【車両展示】
▲「山陽 鉄道フェスティバル2019」の車両展示として,登場時の塗装に復刻された3000系3030編成(3030-3031-3561-3615 4連)は「普通 神戸」を表示,山陽電鉄で本格的なアルミ合金製車体を採用した3000系3000号は「普通 西代」を表示,日本初の全アルミ合金車両,山陽電鉄初の新性能車2000系2012以下3両(2012-2505-2013)「=急= 神戸」を表示が並べられました。
▲3000系3030編成(3030-3031-3561-3615 4連)「特急 姫路」。山陽電鉄は,6000系新型車両を順次投入し3000系からの更新を順次進めています。オリジナル鋼製車(3000系リフレッシュ工事済みの鋼製車およびアルミ車両以外の車両)としては最後の定期検査を受けた3030編成に,車体塗装を鉄道ファンに今でも根強い人気のツートンカラー(旧標準色)を「30年ぶり」に復刻。
昭和時代を駆けた懐かしい山陽電車の姿として,令和元年7月6日(土)から令和3年春頃までの予定で営業運転を行いました。
復刻塗装では,単に塗装をツートンカラー(紺色とクリームイエローに塗分け)に戻すのではなく,現行塗装化の際に移された前面の車両番号を元の位置に戻すなど細部までこだわっています。
運行期間中は,様々な企画やグッズ販売,季節に応じた復刻ヘッドマークの掲出などが,行われました。
▲ツートンカラー(紺色とクリームイエローに塗分け)に復刻された3000系3030編成。3000系オリジナル鋼製車(未更新車)の定期検査終了を記念して行われました。復刻に際し,車両前面の車両番号の移設,塗装前にいつもより念入りにパテで下地を整え,側面の乗降扉は現行塗装になってから交換されているために,塗分けに合わないことから付け替えるなど,関係者による細部までの強いこだわりにより,完璧に再現された旧標準色が30年ぶりによみがえりました。
▲東二見車両基地で保管されている日本初のアルミ車2000系2012-2505-2013。
2000系は山陽電鉄初の高性能車両として昭和31年から昭和38年にかけて計24両が製造されました。2012編成はアルミ車体の試作車として昭和37年に新造されました。
昭和30年前後には普通鋼以外の材料による車体の検討が始まりました。当時の川崎車両は,ドイツのWMD社のライセンスによる軽合金車両の開発を企画しました。同社の至近に位置する山陽電気鉄道に試作車の打診を行いました。軽合金とはアルミニウムを主材とする合金です。
軽合金車両は普通鋼車両よりも製造コストが高額になります。山陽は軽合金車両の軽量化,保守簡易化などの利点が製造費の増加を上回ることを実証するため2012編成新造に際に,同時に同形の鋼製車(外板のみステンレス張り)2014-2506-2015の新造し,長期的に同一条件で営業運転を行いながら比較を行い,軽合金車両の優位性を確認しました。
当初,パンタグラフ擦板やブレーキシューなどから発生する金属粉が柔らかい軽合金車体に付着し異種金属による腐食を発生させることと,沿線が海岸沿いの重工業地帯のための大気による化学的腐食を警戒しクリヤーラッカー塗装を施していました。また光沢のある外板の小さな歪みを隠すためにウロコ模様が付けていました。これらは後に問題が無い事が判り,とりやめました。
長期にわたり活躍してきましたが,車両の高性能化による保安度の向上や冷房化改造が不可能なために平成2年に引退しました。引退後は,東二見車両基地にて保管されています。
【列車種別幕・方向幕 回し】
車両展示の3000系3030編成,3000号の列車種別・方向幕の幕回しが適時実施されました。
※:画像の掲載順序は幕回しの順とは異なり,全てを掲載していない事を予めお断りいたします。
▲3000系3030編成「特急 姫路」。5000系が登場した昭和61年に正面の列車種別・行先表示幕が,現在の黒幕白抜き文字に交換されました。30年ぶりの復活・組み合わせとなりました。
写真でしか見た事しかなく見る機会は無いと思っていただけに,実際に見る事が出来て嬉しかったです。
▲3000系3030編成,「S特急 姫路」。旧標準色・白幕時代には存在しなかった「S特急」(「S特急」は平成3年のダイヤ改正で登場)と白幕・黒文字の「姫路」表示は新鮮でした。