窮地の旅 | こぴっとちぴっと

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やってみたいことをやってみた

名古屋から豊橋まで名鉄 パノラマスーパーを楽しんだ後、帰路はフェリーを使うことにしていました。

 

 

 

 

 

 

 

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豊橋から豊鉄バスで80分、伊良湖岬へ行き、そこから伊勢湾フェリーで対岸の伊勢へ渡り、伊勢市から近鉄で大阪へ向かうというエクストリーム行程で帰る。

伊良湖からの最終フェリーは17:40発なので余裕を持ってバス乗り継ぎが出来ると計画していました。

 

 

 

 

 

季節は2月の終わり頃、伊良湖岬は温暖でもう菜の花が咲いていました。

それでも曇り空では、少々肌寒かったです。

 

途中で、乗客が釣り銭トラブルを起こし、しばらくバス停でひと悶着がありました。釣り銭がいくらか足りないとか、万札で両替が出来ず小銭がないとかという理由でした。

あまり遅れるとフェリーの乗り継ぎ時間に余裕が無くなるので、気が気でなかったです。余程、小銭を渡してやろうか、とも思いましたが、常習犯だと腹立たしかったので…

 

 

 

 

 

 

 

そして、タッチの差で最終フェリーに乗り遅れました。無情にも「伊勢丸」が出て行ってしまいました。

 

帰りのバスも既になく、雨模様の伊良湖岬で立往生です。痛恨の乗り遅れです。

釣り銭トラブルが無ければ乗れていたものを!…との恨み節。

さすがに海に向かって呪いのコトバを叫ぶということはしませんでしたが…港のスタッフもいたもので。

 

 

 

 

 

 

 

真っ暗な中、対岸からの最終フェリー「鳥羽丸」が到着。「伊勢丸」の姉妹船です。

 

 

 

 

 

 

フェリーは、明朝の出港に備えて、何事もなかったかのように船体を休めています。

 

万事休すで、寒空の下、地の果てのような伊良湖港で野宿するのか…という絶望的な気分になりました。その日、白いズボンを履いていたので、地べたに寝そべると激しく汚れると思ったものです。というか冷え込む2月の夜に眠れるかどうか…

 

フェリー事務所でバスが遅れ、最終フェリーに乗りそびれたという事情を訴えると、事務所の所員さんから近くの民宿へ連絡をとっていただけて、事務所が閉業時刻まで待ってくれたら、その宿まで車で送るからと言われました。

 

 

 

 

 

 

 

 

タバコの香りのするフェリー事務所が閉まる時間まで過ごし、帰り道だからと所員の車でこの民宿まで送っていただきました。

地獄にホトケで、写真を撮る余裕も取り戻し…その日はラッキーなことに金曜日の晩、急いで帰る理由もなく一泊。

 

宿では飛び入りにもかかわらず歓待していただき、温かい夕食と酒、熱い風呂と布団にありつけました。旅の記念にと女将さんから、フクロウの手作りのしおりを頂戴しました。「不苦労」にかけてフクロウという…

お世話になった民宿「丸栄」さんは、釣り民宿からスタイルを変えて健在のようです。

 

何より暖かい人情でヤバヤバな窮地を脱することが出来たのは良い思い出です。

芥川龍之介の「トロッコ」のように運に見放されず、命拾いしました。

 

アホなエクストリーム出張などするから窮地に陥るのだと反省することもなく、後にこの行程でリベンジを果たすことにしました。

窮地に陥った自分の旅の中では冷や汗とアドレナリン汁が滲み出す、5本の指が入る激ヤバな1つでした。

※5本の指が…「圭修」のかつての漫才のネタから。