旅行に出たとき泊まる場所と言えば、通常は旅館かホテルですね。ほかに民宿、ペンション、国民宿舎や国民休暇村などでしょうか。
お金を節約したい方はカプセルホテルやドミトリー(相部屋の簡易宿所)、ネットカフェなどを利用される方もいるでしょう。
≪旅館(からつ温泉・錦屋)≫
そして「夜行」の交通機関というのを選択肢に入れる方もいらっしゃると思います。
夜行の一番大きな利点は、時間を有効に使えるということでしょう。例えば仕事を終えて夜行の交通機関に乗り、目覚めたらそこは目的地。移動時間を取られることなく一日を思いのままに活動できます。
また、交通費=宿泊費、ということですので、考えようによっては旅費の節約になります。
一方でよく眠れるかと言えば、これは人によります。
場合によっては狭い座席に座ったまま一晩過ごすことになります。また体を横たえて休める場合でも、移動する交通機関である以上、ある程度の騒音や振動は避けられません。
そういった環境では眠れないという方は、夜行は避けたほうが無難です。
☆夜行列車
かつては夜行列車が日本全国を網の目のように走っていました。ブルートレイン、急行列車、鈍行列車といろいろあり、車内設備に関しても個室寝台、解放寝台、フルリクライニングシートから4人掛けボックス席までバラエティに富んでいました。
≪かつて札幌-函館間を走っていた夜行快速「ミッドナイト」・平成4年12月、筆者がフイルムカメラで撮影≫
しかし近年、次々と削減されていき、現在、定期列車として残っているのは東京から出雲市・高松を結ぶ「サンライズ出雲・瀬戸」だけとなっています。
深夜に運行する夜行列車は乗務員や駅員・運行管理者等の人件費がかかり、その割には収益が少ない一方、新幹線の開通や特急列車の速度向上により夜行列車の需要も少なくなったのが、夜行列車がなくなった理由でしょう。
現在、定期列車として唯一運行されている「サンライズ出雲・瀬戸」は個室寝台を中心とし、また普通車指定席料金で利用できるカーペット席も連結していて、根強い人気を保っています。
☆夜行バス
夜行列車に変わって全国津々浦々を走るようになったのが夜行バスです。バスならば運行にかかわる経費は鉄道よりもかなり低く抑えられます。かといって収益もそんなに大きくはなく、このコロナ渦で削減される路線も相次いでいます。
夜行バスは3列独立リクライニングシート、トイレ付きの、夜行仕様として設計された車両が使われることが多いです。座席を仕切るカーテンがあり、ある程度のプライバシーが保てる車両が使われている路線もあります。最近では完全個室を供えた豪華バスも登場しています。
一方で昼行と同じ4列シート車を使って値段の安さをアピールしていることもあります。
≪3列独立リクライニングシート、フェイスカーテンが付いた夜行バスの車内(福岡~名古屋間のどんたく号)≫
☆フェリー
海上の交通機関であるフェリーにも夜行のものがあり、東京~北九州や名古屋~苫小牧といった長距離のものから、小倉~松山・神戸~高松といった中距離、臼杵~八幡浜・和歌山~徳島といった短距離のものまであります。これらはどちらかというとトラックを運ぶ物流のための使命が大きいのですが、旅客用の設備も充実しています。
また沖縄、小笠原といった本土と離れた離島を結ぶ便も必然的に夜行となります。
フェリーの利点はバスや列車にはない広いスペースを利用できるということでしょう。長距離の便になるとホテルと変わらない客室や、浴室・レストランなどの接客設備も充実しています。
短距離の便であっても、座席に座るとトイレに行く時くらいしか動けないバスとは違って、眠れないときはラウンジスペースでくつろぐも良し、甲板に出るのも自由で、夜風に吹かれながらの船旅というのもいいものです。
≪松山小倉フェリー≫
≪松山小倉フェリーの二等寝台船室≫
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