JR奈良線の複線化が急ピッチで進められている。同線は京都-奈良間で近鉄京都線と並行しているが、①沿線人口が少ない②単線区間が多い③宇治を経由するため遠回りしているーーなど不利な面が多く、長らく近鉄の後塵を拝していた。しかし、国鉄からJRになったころから近代化が進み、現在進行中の複線化第2期工事が完成すると、近鉄に十分対抗しうるようになるものと期待されている。

桃山丘陵②
 桃山丘陵

 先日(2022年3月16日)、確認したところでは、新田-城陽と山城多賀-玉水がすでに完成、供用されており、他の区間も最後の仕上げといった感じだった。この工事、最大の難所は桃山丘陵付近と宇治川橋梁だろう。まずは桃山駅から六地蔵駅へ桃山丘陵を下って行くところ。電車の運転席の窓が汚れていたので鮮明さには欠けるが、単線時代とは一味違った雰囲気で、なかなかいい感じだ。
 桃山丘陵昔②

桃山丘陵昔

 学生時代(1960年代後半)、ここで撮影した写真が残っていたので比較してみよう。当時はまだC58牽引の貨物列車が何往復か走っていた。こちらも手札写真の複写なので解像度はイマイチだが、ススキの穂が揺れているので晩秋のころの撮影と思われる。
 複線化工事で石垣は崩され、コンクリートの擁壁に変わっているが、腕木式の信号機やハエタタキと呼ばれた電柱が半世紀以上も前の思い出をよみがえらせてくれる。眼下に広がる桃山団地は、時を経てもその姿はあまり変わっていない。
 宇治川橋梁

 次いで宇治川橋梁。写真は宇治側から眺めたところで、下流側に新しい橋を増設しており、現在線とは段違いになっている。景観上はそろえた方がいいに決まっているが、何か特別な理由でもあるのだろうか。
 宇治川橋梁昔

 次はやはり学生時代に撮影した宇治川橋梁上のC58単機回送。煙もはいておらず、何ということないカットだが、今となっては懐かしい。このころ、旅客列車はすべてディーゼルカーだったが、キハ17とキハ20の混成がほとんど。車両の大きさが違うため編成美に欠け、フィルムがもったいないので撮影する気も起きなかった。
惜しいことをしたものだ。鉄道写真はやはり「撮れる時に撮っておく」が鉄則ということを忘れてはならない。