花巻電鉄鉛線(軌道線) | 鉄道資料室

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これまでに収集した鉄道キップやパンフレット、地図などを紹介していきます。主に廃線関連の資料です。

 

馬面電車が走った 『花巻電鉄鉛線(軌道線)』 の乗車券です。

 

 半硬券乗車券(B型)

片道乗車券 花巻から鉛温泉ゆき 運賃85円(運賃変更印) 

 

片道乗車券 大沢温泉から花巻ゆき 運賃100円(運賃変更印) 

※鉛線廃止記念印押印

 

 定期券

学生用定期券(1か月) 大沢温泉⇔花巻 運賃3,000円

※個人情報保護のため、氏名部分は画像修正しております。

 

 車内補充券

片道乗車券 熊野→花巻 運賃40円

 

路線データ

  • 路線距離:18.6km
  • 軌間:762mm
  • 駅数:21駅(中央花巻~西鉛温泉)
  • 単線/複線:単線
  • 電化:全線電化(直流600V)
  • 開業年月日:1915年(大正4年)9月16日
  • 廃止年月日:1969年(昭和44年)9月1日

 

解説 

 花巻電鉄鉛線(軌道線)は、国鉄花巻駅(現JR花巻駅)と鉛温泉をはじめとした花巻南温泉郷を結ぶ路線として、1915年(大正4年)に開業しました。軌間は762mmと軽便鉄道規格であり、狭い街道に軌道が敷設されていたことから、車幅が極端に狭い電車が走り、その特徴ある前面の姿から、「馬面電車」と呼ばれました。

 鉛線は、「銀河鉄道の夜」や「注文の多い料理店」などの作者である宮沢賢治も利用したことがあり、詩にも花巻電鉄と思われる情景が登場しています。また、「銀河鉄道の夜」は、蒸気機関車をイメージしがちですが、文中に「蒸気機関車ではない」との記述があることから、花巻電鉄がモデルになっているのではないかとの説があります。

 多くの湯治客を運び、比較的輸送需要の高い路線でありましたが、軽便鉄道規格の軌道線は、「前時代的な交通機関」のレッテルを貼られてしまい、路線バスへの転換を余儀なくされ、1969年(昭和44年)9月1日に全廃されました。

 なお、軌道線を走っていた馬面電車(デハ3)は、花巻市内に保存されており、2019年(令和元年)12月7日に放送された、NHKブラタモリ #150「花巻~花巻はなぜ宮沢賢治を生んだ?~」でも紹介されました。

 

更新履歴

2022.3.29掲載