【斜め上?】伊豆急行3000系“アロハ電車”に 前面部のみ塗装して試運転

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伊豆急行では、JR東日本209系2100番台を譲受し、3000系としてデビューに向けた準備を進めています。

2022年3月3日より前面部分を塗装した状態で試運転が開始されたほか、翌4日には車両の外観・デビュー時期が発表されました。

JR東日本209系を譲受して整備中

伊豆急行では2021年度、JR東日本 京浜東北線から千葉エリア各線に転出して活躍していた209系2100番台を2編成譲受し、3000系として2022年春のデビューに向けた整備が進められてきました。

2022年1月28日から30日にかけて、先に譲渡された元C609編成が伊豆急行線 南伊東〜伊豆急下田駅間で試運転を実施していました。この際、旧来の帯を剥離した“無ラッピング”状態で走行して話題となりました。

2月の河津桜まつり開催期間中は目立った動きがありませんでしたが、3月3日より再び伊豆急行線 南伊東〜伊豆急下田駅間で試運転が開始されています。初日には後から譲渡された元C601編成も使用されており、デビュー予定の全8両が検査を済ませて本線上を自走したこととなりました。

スカートが赤青塗装に

今回の試運転ではスカート(排障器)の塗り直しが目立ちます。

下田方が赤色・熱海方が青色となっており、この時点ではかつての“アルファ・リゾート21”のトリコロールカラーを想像する声も多く聞かれました。

細かな点では、前面FRPが再塗装されており、209系0番台譲りの特徴であった黒の縦帯がなくなっています。

この車体形状かつ塗装が省略されていた209系は八高線の3000番台のみでした。

予想の斜め上?“アロハ電車”派手なデザインに

引用;公式発表「伊豆急3000系のデザインと愛称が決まりました!」(外部PDF)

翌3月4日には新たに、車両外観・愛称・デビュー予定が公表されました。

車両愛称を“アロハ電車”とし、ハワイ語でウミガメを表す「ホヌ」柄とされています。

・話題性を高めるため、他社でも例のないものを探求

・あえて電車らしくないデザインを

・女性や若年層に関心を持ってもらえるようなデザインにしたい

・伊豆急開業60周年の意味を込め、開業以来の伊豆急のキーワード「ハワイアン」のイメージを生かす

・伊豆急のシンボルトレイン「リゾート21」の伝統色「海側に赤」「山側に青」への回帰

引用;公式発表「伊豆急3000系のデザインと愛称が決まりました!」(外部PDF)

一見すると無縁のようにも思えますが、伊豆急行ではこれまでも夏休み期間中に駅員がアロハシャツで改札に出る・開業時から活躍した100系の塗色は「ハワイアンブルー」と呼称されるなど、長年に渡り“アロハ推し”の戦略がみられました。

趣味目線では、下田方と海側側面が赤色・熱海方と山側側面が青色となるため、撮影の際にはひと工夫必要となります。

撮影する場所によって表情が変わるのは面白い一方で、コア層にとっては悩みの種にもなりそうです。伊豆急行線は直通先の伊東線を含めて南北に走る路線となっており、京浜東北線を彷彿とさせ人気がありそうな青色は撮影条件が限られます。

また、今回発表ではインテリアデザインについては一切触れられていません。7月に1編成目を譲受してから現在まで一切の変更が見られないことから、209系2100番台時代の内装をそのままにデビューする可能性が高そうです。

一方で、エクステリアの拘りを考えれば、大掛かりな改造でなく済むラッピングなどで独自色を見出すのかもしれません。

JR線内への乗り入れ有無・充当列車などは引き続き公表されていませんが、ATS-P搭載・JR線内の乗務員訓練も最小限で運行可能といった特徴を活かし、臨時列車での熱海駅以東への乗り入れにも期待したい車両です。

“リゾート21”は展示のため度々JR線に出張していたことから、209系で人気の“B.B.BASE”や“mue train”などと並べて撮影会……なども期待したいところです。

イメージ画像から車号も一部判明

引用;公式発表「伊豆急3000系のデザインと愛称が決まりました!」(外部PDF)

海側の画像に「3051」・山側の画像に「3001」の記載があることから、クハ209形→クハ3000形・クハ208形→クハ3050形であることが読み取れます。電動車のイラストは公開されていないため、電動車2両の車号は不明です。

伊豆急行の先輩車両を振り返ると、従来の伊豆急行8000系は譲渡当初、伊豆急下田側からクハ8000-モハ8100-モハ8200-クハ8010と組成されていました。

また、過去の113系→200系では熱海側からクハ251-モハ201-モハ202-クハ252といった付番がされていました。

明確な規則性は読み取れないものの、3000系についても200系同様に直通先の伊東線やその先の東海道線と編成向きが揃えられて入線したことから、車号も熱海側を基準に付与されているものと考えられます。

8000系に似た付番をするならば熱海側からクハ3000-モハ3100-モハ3200-クハ3050、またはクハ3000-モハ3010-モハ3020-クハ3050などが想像されます

車号は車体ラッピングの上から貼り付けられるものとみられ、こちらも完成までのお楽しみとなりそうです。

(下田側)1号車2号車3号車6号車→4号車
C609編成
→*1編成
クハ208-2109
→クハ3051?
モハ208-2118
→モハ3201?
モハ209-2118
→モハ3101?
クハ209-2109
→クハ3001?
C601編成
→*2編成
クハ208-2101
→クハ3052?
モハ208-2102
→モハ3202?
モハ209-2102
→モハ3102?
クハ209-2101
→クハ3002?

時刻表から運用を想像

2021年12月の発表で「8両編成」と記されて話題となりましたが、今回の発表でも従来に続き「8両編成(4両編成×2編成)」といった記述がされており、これが3000系2編成が半固定で運用されることを示すのか否かも注目されています。

2022年3月のダイヤ改正ではリゾート21の運用が変更されており、2運用のうち1つは伊豆高原以北完結運用とされています。伊豆急行線の特急通過駅は原則として8両分のホームが設けられていますが、今井浜海岸駅に限り7両編成のみに対応とされており、かつてのリゾート21でロイヤルボックス連結時はドアカット対応がされていました。そして、現時点で3000系にワンマン運転対応設備の追加は見られず、ツーマンでの運用が前提とみられますが、ドアカット自体には対応させている模様です。

時刻表を眺めてみると、2022年3月改正のダイヤでは636レ〜5636M(9時過ぎ)・5649M〜649レ(15時半ごろ)と伊豆高原駅での車両交換が設定されています。この両列車は繋がった1運用とみられ、ここも8000系以外の車両を充てる狙いがありそうです。

この独立運用が3000系デビュー以降の2100系/8000系共通運用とされるのが一番納得しやすいところでしょうか。

“リゾート21”B運用に充てる方が適切に思えますが、公開されている時刻表にはリゾート21 B運用もリゾート21使用と明記されています。“アルファ・リゾート21”が運用から離脱してから現在まで、A運用は所定が“リゾート21”として時刻表に明記・B運用は所定が8000系として時刻表には非掲載という体制が続いており、久しぶりの対応です。

ドアカット問題は対応済となっているのか、伊豆高原駅で切り離し作業を実施するのかは不明ですが、5637Mの停車時間では解結作業は困難なようにも見えます。

日中時間帯のみの運用では8000系の保有数削減への効果が限定的となることから、これに加えて朝晩の4両単独運用なども用意されているのかもしれません。ただ、4両でもツーマンでの設定は合理性に欠ける印象も否めず、答え合わせはもう少し先になりそうです。

未公表ながら独立している運用

列番始発駅時刻終着駅時刻
5636M伊豆高原9:05熱海9:57
5637M熱海10:10伊豆急下田11:41
5648M伊豆急下田12:11熱海14:10
5649M熱海14:29伊豆高原15:23

リゾート21 B運用(3/12〜3/31)

列番始発駅時刻終着駅時刻
5644M伊豆高原11:51熱海12:41
5645M熱海13:10伊豆高原13:57
5652M伊豆高原14:25熱海15:21
1653M熱海15:27伊東15:49
1658M伊東16:22熱海16:49
5659M熱海17:05伊豆高原18:00

過去記事

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