山口市阿知須にある北方八幡宮。中世の大内氏時代の神社様式を伝える楼門などが見どころですが、JR山陽本線が参道を横切る珍しい構造で鉄道ファンにも知られています。

 

 

山口県の玄関口、新山口駅から二つ先の本由良駅を過ぎると、南下してきた山陽本線は西に大きくカーブします。北方八幡宮はその手前にあり、石灯籠を眺めながら参道を進むと、二ノ鳥居の手前に踏切があります。

 

二ノ鳥居付近を行くEF210-320の貨物列車。鉄道模型で作りたくなるような印象的な情景で、神社の中を走っているように見えます

 

 

 

ここの風景は以前から、山陽本線に乗って通過するたびに気になっていました。むかし古書店で買った「鉄道ジャーナル」 1977(昭和52)年7月号に、北方八幡宮を行く寝台特急「さくら」の写真が掲載されていて、それをぼんやりと記憶していたのです。

 

 

濃黄色の115系3000番台の普通列車が通ると、落ち着いた神社の風景との対比が面白く見えます

 

 

 

この日は友人と近くを通ったので立ち寄ってみました。記憶を頼りに構図を決めましたが、あとで「鉄道ジャーナル」を確認すると全く違うアングルでした。「記憶」というのは実にあいまいなものです。

 

 

北方八幡宮側から見る参道と山陽本線。ニノ鳥居の両端に向きが異なる小さな鳥居が並んでいます。鉄道ジャーナルに載っていたのは斜めを向いた鳥居だったようです

 

 

北方八幡宮の楼門。拝殿はこの奥にあります。周囲にはユニークな顔をした狛犬もいました

 

 

 

北方八幡宮は、もとは奈良時代に宇佐八幡宮から勧請したのが始まりで、鎌倉時代に南北両社に分かれたそうです(南方八幡宮は隣の宇部市にあります)。

 

 

観光地では味わえない、時間が静かに流れるような風情で、参拝すると清々しい気持ちになりました。「山陽本線が走る神社」。鉄道ファン的な視点でも再訪したくなる好印象なスポットでした。