[ 国立公園鉄道の探索 ]
VSE は やはり好い
(富士箱根伊豆国立公園)
歴代の小田急ロマンスカーラインナップ画像を背景にして、新宿駅小田急2番線に、VSEが入線してきました。
2005年、小田急ロマンスカーのフラグシップ(旗艦)として登場したVSEは、3月11日で定期運転を終了します。
背景のラインナップ画像に「 2005 - 2022 VSE 」と刻まれることになるはずです。
「感謝を込めて」
ただ、早すぎる引退が惜しまれます。
上段の運転席へ運転士が搭乗した後、タラップが自動で収納されいてきます。
以前は、運転士が乗り込む様子を乗客に公開した時期もあったようですが、今は安全面の配慮もあるのでしょうか、旅客乗車前に運転士は運転席へ向かいます。
VSEは小田急ロマンスカーの伝統を継承した電車です。
その、特徴は「連接車」と呼ばれる、各号車連結部分真下に台車が配置された構造にあります。
「揺れが少なく、安定した走行が可能」といわれますが、走行中の響きも独特なものがあります。
「2006年 ブルーリボン賞」
そして、「岡部憲明アーキテクチャーネットワーク」の表示もみられます。
VSEのデザインも、青いロマンスカー60000形MSEや最新のGSEと同じく建築家・岡部憲明氏が手掛けた作品でしたね。
全体的な配色のバランスも好いのですが、ドーム状の天井やテーブルの位置、この車内の形状がなんともユニークです。
絵画の世界に入ったようです。
「人間には古来から絵を描く力が備わっている」という岡部憲明氏の発言を何処かで聞いたことがありますが、
VSE車内の色彩から、氏のコンセプトが伝わってくるようにも思われます。
3号車へ移動してみますと、乗務員の方々からのメッセージが展示されたコーナーがありました。
「入社前から憧れのでした」 「暑い日も寒い日もたくさんのお客様を乗せて走ってくれたVSE 、本当にありがとう、そしてお疲れ様でした」 など、感謝の思い、率直な感想が綴られています。
乗務員の皆様からも特別な思い入れがあった電車だったんですね。
VSEに携わったすべての皆様に感謝申し上げたいと思います。
富士箱根国立公園の玄関口、終点・箱根湯本が近づいてきました。
閑静な空間、といいましょうか、本当に乗心地の好い電車です。
運ばれる、とか運搬される、という鉄道に背負わされた宿命とは対極的な境地にある、居心地の良さが溢れる車内でした。
この日の箱根は雪でした。