営団9000系(1次車・日立VVVF編成)入線~やさしい顔した「未来の地下鉄」~ | みなかん~南千住車両管区~

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鉄道模型を中心に、ゆる~くのんびり・まったり語るブログ。
取り扱う車両は、営団地下鉄と乗り入れ先の関東私鉄たちが主成分です。

 
こんばんは、ななせです♪
 
今回は待ちに待ったあの車両が営団仕様で製品化されたと言うことで、
久々に記事を書いてみようと思います。



今回紹介するのは、マイクロエース製
「営団9000系 南北線 1次車  6両セット」です。

数年前に出た前回品では、中間車の台車枠がSS122Aに更新した後の仕様だったため、
単純に標記類を変えるだけでは営団仕様に出来ませんでした。
*台車枠更新は2005年以降?

今回品は台車枠が更新前に加え、主制御器が日立製のモノに変更しているのも
個人的には嬉しい仕様変更であったと言えます。


ただ、現実的なものを見ると民営化から20年近く経ってますし、実車は更新工事で外観が変わっていたり
南北線の8連化などであまり人気が無いみたいですね…

…そんな訳で、営団仕様&日立VVVF装備車の製品化でひとり勝手に
盛り上がっている私がそのノリと勢いでレビューを書いてみようと思った次第です。
周囲からの視線が冷たく肩身の狭い営団ファン…



(カプラーはTNに交換)

製品仕様は全車1次車で組成している
「A編成」の中の第03編成。

*A編成:01・03・05・07編成(全て1次車)
*B編成:02・04・06・08編成(先頭が1次車/中間が2次車)
*C編成:09~13/14・15編成(前者は全て2次車・後者は3次車)
*D編成:16~21編成(4次車・(実質)3M3T編成)
 
側面行先表示器の追設や車椅子スペースの移設などが行われた、
東急乗り入れ改造後の姿(2000年以降)がプロトタイプ。
 
車番は下記の通りです。
*埼玉高速鉄道との乗り入れは2001年3月
 
←王子神谷・赤羽岩淵(・浦和美園)
 
(CT1)  9103
(M1') 9203
(M2') 9303
(M1)  9603 (旧9204)
(M2)  9703 (旧9304)
(CT2)  9803
 
→白金高輪・目黒・武蔵小杉
 


営団9000系は、1991年に登場した南北線用の車両です。
*写真右側です

「9000系」と名乗っていますが、01系~05系に続く「0x系」の第5弾で、
05系4次車(東西線)の車体をベースにしながらも丸みを大きく持たせた前面が特徴です。
 
また、南北線は東京ドームシティのジェットコースターみたいなアップダウンと
急カーブが多く存在し、出力増強のために営団で初めてVVVF制御を採用しました。
 
 
その他にも、日比谷線3000系で長期にわたり試験していたATO装置の基礎データをもとに
人工知能(AI)を用いた列車の自動運転を本格的に導入したことでも知られています。

ハイテク技術を数多く取り入れた未来指向の車両は、21編成と少数派ながらも
製造グループ毎に制御装置が異なり様々な走行音が楽しめます。
*2004.03.31現在
 


【追記】レビューに入る前に、簡単な整備から。
 
マイクロの営団車は連結器周りがスカスカしていることでお馴染みですから、
イーグルスモデルから出ている3Dプリンタパーツを使用してドレスアップを図りました。
*品番#3P-3027
 
 
やはりスカートの無い車両ですから、連結器周りが賑やかになるだけでも
より一層実感的になってきます。
 
パーツのクオリティが良い反面、3Dプリンタパーツの特性上壊れやすいため
取り付け時はもちろん、走行や保管する時も気を遣います…
 
 

それでは、いつものように前面から見ていきましょう。
隣には03系(日比谷線)を置いてみました。
*03系の連結器周り:CAD鉄道工房製先頭部床下パーツを使用
 
前面に団章(Sマーク)があることで、鼻筋の整った綺麗な顔つきに見えます。

3年先にデビューした03系も曲線を多用した前面が特徴であり、
9000系はその丸みがより強化されたようなデザインです。
 
また、03系が「アダルトセンス」がコンセプトなら9000系は「人に対する優しさ」なので
キリっとした03系に対して9000系はどこか穏やかな印象です。
 


せっかく大きな前面ガラスを用いているのに、運転席窓には遮光フィルムが貼られています。
 
これは東急乗り入れに際してホーム監視モニター(CCTV)をホーム設置から運転室上部へ
移設(=ITV)した事により、上を向いたとき眩しくならないようにするためです。

乗り入れ当初は運転席窓のみでしたが、2001年頃から非常口窓や助士席側にも
遮光フィルムが貼られました。
 


特徴的な丸みのある前面を持つ車両たち…
 
営団の前面デザインがこんなにも丸いのは
1961年登場の3000系 (日比谷線)まで遡ります。
 
この頃から球形前面のデザイン案があったものの、
当時の技術では無理だと断念したそうです。
 


先頭車に搭載しているアンテナです。
 
よく営団車のレビューをする時は「妻面に誘導無線(IR)アンテナがある」と
話してきましたが、南北線は屋根上に空間波無線(SR)アンテナを設置しています。
 
ワンマン運転に際して通信以外にも列車防護や列車情報機能を
付加させるために漏洩同軸ケーブル(LCX)を使用したSR方式を採用しました。
 
アンテナは目黒方の9800形(CT2)に2本設置しており、CT1には何もありません。
 
製品のアンテナを見ると台座の作りは実感的な反面、
アンテナ本体はJR無線アンテナみたいにもっと太さがあってもいいな…と。
 
 

 
IRアンテナはありませんが、妻面を見ていきます。
 
9000系1次車の貫通路幅は800ミリです。
800ミリとはいえ、従来の0x系とは異なり扉の窓寸法が長いのが特徴です。
*1996年製の2次車以降は、900ミリに拡大(下写真)
 

改めて製品を見ると、前回品とは異なり何故か両先頭車のみ扉のパーツが
05系と同じモノを使用しています。

これについてはまだ確証が無いのですが、第03編成のみ
こう言った形態差があったのでしょうか…?



冷房装置です。
*三菱製CU765
 
それまでの「0x系」との違いは、第01編成から車外スピーカーが
車体設置ではなくクーラー脇設置であることです。
 
クーラーキセがステンレス製なのに対してスピーカーキセはFRPであり、
その辺の塗り分けもしてあります。
 
 


次は台車です。
 
片渡り板ばね(Sミンデン)式の中でも、急カーブが多い南北線に対応して
軸箱の前後支持剛性を低減したESミンデン式のSS022です。

模型的にも同時期に出た05系4次車が履くSS012を流用すること無く、
軸距の差についてもしっかりと再現されています。
*SS022→2100ミリ/SS012→2200ミリ
 



ちなみに、05系4次車の中でも第14編成だけはVVVFであることから
9000系1次車と同様にSS022/122台車を履いています。

前回品の9000系は三菱製の制御器を使用しているため(後述)、05系ワイドドア仕様も期待したいですが
台車は使い分けて欲しいですね。




こちらは側面の印象把握です。

前面ばかりに気を取られると忘れそうですが、車体設計は05系4次車がベースであるため
こうして横からみるとそっくりな外観をしています。

それでも、車外スピーカーや戸閉め灯など細かなところで違いが見られます。

ちなみに9000系の側面にある行先表示器は、東急乗り入れ改造で取り付け工事を行ったため、
方向幕時代や4連仕様にするにはここを埋める必要があります。



中間車です。
まずはパンタグラフを搭載した9200形(M1')と9600形(M1)です。
*M1'→車椅子スペース付き(東急乗り入れ改造後)
 
営団におけるVVVF制御の歴史は、1978年に6000系ハイフン車 を用いた
国内初の現車試験走行に成功しており、その性能は実用的であると認められました。
 
しかしながら、当時はディスクリートICによるアナログ制御であり、装置の重量・スペースが大きく
製造コストも高いことから、省メンテナンスのメリットすら潰してしまうものでした。
 
 
一方で南北線は先述の通り急勾配が多く、そのような線路形状の中でも表定速度40km/h以上が
求められたため、従来の直流モーターの出力で(将来的に)4M4Tの編成では条件を満たすことができません。
*車輪径860ミリの台車では160kWあたりが限界
 
そこで営団の代名詞でもある電機子チョッパを捨て、190kWの三相誘導電動機を用いた
VVVFインバータ制御を営団で初めて営業用車両に採用しました。
*当時としては、大出力モーター(cf.東急2000系:170kW)
 



 その中でも、営団におけるGTOサイリスタを用いたVVVF制御車は
9000系A編成と05系の第14編成ですから、意外と珍しかったりします。

今回品では日立製のVF-HR136に仕様変更が行われており、
日立製のみで組成している編成は第03編成しかありません。
*第01編成は9201・9301が三菱製/9601・9701が日立製

印象としては、東急2000系より鋭くキレがあり、
とてもクセになるノイズ音だと思います。

ちなみに、4Q-chop車やGTO-VVVF車は主制御器のある車両(M車とかM1車)に
過負荷表示灯があるハズなのですが、05系共々再現されていません。
逆にどうして5ドアの03系セットには余計な車両含めて付けてしまったのか…




ちなみにこちらは第05・07編成が装備する三菱製MAP198-15V28です。

先述の05系第14編成もこちらの制御器(派生形)を使用しているので、
ワイドドア仕様として製品化してくれたら嬉しいなと思います。
*MAP198-15V29
 
 


さて…話が少し脱線しましたが、気を取り直して車内を見てみましょう。
 
9000系1次車の特徴の一つに、車端部に設けられた向い合わせのクロスシートがあります。
 
これは「集い」をテーマに6両全てに設けられており、地下鉄車両としては異彩を放っていますが
路線延伸による利用客の増加に伴い、2次車以降には設置していません。



 ただ、今製品ではM1'である9203号車の車椅子スペースが再現されていないため、
優先席(ロングシート部分)のパーツを取り外しました。
*車椅子ステッカーは9203と9703に印刷してあります

下回りのパーツを一度分解して、座席パーツは接着剤で固定してあるため
裏からΦ0.8ミリのドリルをゆっくり回すと座席パーツにそれほどダメージが無く外せます。


4連時代は9300形にあったため、A編成では3号車と5号車に設置していたものの、
東急乗り入れ改造に伴い3号車→2号車に移設して車椅子スペースを2次車以降に合わせました。

ちなみに車椅子スペースには、関西の車両でよく見かける
折り畳み式の座席があります。



パンタグラフの無い9700形(M2)と9300形(M2')です。

こちらは9700形(旧9300偶数)に車いすスペースがあり、
クロスシート部の座席パーツが取り外してあります。

先述のとおり、かつては9303号車にもあった車椅子スペースは9203号車へ移設して
9303号車の車椅子スペースは通常の座席へと変わりました。

この時、本来の座席配置ならばクロスシートが設置されるハズなのにロングシートが置かれ、
9703(旧9304)号車と同じ仕様の車両でありながら、座席定員が微妙に違う特徴を持っています。


残念ながら、9303号車は(模型的に)動力ユニットであるため
模型ではその特徴的な形態差を見ることが出来ません。

 

この他には、屋根上のアンテナ台座が目を引きますね。
 
具体的に何のアンテナなのは調べ切れていないのですが、綾瀬検車区への回送などで
他の路線を走行する時に使用するIRアンテナではないかと思われます。
 


中間車の台車です。
先程出てきたESミンデンのM車版であるSS122台車です。
 
模型的な外観は先頭車が履いているものと同じなのですが…敢えて掲載したのは
当製品が『営団仕様』である事を強調したかったからです。
 


 こちらは付属のステッカー。
画像が不鮮明で見づらいですが…

38S 浦和美園
56S 赤羽岩淵
40S 王子神谷
01S 溜池山王
09S 白金高輪
26S 目  黒
52S 武蔵小杉

が収録されています。

ベーシックな行き先からちょっぴりマニアック(?)なモノまで
含まれているのが目を引きますね。

そんな風変わりな行き先について、軽く解説してみます。
*No.7-9/7-10(2000-9.26改正)ダイヤ基準のため、
埼玉高速鉄道乗り入れ後の運用は不明

・目黒行き/溜池山王行き

目黒行きと言えば、武蔵小杉から東急目黒線のみを走行する運用で、
深夜時間帯に営団と東急(都営三田線乗り入れ運用)それぞれ1本ずつ設定されています。
*58S(平日)/60S(土休)→翌日、B線ホームから武蔵小杉行き初電
*11K(平日)/03K(土休)→A線ホームから奥沢行き終電


…興味深いのは上記の運用とは別に、東急・営団・都営による直通運転前に行われた『予行運転』です。

直通運転自体は2000年9月26日から開始したものの、それに先立ち
9月22日から営団9000系・都営6300形は目黒線での営業運転を始めていました。

その際、目黒~溜池山王(/三田)の新規開業区間を回送列車で走っていたため、
日中時間帯でも目黒行きの行先表示を見ることが出来たのです。


・30S以下の列車番号


営団の運用は30S~なのに…と思われそうですが、これはあくまでも東急乗り入れ後の列番であり
乗り入れ前は普通に01S~を使用していました。
*土休ダイヤは64Sまで

とは言え、乗り入れ改造前の1次車は方向幕でしたし、3次車までは側面に表示器が無かったため
4次車(D編成;第16~21編成)でもない限り、あまり使い勝手は良くない番号だと思います。

ちなみに(28S)は武蔵小杉←→赤羽岩淵の試運転列車です。


・王子神谷行き

こちらは王子検車区への入庫運用で、存在自体は珍しくないのですが、
恐らく知りたいのはどの列車が該当するのかだと思います。

平日(太字はステッカー収録)

B866S:白金高輪 8:19→王子神谷 8:49 *14:52再出庫
B852S武蔵小杉 8:06→王子神谷 9:01 *16:13再出庫
B846S:白金高輪 8:51→王子神谷 9:21 *16:57再出庫
B1940S:白金高輪 19:07→王子神谷 19:36
B1932S:白金高輪 19:17→王子神谷 19:47

土曜日/休日

B864S:白金高輪 8:25→王子神谷 8:55
B942S:白金高輪 9:19→王子神谷 9:48




最後に点灯チェック。
 
ヘッドライトについて、前回品が「どうしてこうなった」と言わんばかりの末期色だったのに対し、
今回品は元から電球色のLEDに改善されました。
*前回品のライト交換については、05系の記事へ
 


という事で、以上がマイクロ製営団南北線9000系のレビューでした。

民営化後の仕様である前回品ですら人気が無いので半ば諦めムードだったのですが、
ここに来てまさかの営団仕様に加え、日立VVVF車を製品化してくれたのは本当に嬉しかったです。


今製品の登場で三菱・日立VVVFが揃いましたから、次は本命の
第01編成とか05系第14編成あたりに期待ですね。
でもきっと営団仕様では無いんだろうな~(遠い目)
 

それでは今回はこの辺で。
ご観覧ありがとうございました♪