにできることを最大限に発揮してカバーし合って、このメンバーだったからギリギリの時間のなかで何とか撮りきれたと思います。ありがとうございました!



6/26(日)14:00より、3作品の上映会があります。よろしければ。



そして6月のJACROW「鶏口牛後」の稽古も始まりました。

こちらも熟練のメンバー揃いで楽しみです。



舞台の告知はまた別の記事でさせていただくとして、今回も楽しい鉄道写真たちに向き合っていきましょう。




まずは、お久しぶりのみありさんから。旅行に行った時の1枚とのこと。

ほほう。


単線の電化路線。

奥のほう、駅の島式ホームにかかる屋根の風情、そして架線柱の形。

おそらく電化ローカル私鉄だろう。

左側の、ガソリンスタンドみたいな大屋根に山積みされた段ボールも気になるな…。



何となく、群馬県の上毛電気鉄道が思い浮かびます。

以前の捜索で、途中駅(すれ違いが可能な)に島式ホームが多い印象があったのと、空と山の感じ。



捜索開始。

思ったより架線柱が立派。当たりなし。


続いて同じく群馬県の上信電鉄を当たるも空振り。配線図が無いと捜索が大変。


北関東への執着心は止まらず、秩父鉄道へ。こちらは大先生のデータがあるので参照。

しかし想定したような配線の駅はなし。


まず線路がY字に分岐して、その後左側でもう一つ分岐している。

Y字の間に島式ホームがあって、左端の線路にもホームがありそうだけど、断定はできない…。


絵↓

こんな感じか。

そこそこ住宅地のなかにあるんだよな。



正直北関東のどこかだろうと思っていたので、この結果に若干動揺します。



落ち着いて考えよう。

みありさんは「旅行」に行った時の写真だと言っている。



旅行先・電化されたローカル私鉄。



次に向かったのは島根県・一畑電車。

言わずと知れた出雲大社へアクセスできる唯一の鉄道です。



大先生で確認。

あっ!出雲大社前駅の構造!!!


行き止まり駅とは言え、分岐の仕方は完全に一致!



足音勇ましく現地へ。

あれ、、全然違った。。。


駅に停まっている電車たちに「何?あの人。動きが怪しいね」「間違えて来ちゃったのかな」と言われてるような気分だぞ!



考え直し。
みありさんは関西出身。関西地区で、電化ローカル私鉄で、旅行(観光)で寄りそうな路線……。


和歌山電鐵に行ってみよう。

出発。
あえなく敗退。
元・大手私鉄の南海電鉄の路線だったからか架線柱が立派!

けっこういい思いつきだと思ったんだけどな!



よし、そろそろ本気を出すか。



〜捜索した路線〜

伊豆箱根鉄道 岳南電車 遠州鉄道 福島交通 アルピコ交通 上田電鉄 えちぜん鉄道 北陸鉄道 南海加太線 南海多奈川線 水間鉄道 魔の富山地方鉄道 伊予鉄道 富士急行 弘南鉄道 神戸電鉄



もはや観光地がどこだとか考えている余裕は無し!

「ここじゃないだろう」と思う路線も、一向に当たりが出ないもんだからズルズルと捜索せざるを得ない展開。


「魔の」と形容した2つの鉄道は、ローカル私鉄のなかでは大規模なのに配線図が存在しないからです。今回とうとう2鉄道とも全線を直接探すはめになりました。。



うーむ、、正直ここまで苦労する問題だと思ってなかったんだけどな!




(ひとまず撤退。他の問題に手を付ける)




さてどうしようか。

まだ見ていないローカル私鉄も、いくつか残っている。


万が一大手私鉄のローカル区間とかになってくると、半分までお手が上がっている状況。

と言いながら大手私鉄の南海電鉄には手を出しちゃってるし。架線柱が立派だって自分で言ってるのに。



先へ進むか、来た道を戻るべきか。

……やっぱり、北関東っぽさが頭から離れないんだよな……




改めて、配線図のない上毛電気鉄道と上信電鉄を徹底的に捜索。




そして。

ん!?

この駅、島式ホームで、駅前にでっかい屋根がある……



上州富岡。

富岡製糸場。

世界遺産。



……クーッ、なぜ最初の捜索でここをスルーしたのか!!!



では元の写真↓



ようやく見つけた写真↓

上信電鉄・上州富岡駅、全国を巡り巡った末に痛恨の確保!!!



今まででも屈指の初動捜査ミス!!!



悔しいです!!!




なお山積みされた段ボールとか言っていましたが、

デザインされた駐輪場の柱でした。大変失礼致しました!




さあ次だ次!野球仲間のマサシさんから1枚。

山が迫る電化路線。


手前に人が写っているから、構内踏切があるのかな。

架線柱は立派なつくりで、ローカル私鉄ではなさそう。


「これは難しいですかね?」とのコメントとともに頂きましたが、ちょっと見ただけでは簡単ではなさそう(そして面白そう)としか言いようがないです。


そんな、ちょっと見ただけで分かったら苦労しませんからね!



写真を拡大。

2灯式の信号機。立派な架線柱。

そして線路が奥のほうで、二手に分かれている…。



あ、わかった。




では元の写真↓


見つけた写真↓

神戸電鉄有馬線・有馬口駅、一発確保。



これはもう、一昨年のクリスマスに一人で有馬温泉に行ったからという事に尽きます。

ちょうどこの駅で、有馬温泉へ一駅ピストン輸送の電車と乗り換えでした。


(乗換路線図アプリより)

初めて乗る電車、しかも一人だと、心ゆくまま周りをキョロキョロして「これが神戸電鉄か」「こんな駅の構造になっているのか」「車内の雰囲気は、モーターの音は」とやるのが当然ですからね。そりゃ覚えてるってもんです。



解いたついでに、もう1枚頂きました。

うむ、右に停まっている緑帯のステンレス車両。

これは神戸電鉄と神戸市営地下鉄との乗り換え駅、谷上(たにがみ)駅である事は一目瞭然↓

有馬温泉から新幹線で各地へ帰る人は、必ず乗り換えるような駅です。

特に新神戸〜谷上間はもともと北神急行電鉄という別会社で、たった一駅なのに料金が高かったのですが(六甲山をぶち抜くための長大な山岳トンネルというのもその理由)、2020年に市営地下鉄に吸収されたおかげで、区間によっては半額程度にまで料金が下がりました。


そんな雑学はともかく、マサシさんも僕と全く同じ行程を辿ったのでしょうね。

こういうの嬉しいですね。送ったほうとしては「チッ!」と思うのかも知れませんが。





さて今回ラストは、島根県の大輔さんからの1枚。

線路と橋。



最近よくある危ない構図だぞ……と思わず警戒心が高まります。



心を落ち着けて写真を拡大。

ん?

ここは非電化単線だけど、右奥のほうに架線柱が立っているよな……?(停まっているのは山陰地方によくあるディーゼルカー)



すなわち、山陰の電化区間と非電化区間の境界ではないか?



加瀬さんにもらった重要資料↓

山陰本線・島根県あたりの電化(実線)・非電化(点線)の境界は、伯耆大山・後藤・宍道・そして西出雲。



では元の写真↓


探し出した写真↓

山陰本線・西出雲〜出雲神西間の景色、5分で確保!



写真を見た瞬間は難しそうかなと思ったけど、鉄道要素が濃密な問題で助かった!



やりとり↓

すみません。はしゃぎ過ぎました。



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今回は以上です。



おかげさまで写真をたくさん頂いていますと、パッと見で「解きやすそうかな」と思う写真から捜索を始めるのですが(2枚ほど解けたら絶望的なやつにも手を出す)、今回は思ってたのと逆の顛末になりました。



それもこれも、皆様からの写真のレベルが明らかに上がっているせいです!ほんとにもう、今後もぜひよろしくお願いします!




ではまた!