中央東線特急と北陸新幹線 | 鉄道きさらんど

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最近、「かいじ」がおよそ半額になる「お先にトクだ値スペシャル」が話題だが、それほどの破格の企画きっぷをJR東が発売する理由は中央東線特急の客離れが背景にあると指摘されている。

 

最近ツイッターであった話だと、山梨県民は元々マイカーを使い慣れているうえに道路事情の改善や安い高速バスのサービスやダイヤ改善でマイカーやバス利用より割高な中央線特急から急速に離れているらしい。これにはいつでも値ごろなあずさ回数券の廃止と全車指定席化による値上げ(えきねっと割引は何日も前から手配しなければいけないのがネック)、E353投入時のダイヤ改正で停車駅が減るなどダイヤが使いにくくなったこともあるらしい。

 

中央東線「あずさ」「かいじ」についていえば山梨の峡東地区や長野の諏訪地区で停車駅が大幅に減った(最近はまた停車駅が増えているが)のは振り子車両のE351系から簡易な車体傾斜のE353系への置き換えで曲線通過速度が下がるのに所要時間を大きく伸ばさないための苦肉の策らしい。長野県内に単線区間がありただでさえ交換待ちの時間があるし、それでダイヤが乱れると複線より遅延が広がりやすいから停車駅を減らそうとしたのだろう。

 

全列車を非振り子化しても所要時間を延ばしたくないのは「あずさ」の競争力低下があるのだろう。「あずさ」は北陸新幹線が長野まで開業した後からは年々「あずさ」の客を食う傾向にあるらしい。「あずさ」は単線で遅れがちなのを嫌って松本あたりから東京へと行くのには乗り継ぎ割引の効く「しなの」で長野まで行き新幹線に乗り換えるとか、クルマで上田駅まで行ってパークアンドライドで新幹線利用という人が増えているとか。

 

こうなると非振り子化をした時点で速さの追求はあきらめるしかないのだから中央東線特急は停車駅を増えて客をまめに拾うしかないだろう。

 

ところで最近久々に『鉄道ピクトリアル臨時増刊鉄道車両年鑑2002』を読んだらすでに「あずさ」の客が北陸新幹線(かつての呼び名は長野新幹線)に流れていく傾向は今に始まったものではなく約20年前から始まっているという記事があったのを思い出した。曽根悟氏によれば「あずさ」の新宿・松本間の全列車の表定速度は当時86.7km/hで「この結果、首都圏から大糸線沿線への旅行者は新幹線で長野にでて、長野からバス利用に移行している流れも出始めている」(23p)とのこと。

 

予定通りの開業が怪しいが山梨までは将来は中央東線とリニア中央新幹線が競合するし、この区間の特急はさらに苦境に立たされるのだろうか。