ご無沙汰しております。飛行機の世界にどっぷりはまってしまったYBEXです。


タイトルにもあります通り、2022年3月4日に、八戸駅在来線ホームの放送が新しくなりました。
それに伴い、2002年12月1日の、東北新幹線八戸開業と同時に使用が開始された放送も、約19年3か月で、新しい放送に役目をバトンタッチすることとなりました。

今回は、いままで使用しておりました放送について、当サークルの(雑な)独自分析で判明した内容も併せて、備忘録的ななにかとしてご紹介させていただきます。長文となります。どうぞご了承ください。


まずは基本的な放送の内容から。

八戸駅の自動放送は、「接近放送」と「発車放送」の2つの放送があります。「到着放送」の機能はあるにはあるのですが、2021年9月18日に運行された「リバイバルつがる」の到着時に流れただけで、通常時は一切使用しておりません。自動放送の声優は長谷由子さんで、5つあるホームすべてで同じ放送を使用しております。

接近放送は、冒頭に『Humpty Dumpty』が1回流れ、そのあと簡易型の放送が2回流れます。到着の約1分から2分前に流れますが、留置線から回送される列車の接近時と、3番線と4番線の間にあります、中線を通過する列車の接近時には、放送は流れません。
発車放送は、冒頭に『Water Crown(八戸Ver.)』が1回流れ、そのあと詳細型の放送が2回流れますが、たまに簡易放送となるケースもあります(これについては、このあと触れていきます)。また、発車放送は、八戸駅の近くにある、信号扱所で、スイッチの遠隔操作をすることもできるため、よほどのことがなければワンマン列車でも発車放送は流れます。青森駅1・2番線のように、信号開通と連動して流れるわけではありません。ちなみにツーマン列車の場合は、列車番号をホームの操作機器に入力し、鳴動ボタンを押して流します。

発車放送が詳細型ということは、当然、種別や列車名、行先の音声パーツがあるわけですが、八戸駅のシステムにおいては、「少なくとも列車種別と行先のパーツが揃っていないと詳細放送にはなりません」。この話をすると、勘のいい方は「おいおいTOHOKU EMOTIONはどう説明してくれんのや」と言うかと思われますが、どうやら「TOHOKU EMOTION」パーツは列車種別として登録しているようです。発車放送で「団体列車」「団体専用列車」のようなパーツを言わないのはそのためです。単純に団体パーツがないだけかもしれませんが…

ちなみに、当サークルにおいて、存在を確認しているパーツは、以下の通りとなります。

【列車種別】
・各駅停車
・普通列車
・TOHOKU EMOTION
・快速
・特急
・臨時列車
・臨時特急

【列車名】
・しもきた
・きらきらみちのく下北号
・うみねこ
・つがる
・(スーパー)白鳥
・(スーパー)はつかり

【行先】
・青森
・浅虫温泉
・三沢
・大湊
・さんのへ
・二戸
・盛岡
・鮫
・久慈
・弘前
・新青森
・函館
・北上
・仙台

他にもパーツはありそう(野辺地行など)ですが、こちらでは確認が取れていません。基本的に定期列車の列車名や行先として存在していたものについては、パーツが揃っています。
ちなみにですが、行先パーツの有無は、実は発車標の表示内容からある程度推測ができます。「お前は何を言っているんだい?」「寝言は寝てから言ってくれ」というような声も聞こえてきそうですが、ちゃんと見分け方があるんです。


行先パーツの有無の判定は、「発車標の英語表記」で、ある程度把握することができます。ここからは、発車標の画像を交えながら説明してまいります。なお、画像に「©Maple703」の表記のあるものについては、かそせ様よりお借りした画像です。この場をお借りしまして、お礼申し上げます。

①青森行
②鮫行
これは定期列車の行先でも設定がありますので、あって当たり前のパーツでしょう。
青い森鉄道線の下り列車(1日22本)のうち19本が青森行、また、八戸線の列車(1日20本)のうち12本が鮫行として設定されております。
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▲2015年12月撮影
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▲2021年9月撮影
青森行の英語表示は、具体的な時期は不明ですが、フォントが変更されています。

③久慈行
1日20本ある八戸線の行先のうち、8本は久慈行となっています。もちろんパーツはあります。
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④盛岡行
⑤階上行
青い森鉄道線の上り列車は1日16本あります。行先は3つあり、盛岡行が9本、さんのへ行が6本、二戸行が1本となっております。
階上行は、定期列車の行先ではありません。久慈行の列車が、なんらかの理由で鮫から先には行けるけれども、久慈までは行けないときに出てくることがあります。

余談ですが、八戸線の駅で、列車の行き違いができる駅は、八戸・本八戸・陸奥湊・鮫・階上・陸中八木・久慈です。このほかに八戸貨物駅でも行き違いはできます。鮫までの区間は行き違い可能な駅は結構あるのですが、鮫から先、久慈までの区間においては、両端の駅を除くと2駅しかありません。
階上行があるなら陸中八木行も出るのではと思う方もいるかもしれませんが、信号設備の関係上、現在は陸中八木行は出ません。

結論を言ってしまうと、盛岡行のパーツはありますが、階上行のパーツはありません。
英語表記を見る限りですと、パーツはありそうに見えますが、簡易放送で発車していったというツイートもあることから、パーツはないとみるのが自然かと思われます。
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ちなみにリバイバルスーパーはつかりの運行時には、同じ盛岡行の表記でも、IGRのマークがつかないものが表示されておりました。
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⑥二戸行
青い森鉄道線の上り列車のうち、17時台前半の列車だけは二戸行となっております。もちろんパーツはあります。
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こちらもIGRマークがついています。ちなみに二戸行の列車は、2017年3月のダイヤ改正で一旦設定が取り消されておりましたが、翌年には再度設定がなされています。

⑦さんのへ行
こちらも行先パーツはちゃんとあります。
ところでなのですが、このブログや、YouTubeの動画をしっかりとみている方は、「こいつはなんで‘三戸’行と書かないのか」と思われているかと思います。確かに列車の方向幕や、駅の発車標の大半の時間帯は‘三戸’行と表示されていますが、20時を過ぎると表記が変わります。
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▲20時より前の発車標。
 青い森鉄道のマークに、漢字で三戸行と表示されています。英語表示もちゃんとあります。
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▲20時以降の列車の発車標。

先ほどの画像と比べてみると… なにかおかしいですね。青い森鉄道線内には、「三戸」と「三沢」という、ぱっと見では似たような駅名表記をした駅があります。どちらも定期列車としての行先設定がありましたため、誤った行先の列車に乗ってしまい、とんでもないことになってしまったことがあるようです。三戸行には青い森鉄道のマークこそついていますが、急いでいる一般人からしたらなにも意味がありません。そこで、20時以降の三戸行の列車は、英語表示を犠牲にしてでも、わざとひらがなで行先を表示するようにしています。なお、この表示の違いによる、放送の違いはありません。
どうでもいいのですが、2番線から発車するさんのへ行の列車は、最終列車だけです。

⑧大湊行
大湊駅は、野辺地駅から分岐する、JR大湊線の駅で、別名「てっぺんの終着駅」とも呼ばれています。なお、本州最北端の駅は、大湊から1つ野辺地方面に戻った、下北駅となります。
八戸駅にも大湊線へ直通する定期列車が1日3本あります。そのため、大湊行のパーツが用意されています。
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ちなみに大湊行の臨時列車として、「リゾートあすなろ下北号」という列車があります。パーツ観点での話をすると、この列車名のパーツはありません。仮にあったとしても現在は使用していません。八戸駅の放送は、列車番号で放送をセットするため、同じ列車番号を使用していた、「リゾートあすなろ菜の花号」に影響が出ないようにするための措置と思われますが、実際のところどうなのかはわかりません。「きらきらみちのく下北号」のパーツがあったくらいなので、パーツがあれば使ってあげてもいいような気もしなくはないですが…

⑨野辺地行
ここからは話がすこしめんどくさくなっていきます。
野辺地行の列車は、たしかに八戸駅発の定期列車として設定されていた時期はあります。しかしながら、近年は八戸から青森方面行の区間列車は設定されなくなり、野辺地行の列車も、八戸口では、運行障害発生時くらいでしか見ることが出来なくなりました。
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結論を言ってしまうと、現時点でのパーツの存在は不明です。ただし、野辺地行の発動は輸送障害時がほとんどのため、仮にパーツがあったとしても流れないと思われます。画像の英語表示も、明らかに強制的に手打ちしましたよ感が満載です。

八戸駅の発車標のドット打ちは、駅の事務所でおこなっています。また、運行障害が発生した場合の流れ文字の入力・行先の強制変更の反映も、すべて駅の事務所でおこなっています。
冒頭で、「発車放送が簡易放送となる場合がある」とお話ししましたが、駅で行先を手入力した場合は、パーツの有無にかかわらず、簡易放送が流れることになります。これは弘前行のパーツでもう少し深掘りしていきます。


⑩三沢行
こちらも2017年3月改正で、1年間だけ最終列車で設定されたのを最後に、定期列車の設定がありません。ただし、行先パーツはしっかり用意しております。
まだ八戸駅に青函連絡特急が走っていたころ。八戸・青森間は特急街道で、普通列車の本数は今ほど多くはありませんでした。青森・浅虫温泉間の需要がそこそこあるのは、今も昔も変わりませんが、同時に八戸・三沢間の需要もそこそこありました。そのため、青森口では「浅虫温泉シャトル」、八戸口では「三沢シャトル」という列車を運行しておりました。三沢パーツが残っているのはそのためです。
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▲三沢行が定期列車として存在していた時期の、改札前の発車標。このころは20時を過ぎても漢字表記の三戸行だったみたいです。

ちなみにですが、臨時列車の行先として、三沢行が設定されることはちょいちょいありました。三沢航空祭の時期は、シャトル列車が満員で走ることも珍しくありませんでした。
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⑪新青森行(青森経由)
これは東北本線時代には設定のなかった行先です。ただ、2016年3月のダイヤ改正で、定期列車としての設定はなくなっています。こちらも行先パーツは用意されているのですが、発車風景を記録した動画を含めて、インターネット上ではほとんど出回っておりません…
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⑫函館行
⑬北上行
函館行は、東北新幹線新青森開業前に、青函連絡特急が八戸発着だったため、行先パーツが用意されておりました。現在でもYouTubeや、一部の発車メロディーサイトで聞くことができます。
北上行は、東北新幹線新青森開業前の、上り始発列車の行先として設定されておりました。こちらは以前は動画も上がっておりましたが、現在は削除されているようです。もちろんパーツは存在していました。

⑭釜石行
団体専用列車で設定がなされた実績はありますが、定期列車では当然設定はありませんでした。
従って、行先パーツはありません。行先表示も手入力感があります。当たり前ではありますが…
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⑮浅虫温泉行
定期列車の設定はありません。ただし、浅虫花火の臨時列車が設定されることはあります。
普通に考えるとパーツはなさそうに思えますが、なぜかパーツはあります。音声こそありませんが、実際に浅虫温泉パーツの存在を確認したツイートはあります。
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ちなみに浅虫温泉行きの列車は、一部の貸切列車で設定されることがあります。

⑯弘前行(青森経由)
八戸駅の行先パーツの中で、聞けそうで意外に聞けないパーツが、弘前行のパーツです。
たしかに一部の特急つがるの行先として弘前行が設定されていたこともありますし、臨時列車でも時々弘前まで運行する列車もあったため、臨時列車の運転日を狙えば容易に聞けると思われがちですが、これが意外な落とし穴。簡易放送で発車されたという報告がちょいちょいあります。

まず、詳細放送が流れた、「リバイバルつがる」の発車標を見ていきましょう。
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英語表示に着目していただきたいのですが、青森行の表示と同じフォントで、「HIROSAKI」と表示されています。

では、別日に運行された、「リゾートあすなろ弘前桜1号」の発車標も見てみましょう。
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英語表示がなんか違いますね。実際この時の発車放送は簡易放送でした
なお、TOHOKU EMOTIONが弘前まで運転したときも、上の画像のようなフォントの英語表示でしたが、やはり簡易放送でした。

なお弘前行の表示はもう1つありまして…
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どう見ても手打ち感満載の表示ですね。もう結果はお分かりいただけるかと思いますが、簡易放送でした。

もちろんリバイバルつがる以外の列車の発車時に、列車番号を入力しないで発車放送を流した可能性は排除しきれませんが、野辺地行のパーツの最後に説明した、「駅で行先を手入力した場合は問答無用で簡易放送」となる現象は、決め手に欠けるとはいえ、仕様とみてよろしいかと思われます。

⑰仙台行
東日本大震災発生前に、「リアスシーライナー」という列車がありました。臨時列車ながら、定期列車の時刻で運転されていた区間もありましたので、定期列車の一部とみなす見方も一応は可能です。
2021年12月5日。団体専用列車として、「東北本線130周年記念号」が、青森から仙台を走りました。このときの発車放送は簡易放送でしたが、発車標にはこのように表示されておりました。
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列車名こそ手打ちですが、行先表示は特徴のあるフォントを使用していました。また、リアスシーライナーが運行されていた時に使用されていた仙台行パーツを復元し、この団体列車の発車時に流す予定もあったことから、仙台行のパーツは、記録されている音声こそありませんが、存在することは確認できております。

ちなみにリアスシーライナーの放送、仙台駅で収録されたものはちょいちょいあるのですが、八戸駅で収録されたものは、発車風景を記録した動画を含めて、まったくと言っていいほど上がっていません。


行先パーツの有無の説明が異常なほど長くなりましたが、八戸駅の発車放送が詳細放送になるかならないかは、英語表示のフォントである程度判断することができます


では逆に、詳細放送とならないケースは、どのようなものがあるのでしょうか。

①列車種別パーツ、もしくは行先パーツがない場合。
②列車番号を入力しないでスイッチを扱った場合、もしくは誤った列車番号を入力した場合。
なお、八戸駅では、列車番号を入力せずに、いきなり発車ボタンを押して放送を鳴動させることは禁止されています。画像はお出しできませんが、スイッチ内部にテプラでやるなと明記されていました。実際「そんなローカルルール知らんがな」と、列車番号を入力しないで発車ボタンを押す車掌もいそうですが…
③「本日の運行列車一覧」に、該当する列車番号の登録がない場合。
なお、「本日の運行列車一覧」の名称は、当サークルが便宜的に設定した名称ですので、実際には違う名称の可能性があります。
④駅で行先を手入力した場合。
⑤ワンマン列車で、かつ、信号扱所でもスイッチを扱えなかった場合。
この場合は、発車放送自体が流れません。例えば、21時21分に、1番線からの八戸線鮫行があり、21時22分に、4番線からの青い森鉄道線青森行があるとします。この場合、鮫行の駅側の放送は流せない場合がほとんどです。八戸線の車両には、車外スピーカーから乗降促進メロディーを流す装置が完備されており、それで代用できるためです。(21時22分発の青森行も、青い森703系で運行されていた時期は車外代用が可能だろと言われてしまえばそれまでですが、あれはとにかく扱う人が片手で数えられるくらいしかいませんので…)


2021年9月のリバイバル特急運行時に、自動放送にとにかく力をいれた八戸駅。新しい放送になっても、文面自体は変わっていませんので、もしかしたら、臨時列車の運行時に、自動放送で、私たちをまた驚かせてくれるのかもしれません。
また、八戸駅で臨時列車の放送を収録される場合、この情報がまだ参考になるかもしれませんので、お役に立てられれば幸いです。

▼旧放送はこちら


▼新放送はこちら


【追伸】
この記事に記載の内容に明確な誤りや、実際に使用された定期外行先のパーツの情報などがございましたら、コメントなどでご指摘いただけますと幸いです。当方も不勉強な箇所や、独自に研究して得られた情報を記した箇所がございます故、何卒よろしくお願い申し上げます。