今から40年前、東北新幹線暫定開業前夜にあたる1982年5月の上野駅で撮影した電車特急です。GW中の撮影だと記憶していますが、おそらく当時の天気の記録からすると5月3日になるのではないかと思います。
002_inaho_485
2041M いなほ1号 上野 07:19 → 秋田 15:02
上越線経由の秋田行いなほ1号です。秋田までの所要時間は7時間43分、本格長距離特急ですね。上野発の時代はL特急ではないためマークにLの字はありません。「いなほ」はこの半年後の57.11改正で新潟発の新幹線連絡羽越特急になり、上野駅から姿を消しました。しかし羽越特急としての役割は現在でも続いており名称も存続しています。

003_hatsukari_583
21M はつかり1号 上野 07:33 → 青森 16:22
「はつかり」は東北特急のパイオニアであり583系「はつかり」はヨンサントオ時の東北本線全線電化開業の象徴でもあります。上野から青森までの所要時間は実に8時間49分、ほぼ9時間ですがそれでも在来線特急としては表定速度の高い特急だったと記憶しています。57.11改正で盛岡発の新幹線連絡特急となりましたが、東北新幹線八戸開業に合わせて連絡特急としての名称も消滅しました。東北新幹線は暫定開業の期間があったため在来線特急と新幹線が併存していた時期があり、暫定開業と同時に廃止になった「やまびこ」以外在来線特急の名称をそのまま移行できなかった事情があります。個人的には「はやて」や「はやぶさ」ができたときに「はつかり」を使用してくれていたらと思います。

004_hibari_485
005_hibari_485
1003M ひばり 3号 上野 08:00 → 仙台 12:15
東北特急の格の上での雄が「はつかり」ならば数の上での代表は仙台特急の「ひばり」になると思います。400km弱で所要時間4時間余りというところは上越特急の「とき」と同格ですね。一部営業休止等もありましたが原則的には食堂車を営業していたところは183系になり181系も183系の編成に統一されサシが早々に抜かれた「とき」にはない魅力ですね。写真は上が上野寄りクハ481-300番台で下が仙台寄りクハ481-0番台(485系車)になります。「ひばり」は本来ならば仙台止まりの新幹線の名称にも使われるに値する名称だと思われますが東北新幹線と併存期間があったため仙台系統の新幹線は「あおば」となり、あれだけ数を誇っていた「ひばり」の名称は57.11を以て消滅しその後復活もありません。ちなみに「あおば」もその後消滅しています。

006_toki_183
2003M とき3号 上野 07:49 → 新潟 12:00
上越特急の「とき」です。新潟までの所要時間は4時間11分。上越新幹線には暫定開業の期間がなかったため、上越新幹線開業のタイミングで「とき」の名称は新幹線に引き継がれました。開業当時は速達列車が「あさひ」、各駅停車が「とき」でしたが、紆余曲折の後一旦新幹線「とき」は消滅。しかしその後「あさひ」の座を奪いながら復活し上越筋優等列車の名称に返り咲いています。

032_tsubasa_485
1043M つばさ3号 上野12:00 → 秋田 19:55
とき3号から少し時間が空いていますがこの間、蓮田付近で撮影をしていました。その模様はまた後日に譲るとしてここでは上野駅の情景にフォーカスします。奥羽回りの「つばさ」の秋田までの所用時間は7時間55分となり上で紹介した上越回りの「いなほ」とほぼ同等です。「つばさ」は当初東北新幹線が大宮からの開業だったこともあり、乗り換えの手間と時間が考慮され上野から一本で行けることがメリットとして残され、57.11改正後も上野発特急として存続しました。その後は、秋田新幹線ではなく奥羽筋の縁で山形新幹線の名称に転用され今に至ります。

033_tsubasa_485
(右)1011M ひばり11号 上野 12:00 → 仙台 16:15
東北上越新幹線開業前の上野駅ではこのように電車特急同士が並ぶことが当たり前のように見られました。ゴーサントオの改正で電車特急が絵入りマークになったことにより、より華やかさを増しました。この53.10から東北新幹線本格開業・上越新幹線開業の57.11までが上野の特急黄金時代だったと思います。

034_aizu_485
1037M あいづ 13:03 → 会津若松 16:55
磐越西線に入る「あいづ」です。磐越西線の輸送容量から急行が主体となっており一日一往復のみの特急でした。所用時間3時間52分。「あいづ」も乗り換えなしで目的地まで行けるメリットが認められ57.11以降も上野発で残った特急のひとつです。その後、新幹線連絡特急となった後、名称消滅しています。

035_toki_183_01
2015M とき15号 13:19 → 17:33
再び183系「とき」です。この先頭のクハはステンレス飾り帯が低い位置にあるクハ183-1027または1028ですね。

この半年後の1982年11月15日には上野駅を出入りする特急電車は大変貌を遂げることになります。その後も各方面への新幹線が開業するに従い、また、夜行列車の衰退が進むに従い、上野駅を発着する在来線優等列車はますます寂しいものになっていったことはご存じの通りです。東北新幹線暫定開業前のこの時期が上野が最も輝いていた最後の時期になりますね。