朝の連続ドラマ『カムカムエブリバディ』の放映が終わった。近年稀に見る出来栄えの朝ドラだっただけに喪失感も大きい。伏線とその回収が楽しみでもあったし、ひなた編からは懐かしい歌謡曲が流れるのも良かった。その一つに山下達郎の『クリスマス•イブ』が流れる商店街を深津絵里演じるるいが歩くシーンがあって、やられたと思った。言うまでもなくJR東海の名作CM『クリスマス•エクスプレス』を意識したシーンだ。その『クリスマス•エクスプレス』の前年(1987年)に流れていたCMが『シンデレラ•エキスプレス』であった。

↓JR東海のCM


↑京都鉄道博物館の100系。同系の写真はこれだけ。(2019年)

シンデレラ•エクスプレスには思い出深いものがある。

当時僕は京都で勤務していて、その年の秋に結婚することになる人すなわち今の妻と過ごすため週末はよく東京に帰ってきていた。そして日曜に京都に戻るときはいつも最終の“ひかり”だった。この列車は発車間際まで乗降ドアごとにカップルが別れを惜しんでいて、それはそれは壮観な光景であった。僕らもその光景の一部だったわけだが「すごい光景だね」と言っていた。後にその光景が見事にCM化されたときは広告屋さんの力量に驚いたが、CMで100系が使われているのに違和感を覚えたりもした。あの列車は0系だった。

↓東京貨物ターミナルでEF58撮影の合間に撮った0系の回送列車(1983年)

そういうわけで、本投稿に新幹線の写真を載せようとしたが、全くといってよいほど写真がなかった。新幹線は0系オンリーの時代が長く続いたこともあって当時の鉄チャンの間では全く人気がなく、鉄道写真の被写体となることはなかった。それどころか「新幹線を撮るようになったら鉄チャンも終わり」とさえ言われていた。それなのにその後新幹線車両のバラエティが増えるのに比例するかのように、あれよあれよという間に人気が高まっていったのには率直にいって驚いた。冒頭に書いたCMの影響もあったのかもしれないが、何事も活性化のためにはバリエーションというかダイナーシティ(多様性)というか、そういうものが大事なんだということを学んだものである。

↓米原•岐阜羽島間を行く0系。これも東海道線撮影の合間に撮ったもの。(1987年)