【残りは3路線55両】奈良線の103系が定期運用終了に

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JR西日本では2022年3月12日のダイヤ改正にておおさか東線の201系運用を221系に改めることが公表されており、関西圏のファンを中心に動向が注目されていました。

その裏で、2編成のみが残存していた奈良線用の103系2編成の定期運用終了が車内放送により明らかになりました。

2編成が残存していた奈良の103系

花束と掲出された内容が終焉を告げる……

国鉄103系は製造両数3,447両と1形式の製造数として日本最多の車両で、鉄道が好きでない一般の方にも広く親しまれた車両です。既にJR西日本とJR九州で63両が残るのみとなっていました。

JR西日本に継承された103系は体質改善工事・延命工事など車両によって様々な更新工事を受けて活躍してきましたがほとんどの代替が済んでいます。

このうち国鉄時代に奈良電車区に配置が開始された103系については、かつては4両編成2本を連結した8両で大阪環状線にも乗り入れるなど幅広い活躍をしていましたが、321系や323系の新造による201系転用、225系新造による205系転入などで徐々に数を減らしました。2018年3月改正以降はNS407編成・NS409編成の2本が205系4両編成とともに奈良線で活躍を続けていました。

2編成となった後もダイヤが乱れた際に221系の「みやこ路快速」を代走する場合があるなど、沿線のファンを盛り上げる存在でした。

2020年度から2023年度にかけてJR京都線・神戸線に225系を新造し、同線で活躍する221系を転用することで201系を淘汰することが発表されていました。

この時点では103系2編成の処遇については触れられておらず、さらに2022年3月改正では201系の運用置き換えが掲げられ、これに加えて減便により奈良支所全体で車両所要数の減少が見込まれるなどの変化がみられ、動向が注目されていました。

最後まで公式発表はありませんでしたが、最終列車となった3月11日の655Mが奈良駅に到着する際、「103系のご利用ありがとうございました。そして、お疲れ様でした。」と定期運用終了を示すアナウンスが添えられ、終着駅の奈良駅では花束のほか「2022.3.11 NS407 NS409 長い間のご乗車ありがとうございました」と書かれた掲出もされています。

あくまで定期運用が終了すること以上は示されておらず、イベント等の何らかで活用されることに期待したいところです。

残りは2社4路線55両に……

奈良線の両編成を除くと、JR西日本管内に残存する103系は和田岬線・加古川線・播但線の40両のみとなり、JR九州管内の筑肥線を含めても55両となります。全体の98.4%が営業運転を終了した計算となり、まさに風前の灯火です。

和田岬線 6両編成1本=6両

すぐの代替が危惧されるのは、やはり和田岬線の103系R1編成でしょうか。

兵庫駅と和田岬駅を結ぶ和田岬線用の専用編成として1編成6両のみ配置されており、検査時などは207系の3両編成を2本繋げて代走する体制が長年に渡り組まれていました。

2022年3月12日のダイヤ改正ではアーバンネットワーク各地で減便が実施されており、207系・321系については6運用程度の削減が見込まれます。

今回のダイヤ改正で運用に余剰が生じる207系を有効活用できること、改造等は特に必要がないこと・4扉車の転用先も他に見込まれないことを考えると、明日以降いつ置き換えられても不思議ではない状態です。

和田岬線は通勤の足という使命から、イベントごとは奈良エリア同様期待出来ません。置き換えはひっそりと実施されることとなりそうです。

播但線 2両編成9本=18両

播但線は1998年に姫路駅〜寺前駅が電化され、103系の中間電動ユニットを先頭車化改造した3500番台が投入されました。103系らしい前面形状を維持しており、JR東日本 京葉線では実現しなかったワインレッドの塗色・4両編成では全電動車と力強い構成となっているなど、改造車のなかでは比較的ファン人気のある車両でした。

近年では朝ラッシュ時間帯の一部列車に他の車両を使用するようになり、103系・221系・223系とこちらは順調に世代交代が進んでいます。

播但線の明確な代替車は設定されていませんが、遠くない未来に227系を増備して代替することが予想されます。また運用に余裕が生まれる223系などの間合い運用を増加させることで、一部の廃車を先行させることも不可能ではなさそうです。

加古川線 2両編成8本=16両

加古川駅と谷川駅を結び加古川線は1995年の阪神・淡路大震災で東海道本線・山陽本線の迂回路として

需要が比較的大きい加古川駅〜西脇市駅間を中心に運用されており、播但線用の3500番台と比較すると貫通扉設置により4両編成でのワンマン運転に対応している点が特徴的です。そのため前面形状や灯火類設置位置も105系と似たものとなっており、“103系らしさ”は薄めの車両となっています。

需要が比較的少ない北側については223系世代の単行車・125系が4両配置されています。

加古川線を余剰車転用で代替するのは難しいようにも思えますが、こちらも227系の投入が開始されればすぐにでも代替可能と言えそうです。

JR九州 筑肥線 3両5編成=15両

JR他社を見ても、JR東日本とJR東海は淘汰されて久しく、JR九州に継承された103系1500番台のみとなっています。

筑肥線は福岡市営地下鉄への直通のために九州エリアの国鉄路線として唯一1500V直流電化され、103系が新製投入されました。

103系1500番台のうち地下鉄直通列車で使用されていた分は305系の投入により置き換えが実施済で、3両編成5本を残すのみとなっています。

JR九州で唯一独立した直流電化線区という特異な路線ゆえ、代替方法が気になる路線です。3+3両構成が可能な305系増備車が登場するのか、輸送力過剰を承知で6両編成で統一するのか、はたまた一部をYC1系などの架線下DCとするのか……。すぐには動きがないかと思われるものの、新製から40年が近づいており、去就が気になるところです。

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記事内掲載写真は、沿線で103系などの活躍を熱心に記録されていただいき様(@F_Narasen3)より掲載許諾をいただいています。

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