県内特急運転は不通時211系臨時快速列車の特急格上げ目的か! JR東日本長野支社臨時列車運転(2022年4月~6月春期間)

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県内特急運転は不通時211系臨時快速列車の特急格上げ目的か! JR東日本長野支社臨時列車運転(2021年4月~6月春期間)

JR東日本長野支社は2022年2月21日、プレスリリースにて2022年4月~6月の春期間に臨時列車を増発すると公表した( 春の臨時列車のお知らせ )。今回はこれについて見ていく。

2022年3月ダイヤ改正まとめはこちら!

1. 長野から諏訪へ特急を運転へ!

今回の2022年4月~6月JR東日本長野支社春の臨時列車運転では、特急「信州」を運転する。

特急「信州」は長野~茅野間の102.9kmをみどり湖・篠ノ井線経由で運転する長野県内完結の特急列車で、4月23日~6月12日の土曜日曜(原則休日を除く)に1日当たり2往復運転する。2往復の運転のみだが、所要時間が2時間31分~3時間05分かかることもあり、2運用を必要とする。

中央線内は塩尻、岡谷、下諏訪、上諏訪、茅野と特急「あずさ」一部停車駅に2往復とも停車するが、今回運転する特急「信州」のうち1往復は松本~篠ノ井間をノンストップで運転する。

使用するのはE353系3両編成で普通車指定席のみとなる。E353系を使用している特急「あずさ」は事前料金と車内料金を分ける通年同額の特急料金を適用するが、今回の特急「信州」はいわゆるA特急料金の適用となる。このため長野~岡谷・下諏訪・上諏訪間の特急料金は通常期1,730円、100キロをわずかに超える長野~茅野間の特急料金は2,390円となる(いずれも最繁忙期400円増)。




そもそも今回運転する特急「信州」は信州デスティネーションを行った2017年前後ですら、JR東日本中央東線とJR東海中央西線を直通する「諏訪しなの」や「木曽あずさ」を設定したものの長野から諏訪方面への臨時列車は快速ですら設定してこなかった。

プレスリリースによれば長野から諏訪方面への臨時特急列車の設定は約6年ぶりとしているが、設定したのは2016年8月6日の長野22時11分発「臨時特急松本・諏訪号」上諏訪行き1本のみで、男性アイドルグループ嵐のコンサートを長野で開催するに当たり帰宅困難者を極力出さないように設定した救済列車である。もっともこの際には篠ノ井線で「おはようライナー」を代走したことのあるE257系9両編成を使用しているが、運転区間が似ているとはいえ設定経緯が今回と全く異なる。

プレスリリースによれば今回の特急「信州」の運転事由は「善光寺御開帳および諏訪大社の式年造営御柱大祭の開催に合わせ」て運転するとしている。同様の事例があった7年前を見てみると長野~茅野間にて快速「いろどり御開帳号」及び「いろどり信州国宝号」を計1日1往復設定していた。この快速列車は485系いろどり編成で運転しており、全車グリーン車指定席で設定していた。そう考えると今回設定するE353系特急「信州」は、485系いろどり編成による快速「いろどり御開帳号」及び「いろどり信州国宝号」を7年ぶりに引き継いだ列車とするのが一番自然だろう

なお2019年まで3年連続夏に運転した「諏訪しなの」や2018年まで2年連続夏に運転した「木曽あずさ」は今回の2022年春の臨時列車運転では設定しない。




2. E353系の長野入線は今後の臨時加速の特急格上げへの布石か

今回の2022年4月~6月JR東日本長野支社春の臨時列車運転では、長野~茅野間にてE353系特急「信州」を運転することとなったが、そもそも篠ノ井線松本~信越本線長野間にJR東日本の特急型車両を運転すること自体が極めて珍しい

ではなぜ今回の長野~茅野間の臨時列車を特急列車としてE353系で運転することとしたのだろうか。

もっとも一番の理由は7年前に運転した同様の臨時列車て快速「いろどり御開帳号」及び「いろどり信州国宝号」に使用していた485系いろどり編成が廃車となってしまったことから、別の車両で設定したというのがもっともだろう。しかも485系いろどり編成は全車グリーン車だったため、快速列車の全車グリーン車列車の置き換えに特急列車の普通車指定席を持ってきても料金はそこまで変わらない。このため普通・快速列車用211系ではなく特急型車両E353系で運転するのは妥当であると考えられる。

ただ、本当にそれだけが理由だろうか。

篠ノ井線では今回設定する臨時特急「信州」のほか、定期特急列車として名古屋から松本を経て長野を結ぶ特急「しなの」を運転している。この特急「しなの」はJR東海383系を使用しているが、この列車のおかげでJR東日本管内の塩尻・松本~長野間に毎時1本の特急列車を設定できている。

ただ、大雨などでJR東海中央西線が不通となってしまうと、名古屋からJR東海の車両が送り込めなくなってしまうため特急「しなの」が全区間で運休となってしまう。そうなると篠ノ井線が先に復旧しても長野~松本間を結ぶのは1時間に1本の普通列車となってしまう。その際にJR東日本では普通列車用211系6両編成2本を使用し、長野~松本・塩尻間で計4往復の臨時快速を設定することが救済する。なおこの救済臨時快速列車は前年2021年8月JR東日本長野支社臨時列車運転でも設定している。

ただ、そもそも特急列車の運休に伴う救済列車のため、特急列車で設定しても問題はない。しかし長野~松本間ではJR東海383系以外の特急型車両の運転がないため、乗務員が篠ノ井線でE353系を動かすのに慣れていない。しかもダイヤ改正での運用変更なら変更時期を自らコントロールすることができるが不通による臨時列車救済はいつ起きるか分からない。

このためいつ救済列車を運転することになってもいいように今回運転する臨時特急「信州」をE353系、しかも特急「しなの」不通時に救済列車として設定する際に使用するであろう3両編成で設定することにより、篠ノ井線内でのE353系を使用した乗務員習熟訓練を兼ねているのではないだろうか

そう考えると今後JR東海中央西線が普通となった際に特急「しなの」の篠ノ井線内代替列車が211系快速からE353系特急に置き換わることを示唆しているのではないだろうか


3. 結び

今回の2022年4月~6月JR東日本長野支社春の臨時列車運転では、長野~茅野間にて特急「信州」を運転することとなった。

ただ今回の臨時特急「信州」の設定はJR東海中央西線不通に伴う特急「しなの」の運休の際に設定する長野~松本・塩尻間運転の211系臨時快速の特急格上げを目論んだ乗務員習熟訓練を兼ねている可能性があり、今後の臨時列車設定に大きく影響がありそうだ。

今後JR東日本長野支社でどのような臨時列車を設定するのか、見守ってゆきたい。

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