藤沢での系統分割は橋上駅舎化と10両対応拡大の布石か! 小田急江ノ島線ダイヤ改正(2022年3月12日)

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藤沢での系統分割は橋上駅舎化とホーム延長の布石か! 小田急江ノ島線ダイヤ改正(2022年3月12日)

小田急電鉄は2021年12月17日、プレスリリースにて2022年3月12日にダイヤ改正を行うと公表した( 2022年3月12日(土) 小田急線のダイヤを変更します )。今回はこのうち江ノ島線について見ていく。

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1. 藤沢で系統分割へ

今回の2022年3月12日小田急電鉄ダイヤ改正では、江ノ島線で大幅な変更を行う。

今回の小田急江ノ島線ダイヤ改正の最大の変更点は、藤沢での系統分割である

2021年時点では江ノ島線の各駅停車は6両編成で原則町田・相模大野~片瀬江ノ島間の全線運転終日毎時6本運転が原則だった。その原則を今回打ち破り、今回のダイヤ改正では町田・相模大野~藤沢間と藤沢~片瀬江ノ島間の運転に系統分化することとしたのである。これにより相模大野への出入庫を伴う早朝深夜の一部を除いて各駅停車を通しで利用する場合は藤沢での乗り換えが必須となった(もっとも対面乗り換えではあるが)。

もっとも2018年3月17日小田急電鉄ダイヤ改正で設定した土休日の江ノ島線快速急行10両編成毎時3本の片瀬江ノ島乗り入れは全中止である。

また藤沢での運転系統分割に合わせて運転本数も調整している。町田・相模大野~藤沢間はほぼ終日6両編成毎時6本運転に変わりない。




ただ藤沢~片瀬江ノ島間では平日朝ラッシュ時は約10分間隔(毎時6本)で据え置くものの、平日昼夜及び土休日終日は約12分間隔(毎時5本)に減便することとしたのである。おいおいもはや江ノ電ではないか。

おかげさまで藤沢~片瀬江ノ島間では毎時6本から毎時5本に減便した平日昼夜は輸送力を16.7%減少したほか、土休日昼間に至っては快速急行も廃止したため輸送力が54.5%も減少してしまった

これにより江ノ島線では相模大野~藤沢間は10両快速急行毎時3本と6両各駅停車毎時6本の20分サイクル、藤沢~片瀬江ノ島間では6両各駅停車毎時5本の約12分サイクルとなってしまい運転間隔が合わなくなったことから、快速急行藤沢行きの藤沢到着2分前に片瀬江ノ島行きが出発してしまったり片瀬江ノ島始発の各駅停車が藤沢に到着する1分前に快速急行新宿行きが出発してしまうことがあるなどとにかく接続が悪い。しかも藤沢行き3本の到着を待ってから片瀬江ノ島行きが出発することも毎時1回発生している。

もっとも藤沢~片瀬江ノ島間の平日朝の約10分間隔も平日昼夜と土休日終日の約12分間間隔もともに6両編成2運用のため平日昼夜や土休日終日も約10分間隔の毎時6本で運転することも物理的にはできるが、3~4分程度での折り返しで乗務員手配がギリギリのため平日朝に限るようだ。

なお新宿~片瀬江ノ島間の直通利用の救済措置として特急ロマンスカー「えのしま」を微増し、土休日昼間は2時間に1本程度から概ね毎時1本としている。

このほか、路線図改修作業を行わないようにするためか、1日1本だけ片瀬江ノ島始発の10両急行を残している。が、片瀬江ノ島5時09分発と早朝であることを考えると藤沢始発にしてもほとんど影響はないと思われるが。




2. 系統分割の目的は藤沢駅橋上駅舎化とホーム延長を見据えたものか

ではなぜ今回の2022年3月小田急江ノ島線ダイヤ改正で藤沢で系統分割を行うこととなったのだろうか。

そもそも小田急江ノ島線は一応全区間で10両編成の乗り入れはできるが、ホームが10両対応なのは急行停車駅に限るほか藤沢駅は2面3線中1番線のみの対応となっている。このため各駅停車は短い6両編成で運転せざると得ないし、10両編成が1線しか停車できない藤沢駅の折返し制約が大きくなっている。

小田急電鉄では藤沢市と共同で2027年の藤沢駅橋上化を目指して2023年から工事に入ることとしている。藤沢市側は南北自由通路の拡幅と平面化を目的とするとしているが、小田急電鉄ではとして地上改札を橋上化することにより線路と同じ平面での土地を確保し、旧地上改札部分をホーム延長に充てることができる。これにより藤沢駅の10両対応ホームが増えることはほぼ間違いなく、全てのホームが10両対応化したとしてもおかしくはない。

もっともこの際に町田・相模大野~藤沢間では急行通過駅のホームを延長して8両編成や10両編成を投入する可能性があるが、本鵠沼や鵠沼海岸は両側を踏切で挟まれているのとそもそも藤沢~片瀬江ノ島間の輸送密度が低いので効果に乏しい。

そう考えると今回のダイヤ改正で小田急江ノ島線が藤沢で系統分割したのは、将来の藤沢駅橋上化によるホーム延長で町田・相模大野~藤沢間の編成増強を狙っていることを見据えたものではないだろうか

ただ多客時には藤沢〜片瀬江ノ島間で混雑すること、系統分割前と同じ6両運転であることを考えると、ワンマン化を見据えているようにはあまり見えない。というか江ノ島線でワンマン運転を始めるくらいなら先に町田・相模大野〜小田原間の6両急行をワンマン化した方がいい気がするが。




3. 平日夕ラッシュ時に減便へ

また今回の2022年3月12日小田急江ノ島線ダイヤ改正では、平日夕ラッシュ時に快速急行を増やす一方で減便を図る。

そもそも江ノ島線の平日夕ラッシュ時は2018年3月17日小田原線複々線工事完了によるダイヤ改正にて新宿始発10両快速急行を毎時1本増発し、特急「ホームウェイ」毎時1本、快速急行毎時2本、新宿始発10両急行毎時2本、6両各駅停車毎時6本とした。

が、今回の2022年3月12日ダイヤ改正では小田原線内での快速急行の行先配分を変更し、江ノ島線藤沢行き快速急行を毎時2本から昼間同様の毎時3本に増発することとなった。

ただ、新宿始発の10両急行は小田原線と多摩線唐木田行きに振ることとしたため、平日夕ラッシュ時の急行藤沢行きが消滅することとなった。これにより江ノ島線では急行毎時2本が減便となり、南林間及び長後は平日夕ラッシュ時も毎時6本の6両各駅停車しか停車しなくなる。

もっとも平日夕ラッシュ時の新宿から藤沢への快速急行が増発しているので、JR東日本の湘南新宿ライン毎時2本と比べると優位になるだろう。ただ、今回も含め江ノ島線急行は縮小し続けており、今後も予断を許しそうにない。

先述したようにもし今後ホーム延長で相模大野~藤沢の全駅で10両対応化すれば、長後・南林間からは各駅停車の増車で十分捌けてしまい新宿へ直通する先着列車があれば十分なので各駅停車の増車と同時に平日朝ラッシュ時の10両急行毎時6本(相模大野から快速急行新宿行き)と6両各駅停車毎時6本を再編し、10両各駅停車毎時6本(うち毎時3本が快速急行新宿行き)及び全区間快速急行新宿行き毎時3本に再編しても何らおかしくない。そうなると今後江ノ島線の急行はさらに縮小が見込まれ、どんどん快速急行に集約する見込みのようだ。


4. 結び

今回の2022年3月12日小田急江ノ島線ダイヤ改正では、ほぼ終日に渡り藤沢で系統分割を行うことで、藤沢~片瀬江ノ島間で減便を図ることとなった。

今後2027年に予定してる小田急藤沢駅橋上駅舎化工事に向け今後小田急江ノ島線でどのようなダイヤ改正を行うのか、楽しみにしたい。

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