E131系投入で夕方に増車も問われる乗車モラル JR東日本大宮支社宇都宮線・日光線・東北本線ダイヤ改正(2022年3月12日)

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E131系投入も宇都宮線で朝に増発へ! JR東日本大宮支社宇都宮線・日光線・東北本線ダイヤ改正(2022年3月12日)

JR東日本大宮支社は2021年12月17日、プレスリリースにて2022年3月12日にダイヤ改正を行うと公表した( 2022年3月ダイヤ改正について )。今回はこのうち宇都宮以北の宇都宮線・日光線・東北本線について見ていく。

2022年3月ダイヤ改正まとめはこちら!

1. 宇都宮線・日光線にE131系を一斉投入へ!

今回の2022年3月12日JR東日本大宮支社ダイヤ改正では、宇都宮線宇都宮~黒磯間運転の旅客列車とJR日光線の全列車をE131系に置き換える。

JR東日本横浜支社の相模線ではそもそも増解結がないこと、205系4両をE131系4両で置き換えることで両数を変えなかったため2021年11月18日より順次置き換えてきた。しかし宇都宮線・日光線用E131系は3両編成と既存の4両編成より短いこと、宇都宮線で増解結があることから一度に置き換える必要が生じた。このため今回の2022年3月12日ダイヤ改正で205系4両編成を全て新型車両のE131系3両編成に置き換えることとしたのである。

またE131系の投入により宇都宮線では3両または6両、日光線では3両での運転となるが、E131系によるワンマン運転は3両編成のみならず6両編成でも行う

もっとも3両や6両でワンマン運転を行うため都市型ワンマンとなるのだが、途中無人駅も複数存在する。このことから駅掲示で無人駅から無人駅へ向かう際には乗車駅と降車駅それぞれで乗車証明書を取得して後日支払ってほしいとしている。いや、そんな払ってくれるお人好しなんていないので実質無賃乗車ができてしまうではないか。

それではE131系投入に伴いどのように変化したのか、見ていこう。




2. 日光線の減車と同時に減便も実施へ

今回の2022年3月12日JR東日本大宮支社ダイヤ改正では、E131系の投入に伴い全列車で4両から3両に減車する。

もっとも日光線では減車のみであれば以前に記事で算出した通り十分乗せきれるため、今回の減車自体は問題はない。

ただ日光線では全列車を4両から3両に減車するにとどまらず、宇都宮7時16分発鹿沼行き及び鹿沼7時36分発宇都宮行きの1往復を廃止することとした。

もっとも運転本数据え置きで減車のみであれば十分運べるし過去に試算までしているのだが、減便しては運びきれなくなってもおかしくはない。

もっともこの宇都宮~鹿沼間の1往復がなくなってしまったのは、今回宇都宮線で平日朝に増発した氏家7時35分発宇都宮行きを設定するに当たり宇都宮線の運用を1運用増やさざるを得なくなり、その運用を捻出するために日光線の運用を1運用減らしたことによる。

ただ、おかげさまで日光線の宇都宮7時台着列車が4両×3本の12両から3両×2本の6両に半減してしまったのだ。これでは日光線鹿沼や鶴田で乗り切れなくなるのも無理はない

今回のダイヤ改正で宇都宮以南の減便によりE231系5両運用が2運用浮いているので、そのうち1運用を宇都宮線の平日朝に充当してE131系1運用を日光線用に捻出することはできなかったのだろうか。

このほかJR日光線では夜間に鹿沼~日光間で2往復の減便を図り、毎時1本化する。これにより平日夕ラッシュ時は宇都宮~日光間運転の全線運転毎時1本と日光~鹿沼間の区間運転毎時1本の合計毎時2本の設定となる。

また日光線では利用の多く見込まれる日にE131系3両編成の臨時快速列車1往復を運転するとしているが、運転日は3月~6月の春の臨時列車運転期間中では4月29日~5月1日と5月3日~5月5日のみの運転となる。このことから多客期の中でもよほどの利用が見込めないと運転しないようだ。




3. 宇都宮線は平日朝に増発へ

今回の2022年3月12日JR東日本大宮支社ダイヤ改正では、宇都宮線宇都宮~黒磯間で平日朝に増発を図る。

そもそも宇都宮線宇都宮~黒磯間の平日朝はE233系またはE231系の10両編成や205系4両編成を2本つなげた8両編成で運転している。が、今回投入するE131系は3両編成で最大2本までしか連結しないことから最長6両での運転となる。もっともE233系やE231系の10両編成はうち2両がグリーン車自由席であることから宇都宮~黒磯間での利用者はほとんどいおらず、実質8両分の輸送力として機能しているが、それでも8両相当から6両への減車になるため輸送力は落ちる。

そこで今回のダイヤ改正では積み残しを防ぐべく、平日朝に限り氏家7時35分発宇都宮行きをE131系3両運転で設定することで輸送力の減少を抑えることとした。

なお昼間は空いているため毎時2本のまま205系4両編成からE131系3両編成に減車することとした。

今回のダイヤ改正では宇都宮線宇都宮~黒磯間の全ての普通旅客列車をE131系に統一した。宇都宮線大宮・上野方面はE231系またはE233系の10両以上での運転のみであることからE131系に統一した宇都宮以北への乗り入れを取りやめることとなった。これにより宇都宮~黒磯間ではグリーン車自由席サービスを終了することとなった




4. 平日夕ラッシュ時に過去最大級の増車も高校生中心の乗車モラルが問題か

今回の2022年3月12日JR東日本大宮支社ダイヤ改正では、宇都宮線宇都宮~黒磯間で平日夕ラッシュ時に増車を図る。

宇都宮線では平日夕ラッシュ時には毎時3本の運転を維持する。ダイヤ改正前は205系4両編成毎時2本とE231系5両編成毎時1本の合計毎時3本の運転となっていたが、今回のダイヤ改正ではE131系3両編成を2本つなげた6両を毎時3本運転することとした

もっとも平日夕ラッシュ時からはずれるオフピークはその限りではなく、昼間同様205系4両からE131系3両への減車を行っている。

このためオフピークにあたる下校時間帯に平日15時台や16時台に毎時2本しかないのに4両から3両に減車したのは減車のし過ぎだし、せめて3両に減車するならこの2時間だけでも毎時3本に戻してほしかったとは思う。実際に東武宇都宮線は平日16時台は毎時3本の運転があるため、東武宇都宮線と同等の運転本数は欲しいところだ。




ただ平日夕ラッシュ時の205系4両やE231系5両からE131系6両に増車しておいて積み残しはさすがに考えられないだろう。しかも車両の端の方は乗れると主張する本人が言う始末だし、実際6両中前4両は空いているので普通に乗れる(さすがに平日夕ラッシュ時なので座れはしないが)。実際に前4両には発車直後も社会人を中心に各ドア2~5人程度ならんでいるが、それは積み残しではなく始発の着席目的で次の列車を待っているだけなのだが。

では後ろ2両はどうかというと列車発車直後にもかかわらず各ドア20~30人程度が並んでおり、次の始発列車を待っても座れる見込みはない。いかにも絵的には積み残しにも見えなくはない。ただ不自然なことに、並んでいる人の前から4列目以降はほとんどが制服姿、つまりほぼ高校生なのだ

前4両が空いていることを考えるとこれらの後ろ2両に集まっている高校生中心の集団は前4両に移ればこの列車に乗れるはずだというのに、移動しないがために乗れないのである

そもそも平日夕ラッシュ時はダイヤ改正前は205系4両編成毎時2本とE231系5両編成毎時1本の合わせて毎時13両を運転していたところ、今回のダイヤ改正よりE131系6両編成毎時3本に毎時18両に大幅に輸送力を増強しているのである。しかもJR東日本の設立当初は211系5両編成を中心に運転していたため、過去最大級の輸送力増強と言っても過言ではない

もっとも車両混雑の主要因は駅出入口がその車両から近いことが多いし宇都宮線の駅の関係上ホームの端に多いため混んでいる車両側の増結は難しいのだが、JR東日本としては平日夕ラッシュ時は増車して輸送力としては足りているにもかかわらず、高校生を中心に空いている車両に移動しないがためにこの列車に乗れていないのである。というかむしろわざわざ乗ろうとしていないと言う方が正しいのかもしれない。

つまりこれ以上増車して10両運転になったとしても、高校生を中心に後ろ2両に集まるのであればいつまでたっても後ろ2両は乗れない。そう考えると平日夕ラッシュ時に6両編成の宇都宮線に乗れないのは、高校生を中心とする乗車モラルの問題と言わざるを得ない

もっとも高校生の乗車モラルの問題は今に始まった問題ではなく、2007年にはJR北海道留萌本線の石狩沼田と秩父別で高校生が車内の前の方に偏ってしまったために一般旅客が乗り込めなくなる事件まで発生している。

今回の件は高校生が勝手に後ろ2両に偏って自分たちがその列車に乗れなくなっているので自業自得なのだが、これで一般旅客に迷惑をかけるようならたまったものではない。宇都宮線沿線でも高校生の乗車モラルを高校などで指導すべきではないだろうか

このほか宇都宮線や烏山線では終列車を繰り下げている。今回のダイヤ改正で烏山線の最終は宇都宮22時39分発烏山行きから22時46分発烏山行きに7分繰り下がったほか(ただし後続の宇都宮22時45分発黒磯行き最終から乗り継げたため実質1分の繰り下げ)、宇都宮線の最終は宇都宮22時45分発黒磯行きから宇都宮22時51分発普通黒磯行きに6分繰り下げることとなった。




5. 乗務員行路の削減で黒磯~新白河間で昼間から夕方にかけ減便へ

今回の2022年3月12日JR東日本大宮支社ダイヤ改正では、東方本線黒磯~新白河間でも減便を図る。

もっとも東北本線黒磯~新白河間は2017年10月13日まで郡山・福島方面と直通運転を行っていたため従来は仙台支社の記事で扱っていたが、新白河でほぼ完全に系統分離していること、運転区間のほとんどが栃木県内であること、大宮支社のプレスリリースに仙台支社とほぼ同等の記載があることから今回以降記事としては大宮支社の路線として扱う。

今回のダイヤ改正では東北本線黒磯~新白河間では昼間から夕方にかけて3往復を減便し、約1時間間隔から1時間30分間隔に延ばした。

もっともこれまでも車両運用は昼間は1運用だったが、黒磯~新白河間は所要時間が23分かかるため折返し時間が平均7分と設定が短かった。もっとも車両は7分もあれば折り返るが、乗務員は6時間以上の労働には45分以上(断続可)の休息を取ることが労働基準法で定められているため、この休息時間を確保するために乗務員行路は昼間でも2行路を用意しなければならない。

そこで今回のダイヤ改正では黒磯や新白河での折返し時間を拡大させ乗務員行路を削減するために、そもそも空いている黒磯~新白河間の列車を昼間から夕方にかけ1時間間隔から1時間30分間隔に減便することとした

もっとも黒磯で連絡する宇都宮線は昼間約30分間隔、夕方約20分間隔のため黒磯以北で1時間30分間隔としても比較的接続は取りやすい。ただ、新白河で連絡する郡山方面の列車は基本的に約1時間間隔のため、新白河での連絡が20~40分間隔程度に開くこともザラになってしまった。もっとも黒磯~新白河間はほとんどが栃木県内なので黒磯での連絡の方が重視されるが、新幹線不通時などに代替手段として使いにくくなっているのはいかがなものかとは思う。

この減便により東北本線黒磯~新白河間は1日17往復から14往復にまで減便することとなった。2017年10月14日JR東日本ダイヤ改正以前の郡山・福島方面と直通運転を行っていた際には1日19往復の運転があったが、たった5年で2割以上も減便してしまった。


6. 結び

今回の2022年3月12日JR東日本大宮支社ダイヤ改正では、宇都宮線宇都宮~黒磯間及び日光線の全普通列車をE131系に置き換えたことにより、終日に渡り両数変更を行うこととなったほか、宇都宮線では平日朝の増発も図ることとなった。

また東北本線黒磯~新白河間では乗務員行路の減少を図るための減便を図っている。

ただ宇都宮線では平日夕ラッシュ時にどれだけ増車したとしても高校生を中心に混雑している後ろの車両に集まっていることから、高校生の乗車モラルが問われそうだ。

今後JR東日本大宮支社でどのようなダイヤ改正を行うのか、そして沿線の高校生の乗車モラルはどのように改善させるのか、注視していきたい。

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