岐阜県初の私鉄「岩村電気軌道」の回数乗車券です。
本券は1920年(大正9年)に矢作水力へ合併後、発行された乗車券です。
(回数乗車券表紙)
(券片)
路線データ
- 路線距離:岩村~大井 12.6km
- 動力:電気(直流600V)
- 停留所数:5
- 全線廃止年月日:1935年(昭和10年)1月30日
解説
岩村電気軌道は中央本線大井駅(現恵那駅)と岩村町を結ぶことを目的として、岩村町出身の政治家であった浅見與一右衛門により会社設立され、1906年(明治39年)に開業しました。 当初は不況と重なり、経営的にはかなり厳しい状況となりましたが、電気王と呼ばれた才賀藤吉が経営に参画したことにより、損失補填や新規事業(電力供給事業)を進めた結果、次第に経営が軌道に乗るようになりました。
その後、電力王と呼ばれた福沢桃介(福沢諭吉の婿養子)により、矢作川上流に水力発電所が建設されることとなり、建設のための資材輸送としての役目も担うことになりました。しかし、会社の能力(電力、貨車等)や資力が不足していたことから、1920年(大正9年)3月に岩村電気軌道は矢作水力に合併されることとなりました。
軌道事業の業績は順調でしたが、1934年(昭和9年)に省線明知線(現:明知鉄道)が開業したことにより、並行線となった軌道線は輸送量が激減したため、国から補償を受け、1935年(昭和10年)に1月30日に全線廃止となりました。
更新履歴
2022.3.5掲載