JRの東京近郊の路線図を見ていると、ちょうど川崎と横浜の間あたりに、黄色い線でゴチャゴチャと書いてある路線に気づきます。
それは、南武線の枝分かれ線「南武支線」と、鶴見駅からカギのように出ている「鶴見線」。
お仕事で周辺に行く方以外にはおそらく利用シーンがないであろうこの路線。今回、旧東海道を歩くついでに全線に沿って歩いてみよう、と思い立ち行ってまいりました。
スタートは川崎駅から。
東海道本線沿いを南に歩いていくと、「市電通り」を横切ります。
1969年に廃止されるまで、この道路の真ん中に「川崎市電」が走っていました。現在の南武支線は、ほぼこの市電と平行に浜川崎(浜町)に向かって走っています。
そして、その市電通りを渡った先にあるのが、「八丁畷駅」。京浜急行とクロスしている場所にある乗換駅です。
上の高架を走っているのが南武支線。
八丁畷駅からは古い商店街や住宅街を通ります。
南武支線には、旅客が乗る電車は2両編成のものが往復しているだけですが、貨物列車はかなり頻繁に走っており、踏切も、意外としょっちゅう開いたり閉まったり。
そんな住宅街の真ん中にあるのが「川崎新町」駅です。ここに初めて来たのはたしか30年以上前の1985年ぐらいだったと記憶していますが、
その時から変わらない駅の建物の雰囲気にビックリ。
さらに古い住宅街を進むと、突然団地群が見えてきます。
そこに2016年に新たに開業した駅が「小田栄」駅。団地の真ん中にある無人駅です。
団地の横の道は、線路沿いの遊歩道になっていて、散歩したりジョギングしたり、住民が思い思いに行き来しています。
そして突然大きい「産業道路」が見えてきて、渡ると「浜川崎駅」に到着します。南武支線はここで終点ですが、貨物線の線路はそのまま続いて鶴見線につながっています。
浜川崎駅はこれまた変わり種で、道路を挟んで駅が2つに分かれていて、乗り換える人は一度外に出なければなりません。
こちらは、鶴見線の方の浜川崎駅。
続いて、浜川崎から2駅分歩いて、終点の「扇町駅」を目指します。
産業道路から右折して、港や工場群へ向かうトラックがビュンビュン走る道路脇を、トボトボ歩いていきます。
扇町駅は、三井埠頭の工場街の敷地内のような場所にポツンとあって、線路がなければちょっとした小屋のようで、
思わず見過ごしてしまいそう。
「昭和駅」は、その名前だけでもノスタルジーを感じてしまいますが、実は「昭和電工」の工場の入り口にあって、
昭和電工さんの専用駅のような感じになっています。駅は無人で、Suicaをタッチして入場する形になっています。
浜川崎に戻ると、さらに産業道路に沿って歩きます。
次の武蔵白石駅からは、右に1駅だけの「大川支線」が分かれます。ただし、大川駅方面の線路にはホームがありません。
以前来たときはこの駅で乗り換えた記憶があったのですが、どうしたのでしょうか。
(あとで調べてみたら、カーブ部分にあったホームは撤去されたとのこと。浜川崎方面から大川方面への乗り換えは、次の安善駅で行うようです)
その「安善(あんぜん)」駅。武蔵白石駅から歩いて10分ぐらいで着きます。ここから横浜市鶴見区へ。
さらに運河を渡ったところにあるのが「浅野駅」。
ここの名物は、何と言っても海芝浦行きの「海芝浦支線」が分かれる三角形のホームでしょう。
三角形の一辺部分に駅舎があり、こんな感じで2つの線路が合流しています。こちらは海芝浦方面の3番線。
こんな風に2つの路線が分かれる駅は、他に徳島県の「池谷駅」がありますが、海外の路面電車のような感じもあり、面白いですね。
まさに、現代のトワイライトゾーン的な空間!
そんな場所ですから、国道駅は、以前よりドラマのロケ地として多く使われています。
別ブログにも書きましたので、よろしければご覧ください。
謎と魅力の多い南武支線と鶴見線。3時間ほどのけっこうハードな歩き旅ですが、機会があればどうぞお出かけください。
(訪問日:2022年1月)