きっぷ片手に旅をする

公共交通利用が中心の旅行記がメイン。月3回程度のペースで定期更新中。

スノーパル23:55でスノボに行ってきた

 JR の座席夜行列車がついに全滅した中,東武鉄道はシーズンごとに座席夜行列車を運転しています。夏季の尾瀬へのハイキング向け「尾瀬夜行23:55」,秋季の日光への紅葉狩り向け「日光夜行23:55」,冬季のスキー客向け「スノーパル23:55」です。すべて夜行列車を降りてから目的地までの専用バスや帰りの乗車券がセットになった旅行商品として発売されています。

 「尾瀬夜行23:55」については以前このブログでも記事にしました。

 スノーパル23:55の旅行商品では,夜行列車「スノーパル23:55」で浅草から野岩鉄道会津高原尾瀬口駅まで向かい,会津高原駅からはバスに乗り換えて南会津の「たかつえスキー場」または「だいくらスキー場」への往復とリフト券がセットになっています*1

 今年1月,「たかつえスキー場」へスノーパル23:55に乗って行ってみました。

スノーパル23:55のチケット手配

 スノーパルのチケットは東武トップツアーズのみで扱われていますが,申込期限は店頭では利用する週の休前日(金曜日)の17時まで,WEB では7日前までの制約があります。COVID-19 禍で東武トップツアーズは店舗削減・営業時間の短縮を行っており、ふらっと週末に滑りに行きたい!のようなシチュエーションで買いづらさがあります。今回は WEB での申込期限が過ぎていたので、仕事の昼休みを延長して東武トップツアーズ店舗にて申込みました。店舗は空いていましたが旅行商品ということもあり発券に30分ほどかかりました。

スノーパル23:55でたかつえスキー場へ

 とある金曜日の夜,横浜の自宅からスノボ板をかついて通勤電車を乗り継ぎ浅草へ。

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浅草駅の改札。スノーパル23:55の案内に力が入っていました。

 23:40くらいに到着すると,すでにスノーパル23:55は特急ホームに入線していました。車両は特急リバティで使用される500系電車が充当されています。尾瀬夜行に乗ったときの記事にも書きましたが,昼行特急と同じ車両なので,リクライニングするとはいえ夜行路線バスのそれには圧倒的にかなわず,夜行列車で寝るにしてはなかなか窮屈な感は否めません。

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車内は荷物スペースも完備

 そして公共交通でスキー場にアクセスする以上,荷物の問題は切っても切れない問題です。スノーパル23:55はスキー場への専用列車なので大荷物を持った人で荷物スペースはいっぱいになってしまうのでは…?という懸念がありましたが,通常の荷物スペースに加えて車椅子スペース周辺が荷物置き場となっており,杞憂に終わりました。

 浅草を23時55分に発車した「スノーパル23:55」は北千住・新越谷・春日部に停車していき,東武沿線のスキー客をかき集めます。春日部を発車した頃には車内の座席は半分程度埋まるようになり,COVID-19禍の中としてはまずまずな乗車率になっていました。

 春日部を出たら下今市までノンストップ。下今市から鬼怒川線に入り,鬼怒川温泉などで小休止をはさみつつ,野岩鉄道との境界駅である新藤原に着いたのは2時40分ごろでした。

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新藤原で4時50分の発車まで2時間の長時間停車。

 新藤原駅ではドアが開き,外に出て休憩することができます。日によっては新藤原駅の改札で売店販売もあるそうです。深夜3時頃でだいたいの人は眠りについている頃ですが,私は久しぶりの座席夜行列車で寝れなかったので外に出て身体を伸ばし,良いクールダウンになりました。

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会津高原尾瀬口駅に到着

 朝5時20分すぎ,雪に埋もれた会津高原尾瀬口駅に到着。そのまま駅の外に出てしばらく待っているとスキー場へのバスが到着し早速乗り込みます。尾瀬に行くときもそうですが,この列車を降りてからバスを待つまでの間が妙に寒くてつらい……。

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たかつえスキー場への2台の連絡バス。奥にいるのは「だいくらスキー場」行き

 ここで「たかつえスキー場」への利用者と「だいくらスキー場」への利用者が分かれます。この日は「たかつえスキー場」へはバス2台,「だいくらスキー場」へはバス1台でしたので,「たかつえスキー場」への利用者のほうが多いようです。

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たかつえスキー場に到着

 夜も明けきらぬ雪の国道を尾瀬方面ひた走り,南会津町高杖原にある「たかつえスキー場」に着いたのは6時30分頃でした。スキーセンターに入るとレストランで朝食の準備がされており,ここでのんびり朝食とスノボの準備をしてリフトの稼働開始(8時30分)まで待機してました。

たかつえスキー場でパウダースノーをエンジョイ

 リフトが稼働開始したら,すぐに山頂部の非圧雪上級コースへ。たかつえスキー場はパウダースノーを売りにしていますが,この日は新雪があったので膝までのパウダーが楽しめました。

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マウンテンコース(上級)にて名物のパウダー!

 このスキー場は中斜面が多く,よい練習になりました。雪質はよくパウダーも満喫できたのでリピートもあるかもしれません(今季いけるかは微妙ですが)。

たかつえスキー場からの帰り道

 ひとしきりスノボを満喫したあとは,帰りの連絡バスに乗って会津高原尾瀬口駅へ。

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帰りの連絡バス。接続列車に合わせて何本か走っており自由に選べる。

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バスから見る南会津の集落。雪壁が高くかなりの豪雪地帯。

 帰りのバスでは行きではよくわからなかった国道沿いの景色も楽しめました。国道は除雪されているものの,雪壁は高くかなりの積雪があります。このあたりの南会津町は豪雪地帯または特別豪雪地帯に指定されているそうです。

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会津高原尾瀬口駅

 会津高原尾瀬口駅に到着後は,少し歩いて近くにある「会津高原温泉 夢の湯」へ。かなり年季の入った建物ですが,しっかりと硫化水素臭のあるかけ流しの単純温泉で,スノボでかいた汗を流してリラックスできました。

 温泉に入ったあとは,野岩鉄道普通列車下今市へ。6050系電車による運転ですが,来春のダイヤ改正でその活躍がかなり限られてくることが発表されています。もはや貴重な2ドア・ボックスシートの車両での雪見乗り鉄を楽しみます。

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ボックスシートが並ぶ2ドア車は関東では減ってきた。
このときは空いていたが,混んできたときは荷物(スノボ板)の置き方は気をつけたい。

 雪見乗り鉄を楽しみつつ,終点の下今市に着いたら接続している特急スペーシアで浅草まで直行。行きの「スノーパル23:55」で眠れなかったこともあり,特急に乗り込んで自分の席に着いてすぐ眠りに落ちてしまい,気がついた頃には浅草到着間際でした。

旅行後記

 「スノーパル23:55」はマイカーを持たない東京のスキーヤースノーボーダーにとってはリーズナブルに素晴らしい雪を楽しめるのにうってつけな列車・旅行プランだと思います。たかつえスキー場のコースも自分好みのところが多く,またリピートしたいと思います。ただ旅行会社への申込に制約が大きすぎる欠点が勿体なく,「利用したくてもできない」という場面が多いです。せめて「スノーパル23:55」利用当日の夕方まで WEB などで申込可能で,乗車票やバウチャーを駅で発行できるようにするなど利便性が高くなってくれればさらに良いのですが,ただでさえこのご時世であるので期待できず歯がゆいところです。

*1:帰りは普通列車または追加料金で特急利用可能