↑前回からつづく…

 

2021年の夏休み(※5日間)を活用し、子どもの頃からずっと行ってみたかった階段国道に、念願叶って訪問することができました

振り返ってみれば、ここへ来るまでにずいぶん時間がかかってしまいました

 

まだ旅行記を公開していませんが、時を遡ること3ヶ月、GWに東北5県をぐるっと一周する旅行を実行しました

ところが、この時は日程に余裕がなく、せっかく青森市まで来たのに、階段国道へは行けず仕舞いでした

 

関西から東北への空路は便数が少ない上に、LCCも就航していません

陸路で行く場合は、東海道新幹線と東北新幹線を乗り継ぐことになりますが、往復で5万円ほどの出費が必要になります

 

できれば、寝台特急「日本海」が現役だった頃に青森を訪れてみたかったですね………そんな物思いに耽っていると、私たちの乗った乗合タクシーは奥津軽いまべつ駅まで戻ってきました

 

 

 

在来線時代は簡素なホームに、きちんとした駅舎さえ設置されていないような駅でしたが、北海道新幹線の開通にあたって駅本屋と昇降棟から成る立派な駅舎が建設されました

上部で弧を描くラインが特徴的な外観は今別町のシンボルでもある青函トンネルの坑口をあしらったものです

 

新幹線のホームが高台に設置されており、駅舎が橋上構造になっているため、こちらの昇降棟には駅前広場と改札階の間を結ぶ役目が課せられています

なお、奥津軽いまべつ駅には他の出入口が存在しないため、ここを訪れた旅人は自ずと昇降棟を通ることになりますが、壁面がガラス張りになっている上に、高低差が約25mあるため、夏場は無理して階段を使わず、エレベーターに乗るのが無難です

 

 

 

屋外があまりにも暑かったので、とりあえず駅舎に向かって左側にあった奥津軽いまべつ駅待合ホールに入ってみました

こちらの施設はJR北海道が駅に隣接して作った待合室ではなく、自治体が整備したもので、室内には観光パンフレットが備え付られています

 

ところで、さっきまで私が乗っていた龍飛岬直通乗合タクシーですが、基本的に東京方面との往来を想定しているため、下り新幹線との接続時間は約30分と、すこぶる良好です

それに対して、新函館北斗行きの「はやぶさ」25号がやって来るのは2時間後で、ここからさらに北を目指す人間にとって不便さは否めません

 

奥津軽いまべつ駅と龍飛岬を直通してくれる使い勝手のよさとは裏腹に、北海道方面からの接続はお世辞にも配慮されているとは言い難いです

ただ、奥津軽いまべつ駅に停車する新幹線の本数が少ない上に、乗合タクシーも試験的要素が強い1日1往復のみの運行なので、こればかりは致し方ありません

 

とりあえず駅周辺を散策したり、道の駅いまべつを行ったりして、時間を潰そうと思います

 

 

 

今別町の人口は2022年1月時点で約2,000人で、新幹線の駅がある自治体としては最も人口の少ない町となっています

家に帰ってから今別町のことを調べている時に、津軽海峡を一望できる高野崎の存在を知ったのですが、そちらも足を運んでみたかったですね

 

 

少し離れたところから駅舎を見ると、このような感じです

田園地帯にあって白い屋根で覆われたホームの躯体が存在感を主張しています

 

 

 

道路マニアも兼務しているので、旅先に出かけたら必ず青看も記録するようにしています

馴染みの薄い地名を目にすると、旅をしている高揚感に包まれますよね

 

 

 

続いて、道の駅いまべつ<半島ぷらざアスクル>へ入ろうとしたところ…

 

 

入口の横に、津軽二股駅のホームへ続く階段を発見しました

あまりの存在感の薄さに、最初は気付きませんでした

 

 

築堤の上にある立派な新幹線の駅と道の駅に挟まれ、なんともこじんまりとしたホームが1つだけで、おそらくここが駅だと言われなければ気付かない人も多いのではないでしょうか?

 

 

午前中に訪れた三厩駅と同じく、津軽二股駅の駅名板もイラストの入ったバージョンでした

Googleマップなどで各駅の写真を検索してみると、どうやら津軽線の全駅でこのようなイラスト入りの駅名板が設置されているようです

 

 

道の駅いまべつと奥津軽いまべつ駅待合ホールを結ぶ連絡通路には、今別町の郷土芸能である荒馬踊りをPRするタペストリーが風になびいてました

 

 

立体駐車場横の連絡通路を通り…

 

 

奥津軽いまべつ駅待合ホールへ戻ってきました

まだまだ時間はあるので、今度は昇降棟から連絡通路、そして改札口の周辺を探索してみます

 

 

 

駅前広場と新幹線ホームの間には、貨物列車用の待避線や保守基地があるため、エレベーターを降りると、こちらの連絡通路を歩いて、改札口へ向かうことになります

きちんと測ったわけではないのですが、距離にして100mに満たないほどだと思います

 

 

乗降客がそれほど多いわけではないので、連絡通路でカメラを構えていても、特に他の利用者に迷惑はかからなさそうです

そして、ついつい忘れがちになりますが、ここは本州にありながらJR北海道の駅であり、駅員さんもJR北海道の制服に身を包んでいます

 

 

連絡通路から新青森方を見下ろすと、2線ある狭軌の待避線の構造がよく分かりますね

写真に写っている列車は、「はやぶさ」34号東京行きです

 

 

こちらは同じく連絡通路から新函館方を見下ろしたもので、北海道新幹線と津軽線の位置関係を明瞭に掴むことができます

改めて、このアングルから見ると津軽線の路盤が貧弱なことや、ぽつんとした佇まいの津軽二股駅のホームが見て取れます

 

もし、津軽海峡線の開業が国鉄時代だったら、津軽今別駅は津軽二股駅と同じ駅として開業していたのでしょうか?

まったく同じ場所にありながら、同じJRの駅がまったく別の駅として存在している摩訶不思議な光景です

 

 

 

2021年は北海道新幹線が新函館北斗駅まで開業してから、5周年の節目にあたるタイミングだったので、あちこちにポスターが掲示されていました

 

 

北海道新幹線の札幌延伸は、2030年度末の開業を目指して工事が進められており、順調に進めばあと10年で本州と札幌が新幹線で結ばれることになります

新幹線開業という明るい話題に対して、並行在来線である函館本線の先行きは明るくありません

 

3月26日には余市町が廃止に同意したことで、函館本線のうち”山線”と呼ばれる長万部~小樽間の廃止が決定しました

 

 

駅前広場にあった奥津軽いまべつ駅待合ホールとは別に、改札口の横にはきちんと待合室も設置されています

 

 

一通り奥津軽いまべつ駅の探索は終わりましたが、私が乗る予定の「はやぶさ」25号の発車するまで、まだまだ時間があるので道の駅の方へ戻ることにしました

 

 

軽く腹ごしらえをしたり、ベンチでウトウトしていると、「はやぶさ」25号の発車時間が近付いてきたので、改札を通ってホームへ向かいます

まだ本州にいるのに、”ようこそJR北海道”なんて書いてあるものですから、はやくも気分は北海道にいるかのようです

 

 

 

 

奥津軽いまべつ駅に別れを告げて、「はやぶさ」25号で北海道を目指します

 

 

奥津軽いまべつ駅を発車すると5分ほどで、延長53.85㎞の青函トンネルに突入しました

北海道新幹線開業前に寝台特急「北斗星」で2度通過したことがありますが、津軽海峡線が北海道新幹線へと変貌を遂げた後に通るのは初めてです

 

かつてブルートレインで渡道した時と比べると、新幹線車両のリクライニングシートに身を委ねているだけでは、なにか面白みに欠けるような気もしますが、時代の変化として受け入れるしかなさそうです

いまや寝台列車で渡道しようと思えば、トランスイート四季島の3泊4日コースに乗車するよりほかなく、とてもではありませんが一般庶民がおいそれと乗れるような料金ではありません

 

 

「はやぶさ」25号は定刻通り新函館北斗駅に到着しました

奥津軽いまべつ駅からの所要時間は46分で、表定速度は約147㎞/hです

 

途中、木古内駅に停車することや新在共用区間の最高速度が160㎞/hに抑えられていることを考えると、上々の数字かもしれませんが、フル規格新幹線であることを考えると、もう少し頑張って欲しいところ

今後の札幌延伸と空路との競合を考えると、新在共用区間でのスピードアップがカギになりそうです

 

 

寝台特急「北斗星」で北の大地を後にした15年6月以来、6年2ヶ月ぶりに北の大地を踏みしめました

 

 

予定では、新函館北斗駅の次の駅は新八雲駅となります

 

 

 

駅の札幌方に目をやると、延長32,675mの渡島トンネルが延伸を待つようにぽっかりと坑口を開けていました

このトンネルが開通すると、東北新幹線の八甲田トンネル(L=26,455m)を凌駕し、鉄道用の陸上トンネルとして最長となります

いまは相対式ホーム2面2線の当駅も、札幌延伸後は2面3線に拡充できる構造となっています

 

 

北海道新幹線が新函館北斗駅までの区間が開業してから5周年となることから、奥津軽いまべつ駅と同様にこちらにも記念のモニュメントがありました

 

 

18時01分発の「はこだてライナー」で函館駅へ向かいます

 

 

 

 

当駅を始発・終着とする「はこだてライナー」は、すべての列車が切り欠きホームとなる1番のりばから発車します

なお、「はこだてライナー」の場合は通過駅の有無にかかわらず、列車名は同じですが、所要時間差は数分…快速で16~17分、普通で19~20分…でしかありません

 

 

貨物列車が遅れているとのアナウンスが入り、「はこだてライナー」の発車が少し遅れました

てっきり長大編成の貨物列車が通過するのかと思いきや、DF200が単機で函館方面へ走り抜けていきました

 

 

 

 

 

新函館北斗駅から20分弱で函館駅に到着しました

北海道新幹線開業前は、道南エリアで電化されているのは津軽海峡線のみで、函館駅へやって来る電車といえば特急形の485系や789系ばかりでした

 

なので、これまで道央でしか見れなかったJR北海道の通勤形電車を函館駅で見れることに、時代の変化を感じずにはいられません

 

 

函館駅へ来たからには、最後の活躍を続ける振り子式気動車キハ281系をしっかりと記録しておきたいところです

7番のりばに停車しているのが、札幌行きの最終特急列車となる「北斗」21号、そして8番のりばに停車しているのが札幌から到着した「北斗」16号です

 

「北斗」16号の方はすぐに車両基地の方へ引き上げてしまいましたが、それでも10分くらいは残り僅か3往復となったキハ281系同士が肩を並べる姿をファインダーに収めることができます

 

 

 

HID灯が9個も装着されたキハ283系に比べると、こちらはいくぶん大人しいエクステリアですね

かつて在来線特急列車史上最速の表定速度を叩き出した車両だけに、走りはまったく大人しくありませんが…

 

 

 

キハ283系の定期運行が終了したことに伴い、今やこの車両がJR北海道唯一の振り子式車両となりました

かつて1990年代後半から2000年代初頭にかけて栄華を極めたJR北海道の振り子式気動車も、「北斗」3往復で孤塁を守っています

 

ただし、キハ261系の”はまなす編成”や”ラベンダー編成”が時折代走しているため、振り子車本来の性能を活かしたスジにはなっておらず、全盛期のような”攻めた”走りは影を潜めています

 

 

振り子式台車は381系で採用されたコロ式ではなく、ベアリングガイド式採用されています

傾斜角は振り子式車両としては標準的な5度で、曲線通過速度はR≦600で本則+30㎞/hです

 

 

これまで、キハ281系の引退は2023年春のダイヤ改正が有力視されていましたが、3月23日に函ハコに配属されるキハ261系8両が川崎車両から出場しており、同車に残された時間はそんなに長くないのかもしれません

 

 

登場当初は幕式だった行先表示器も、いまでは時流に合わせてフルカラーLED化されています

 

 

頭端式のホームは、かつてこの駅が青函連絡船を介して道内鉄道網の起点であったことを物語っています

 

 

 

キハ281系までもが引退してしまうと、先頭部分にブルーを纏った特急車両はキハ261系0番台車だけになってしまいますね

発車時刻が近付くと、ホームには旅立ちの鐘が流れると、ドアが閉まり「北斗」21号は札幌へ向けて旅立ちました

 

 

「北斗」21号が発車した後も、しばらく函館駅で撮り鉄を楽しむことにしました

折しもJR北海道では、新鋭電気式気動車H100形の導入が進められており、キハ40形の淘汰が進んでいます

 

 

22年春のダイヤ改正では、釧路地区を走るキハ40形が全面的に置き換えられたため、函館地区はJR北海道のキハ40形にとって”最後の楽園”となっています

 

 

函館駅の1・2番のりばはホーム有効長が短く、しかも電化されていないので、短編成の気動車列車のみ入線することができます

道南いさりび鉄道のキハ40形には多種多様な塗装が施されていますが、このえんじ色の車両は道南の四季をテーマにしたもので、秋の木々の多彩な色をイメージしています

 

 

同鉄道には、国鉄急行色のキハ40形も在籍しています

国鉄生まれの気動車なだけあって、国鉄急行色もよく似合っていますね

 

 

 

函館駅の構内にも、北海道新幹線の新函館開業5周年をPRする横断幕やポスターがありました

函館に立ち寄る観光客からすれば、北海道新幹線が直接函館駅まで乗り入れてくれれば便利なのですが…

 

 

今宵のお宿は、函館駅前にあるフォーポイントバイシェラトンにしました

”シェラトン”ブランドに惹かれて予約したわけですが、夏の観光シーズンのど真ん中なのに、9,400円で泊まることができました

 

 

 

実際に部屋に入ってみると、築年数の割には室内のリフレッシュもなされておらず、部屋もさほど広いわけではなく、料金相応といったところです

 

 

ホテルに荷物を置いて、函館朝市どんぶり横丁へ夕食を食べに行きました

函館といえば朝市が有名なわけで、こちらのどんぶり横丁も朝早くから夕方にかけての営業がメインの店がほとんどで、19時をまわった時点で営業しているお店は多くありません

 

 

 

そんななか、私の入店した道下商店さんは21時まで営業している貴重な存在で、なんとか夕食難民にならずに済みました

函館に来たからには、海の幸を堪能したいので、メニューに一番人気と書かれていた道下丼を注文しました

 

丼にはホタテ,ウニ,イクラ,カニが、これでもかと言わんばかりに盛り付けられており、これなら2,750円の価格も納得のボリュームです

 

 

お腹が満たされたところで、せっかく函館へ来たので夜景を見に行くべく、路面電車に乗ってロープウェイ乗り場最寄りの停留所へ向かいます

 

 

函館駅前駅から路面電車に揺られること5分で、ロープウェイ乗り場最寄りの停留所である十字街駅に着きました

なんとなくこちらに向かって来る電車を撮ったら、白熱色の街灯とレトロな外観の建物…函館市地域交流まちづくりセンター…、そして小雨で反射した路面が相まって、途轍もなくエモい写真になりました

 

軽くシャッターを切っただけで、こんなフォトジェニックな光景を収めることができるのは、函館の街が持つ魅力といえるでしょう

そして、肝心の函館山からの夜景ですが、この日は濃霧が発生しているため、ロープウェイは動いているものの、山頂まで登ったところで何も見えないことが判明しました

 

この時点で、函館はリベンジしないといけなくなりました

今度函館に来た時は、ラッキーピエロのハンバーガーやハセガワストアのやきとり弁当も食べてみたいのですね

 

ところが、函館というのは、どうしても関西からだと行きづらいですね

新千歳空港ほど空路は充実しておらず、関西からの直行便はITMからの2往復しか就航していない上に、ITM→HKDは2便とも午前中に出発するので、朝一番の「くろしお」に乗っても乗り継ぐことができません

 

NKMからFDAでAOJへ飛んで、新青森から新幹線に乗ることもできますが、青森空港と新青森駅を直通で結ぶ公共交通機関は存在せず、何とも不便です

結局、KIXからCTSへ飛んで、「北斗」に乗るのが無難なのでしょうか?

 

 

せっかく夜の函館をぶらぶらしたので、八幡坂から函館港を眺めてからホテルへ戻りました

夜の時点で函館上空には霧が立ち込め、小雨もぱらついており、空模様が心配ですが、明日は1日函館市内をゆっくり散策する予定です

 

次回、函館市内散策記につづく…