軽量ステンレス車体や1段下降窓の採用など国鉄末期の新しい潮流に乗って、交直流電車の415系も、211系と同水準の車体にした1500番台が1986(昭和61)年にデビューしました。JR移行後も増備され常磐線では計89両が活躍しましたが、そのうち1編成4両は九州に渡って走り続けています。

 

 

上野駅で583系「はくつる」(右)と並ぶ415系1500番台。(1987年)

 

 

415系1500番台は国鉄末期には九州地区にも4両編成が13本投入され、直流区間の山陽本線小郡駅(現新山口駅)まで顔を出していました。国鉄形の鋼製車ばかりだった1980年代の山口県内で(今もですが…)、ステンレスの新型車はまぶしい存在でした。

 

 

ただ、1500番台はシステム的には従来の415系に準じていたため、JR東日本では時速130㌔運転・グリーン車連結の次世代型E531系の増備が進むと徐々に数を減らし、2017年に引退しました。製造から30年前後と、素人目にはちょっと早い印象でした。

 

 

その中でトップナンバー車のK525編成は廃車後の2009年に、JR九州に譲渡されました。九州内でも新型の交流電車が行き交っているので見た目は地味な存在ですが、交流・直流両用の特性が生きる下関ー門司間では「ヌシ」のような存在として活躍しています。

 

 

下関駅に姿を見せる、JR東日本からの譲渡車で組成されるFo1501編成。現在は大分車両センターに配置されています。(2022年4月撮影)

 

 

帯の色は九州の明るい青24号に変わっていますが、行先表示器横の車体加工処理が異なり帯が省略された初期型の形態や、車端部分に転落防止ほろが取り付けられているなど「転校生」の特徴はまだ残っています。

 

【参考】九州生え抜きのFo1521編成の車端部分。なんだか間違い探しみたいですが…。

 

 

JR各社は地域の特性に合わせた車両を用意するようになりましたが、国鉄形の415系は各種改造はあったとしても、同じ形式が活躍する九州には比較的移籍しやすかったと思います。

 

 

私が幼少期に見ていた常磐線と1500番台が走っていた時期は違いますが、東京から1000㌔以上離れた九州の地で「第二の人生」を歩むFo1501編成を見ると感慨深いものがあります。登場から35年が過ぎましたが、いつまでも元気な姿を見せてほしいものです。

 

 

【追記】(22.10.26)

2022年9月のJR九州ダイヤ改正で関門運用は415系1500番台のみとなりました。最近の様子は以下の記事をご覧ください→415系1500番台〜登場36年 関門の主役に