NO.2654 今回自走で「矢岳越え」を行ってまいりました、肥薩線「山線」区間の休止中3駅探訪記 | コウさんのコウ通大百科 PART3

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(平成24年1月〜平成30年3月の記事はPART2の内容です)

 

 前回NO.2653まで、肥薩線・吉都線の分岐駅でもあります、鹿児島県湧水町の吉松駅の話題を中心に、皆様にご紹介してまいりましたが、「矢岳越え」に関しました話題に絞りましては、前々回のNO.2652からご紹介してまいりました。

 

 この「矢岳越え」とは、肥薩線区間のこの吉松駅から人吉駅間の通称「山線」を意味しておりまして、途中に3駅が設けられておりまして、標高差も数百メートルにも及ぶ区間でもあります。

 

 この区間では、かつては特急列車も運行されておりましたし、JR化後も急行「えびの」がこの区間を越えて運行されておりました。その後は、被害を受ける事にもなります「熊本豪雨(令和2年7月豪雨)」まではキハ40系気動車で運行されております普通列車が運行されておりましたが、このうちの2往復では以下画像の観光列車でもあります「いさぶろう(熊本・人吉~吉松間)」・「しんぺい(吉松~人吉・熊本間)」でも運行されておりまして、通勤・通学客に加えまして、多くの観光客がこの列車を利用する姿が見られておりました。

 

 (平成19年撮影、「しんぺい」)

 

 私自身も、NO.2652でもご紹介しましたように、今から15年前の平成19年に、上の画像にありますように「しんぺい」として吉松→人吉間を利用しておりまして、この「矢岳越え」では天気が良かった事もありまして、以下画像のように美しい姿を見る事・収める事ができておりました。

 

 

 そして、この美しい姿を収めましてから15年になろうとします今回、私は自走でありましたが「矢岳越え」を行ってまいりました。今回は少々長いですが、その区間にあります以下の3駅に関しまして皆様にご紹介してまいります(当初は2回に分ける事にしていましたが、1回にまとめて更新を行います)。

 

 【駅名標】

 (真幸駅)

 

 (矢岳駅)

 

 (大畑駅)

 

 

 吉松駅を発ちまして20分、隣の駅でもあります宮崎県えびの市の真幸駅にやってまいりました。この「矢岳越え」では、鹿児島県~宮崎県~熊本県と3県にまたがっておりまして、そう言った事もありまして、一般客や学生さんの通しの利用も少なかった事も伺えていたようでもあります。

 

 この駅では「真幸駅友の会」と呼ばれる会によって駅が管理されておりまして、売店も設けられております。しかし、この訪問時には営業を終了しておりまして、駅には私以外に女性の方が来られる姿が見られておりました。

 

 

 真幸駅のホームです。このホームは1面2線のホームとなっておりまして、後述の理由もありまして駅構内は広いのも特徴でもあります。「熊本豪雨」では、「いさぶろう」・「しんぺい」編成がこの駅に避難しまして、20日ほどこの駅に避難・取り残されてもいましたが、現在それ以降は列車は来なくなっております。それにしても、休止から2年近くになりますが、管理が行き届いている事もありまして、ホーム・線路とも雑草が生い茂る姿は見られませんでした。

 

 (案内板)

 

 (1番ホーム) 

 

 (2番ホーム)

 

 ホーム内にあります「幸せの鐘」であります。この鐘も「いさぶろう」・「しんぺい」時を中心に、多くの利用客が鳴らした鐘でありますが、今は列車が来る事もありませんので、鳴らす機会も少なくなっております。私自身も、そう言った事から幸せである事を報告しつつ15年ぶりにこの鐘を鳴らしましたが、音も変わらなかったのが良かったでしょうか。

 

 ホームの東側にあります「山津波記念石」です。この石は昭和47年の豪雨でこの真幸駅が山津波に見舞われまして、土砂で埋没したそうでありまして、その際に出た岩を記念石として保存しております。この豪雨被害では、人吉~大畑間でも転覆事故に見舞われたそうですが、翌8月に復旧しております。それにしても、今回の豪雨被害もそうですが、本当にこの区間も災害と長い間お付き合いしている事も伺えるのではないかとも思います。

 

 

 所で、この区間は通過不可能のスイッチバック駅でもあります。そのため、この駅も行き止まり式になっておりますし、北側には熊本方面へ線路が続いております。

 

 (奥に引き上げ線)

 

 (上部奥が熊本方)

 

 行き止まり式となっておりますので、上の画像からもホームも東側にかけて停車目標の両数標識が見られるのがわかります。ちなみに、「ななつ星」とも記されている事からもわかりますように、「ななつ星 in 九州」も入線可能となっている事がわかりますが、隣の吉松駅は今秋に吉都線経由で入線する事が決まりましたが、この区間に関しましてはいつ再び入線する事ができるのか不透明である事は残念ではありましょうか。

 

 尚、真幸駅構内の信号機は画像のように点灯しておりました。先述のように、令和2年7月の「いさぶろう」・「しんぺい」の救出の際には恐らくは青信号が点灯していたと思われますが、それ以降は赤信号が点いたままでありますので、今後は再び青信号が灯る事ができるか、はたまた消灯する事になるのか気になる域である事には間違いないでしょうか・・・。

 

 

 真幸駅を出まして、これからは自走での「矢岳越え」となります。この区間は宮崎~熊本の県またぎの県道になりますが、道幅はそう広くはない所でもあります。また、天候も雨が降っていた事もありまして、上の画像にあるような眺めと言うのも、霧がかかっていた事もありまして見る事はできませんでした。

 

 (宮崎・熊本県境付近)

 

 そんな中でも、途中には桜が咲いている姿が見られておりまして、これからさらに春に向かって行く姿が見られておりました。それだけ標高が高い所でも、このような姿が見られている事もわかる姿でもありましょうか。

 

 

 車は、矢岳駅の上を通りまして、線路がある所へ下ってまいります。画像が線路をまたぎます昌明寺踏切から収めた画像でありますが、肥薩線一長いトンネルで約2100メートルあります矢岳第一トンネルの熊本方出入口でありますが、この踏切を抜けますと矢岳駅もあと少しでもあります。それにしても、こちらに関しましては2年近くになる事もありまして、雑草が生い茂っている事もわかるのではないでしょうか。

 

 (奥に矢岳第一トンネル)

 

 (この先に矢岳駅)

 

 

 こうして、約40分かけまして、人吉市の矢岳駅にやってまいりました。この駅に着いたのが16時台でありましたが、雨が降っていた事もありまして、薄暗く寒い中での矢岳駅でもありました。

 

 そのため、駅舎の入口も灯りが見られておりましたし、広い駅内も明るい姿が見られておりました。それにしても、この駅も「名誉駅長」と呼ばれる地元の方がいらっしゃる事もありまして、駅構内ではごみの姿もないほどきれいな姿も見られておりました。

 

 (名誉駅長指定駅を表すプレート)

 

 

 ホームは、この区間唯一の1面1線であります。ここでは、線路内が雑草が生い茂る部分は見られておりましたが、それでもホームはきれいな姿が見られておりました。この姿からも、この後列車が来るかな?と思わせる所が印象的ではありました。

 

 (八代方)

 

 (隼人方)

 

 先述のように、この矢岳駅の標高は、536.9メートルもある事から、駅にやってきた際は寒かったです。しかも、雨も降っていた事もありまして、より寒い印象ではありました・・・。

 

 

 所で、この駅には「人吉市SL展示館」と呼ばれます施設が存在します。「いさぶろう」・「しんぺい」運行時は、この展示館の見学時間も設定されておりましたが、列車が運行されていない現在は、私のようにマイカー利用者が訪れる程度となっております。尚、訪問時は人の姿がなく無人ではありましたが、矢岳駅と同様、地元の方が管理されているようではあります。

 

 (アップ)

 

 (「いさぶろう」・「しんぺい」乗車記念パネルもあります)

 

 ここには、「デゴイチ」ことD51170号機が展示されております。このSLは、肥薩線の急勾配を登り下りしていた事を伝えるSLで、勇姿を伝える場でもあります。私自身も15年ぶりにこの機関車の姿を収める事ができておりましたが、屋内展示である事もありまして、状態もそう変わらない事が伺わせておりました。

 

 隣には、現在は「SL人吉」として熊本~鳥栖間で臨時運行されております、8620形58654号機もここに保存されておりましたのでそのスペースが残されておりましたし、諸元表も見られておりました。NO.2652でも述べましたように、当時の私は、復帰してからここに自走で戻ってきて戻ってきてもらいたいなととも思ったと記載しておりましたが、そういった姿もいつになるのかな?と思う所ではありましょうか・・・。

 

 (諸元表)

 

 

 こうして、矢岳駅を発ちまして次の大畑駅へと向かいます。この駅間も、先述の真幸~矢岳間のように道幅が狭い道路を通って行きますが、途中ナビでもわかりにくい部分もありまして、駅に着くまで困難を生じておりました。ちなみに、昨年人吉訪問時も大畑駅へと行こうかとも思っておりましたが、途中「熊本豪雨」によりまして通行止めとなった所もありまして、結局訪問をあきらめた次第でもありました。

 

 

 そんな中でしたが、30分ほどかけまして、大畑駅へとやってまいりました。この駅も、画像のように木造の駅舎ではありますが、これからご紹介しますような姿を見る事ができております。

 

 それが、駅舎一面に貼り巡らされた名刺の姿であります。このような姿は、切符を貼り巡らしております、北海道の旧広尾線旧幸福駅のような印象ではありますが、見ていてそれだけ多くの方が来られている事がわかる姿でもあります。

 

 また、ホーム側には「きじ馬」の姿が見られます。こう言った所も、人吉ならではな部分ではないかと思われますので、列車が来ないのは残念ではありますが、それでも待ってくれている事には間違いないのではないかと思います。

 

 一方、駅舎の道路寄りには、神社で見られます鐘が見られております。正直、なぜこんな所に鐘が置かれているのか?と思う所ではありますが、実は駅の東側に「宮地嶽神社」がありまして、その流れでこの鐘が置かれているのではないかと思われます。

 

 (奥に宮地嶽神社)

 

 この駅は、「大畑駅を愛する友の会」と呼ばれる団体によって管理がなされていると思われまして、売店も置かれておりますし、駅構内の掃除もその団体によって行われているようでもあります。やはりこういった団体があるからこそ、休止の路線であってもきれいさが保っているようではあります。

 

 この駅の所には、画像のようにレストランも設けられております。この時は営業終了時間ではありましたので閉店しておりましたが、それでもこのような存在があるだけでもいいのではないかとも思います。

 

 この横には、給水塔も残されております。特に下り列車の場合でしたら、この後「矢岳越え」を行わないといけませんので、より必要ではなかったかと思います。

 

 

 ホームへとやってまいりました。この駅のホームは、1面2線のホーム配置でありまして、1番ホームが吉松方面、2番ホームが人吉方面のホームとなっております。

 

 (ホーム案内)

 

 (2番ホーム、人吉方面)

 

 

 この大畑駅と言いますと、真幸駅と同様スイッチバック方式でありまして、かつ通過不可能でもあります。例えば上り列車の場合は、右側から降りてきまして一旦引き上げ線へ、そしてホームへ入りまして、折り返しまして左側の線路熊本方面を通る事にもなります。

 

 (アップ)~画像左側が熊本方面

 

 この区間では、「ループ線」を形成しておりまして、以下画像の過去撮影画像を見ましてもわかるのではないかと思います。また、大畑駅もループ線の中に入っている事もわかりますが、それほど高い所から下りてきている事、高い所へ上っている事もわかるのではないかと思います。

 

 (平成19年撮影)

 

 けれども、真幸駅の出発信号機とは対照的に、信号機は消灯しておりまして、それだけ休止期間も長くなっている事も伺えるのではないかと思います。とにかくは、再点灯を望む所ではあります。

 

 

 所で、この大畑駅構内では、桜の姿を見る事ができます。この時には桜も5分咲きにまで来ていたようでありまして、より春へと進んでいる事が伺わせておりました。残念ながら、列車を見る事はできませんが、桜のみでしたら毎年必ず咲いておりますので、マイカー利用ではありますが、利用していただければと思います。

 

 (ホームから)

 

 

 今回は、自走で「矢岳越え」を行いながら、その区間にあります肥薩線「山線」3駅の現状もご紹介しましたが、各駅それぞれ管理者がいらっしゃいますので、そういった方々によりまして駅を守っている事がわかりました。そういった事で、雑草も多くない事へとつながっておりますし、休止後も今回の私のようにマイカーで訪問に伺う方にとりましても優しいのではないかと思います。ご紹介しておりますように、肥薩線も八代~人吉間は駅を含めましてかなり大きな被害を生じましたが、この区間でも被害にあった部分は見られているだけに、今後「山線」区間だけでも早く再開してくれればと願ってなりません。