本音と忖度と | 鉄道きさらんど

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いつも列車・バスなど公共交通の事ばっか考えてます。

前エントリでJR西日本はホーム上のごみ箱撤去にセキュリティ強化以外にも「お客様のご通行、お待ち合いの際のスペース確保」という理由を付けていると書いたが、こういう言い訳がましい言い方は以前にも見かけたなと思った。

 

 

昨年SL北びわこ号廃止発表のリリースでSLのばい煙が原因で換気がやりづらく感染リスクがあるから廃止するという、いかにもとってつけたような理由、つかはっきり言って言い訳をしたのがJR西日本。12系客車が老朽化してお守りが困難だというのはわかるが、車両の維持のコストが運行していくうえで重荷で苦しいから廃止したいというのを正直に言わず、さもお客様の安全第一の判断をしたと言ったのはおためごかしのようでいい印象を持てなかった。

 

経費がかかるのが重荷だからという理由にせずにごみ箱撤去はあたかもお客様のホームでの快適な通行のための施策ですというのにも通じるものがある。

 

JR西日本はこういう自社の都合で施策を変えるのをお客様の安全や快適のためだとおためごかしする体質がある。これは個人的な邪推だが、宝塚線事故を経て世間に頭が上がらなくなり、世間から叩かれるリスク回避を第一に考えるようになったことが関係しているのかなと思う。

 

客車が最新型とはいえ、トンネルがあってフルに窓開け換気できないSLやまぐちは安全上問題がないのか?と思う。SL北びわこ号が客車の老朽化で廃止されるのにSLやまぐち号は新客車になりばい煙と換気のリスクが何もなかったかのように今も運行されている。これは去年6月のエントリで指摘したように山口・島根と滋賀では地域に大物政治家がいるかどうかという政治力の差があるからJR西日本の本音は政治的に配慮する地域としなくていい地域で対応に差が出ているのではないかと指摘した。(要するに忖度するかどうか)

 

そういう個人的な邪推は当たっているかもしれないと思う。

JR西は木次線の奥出雲おろち号を車両の老朽化のために廃止する予定だが、SL北びわこのような「突然死」ではなく、23年度まで猶予期間がある。そして、地元が運行経費などを負担するなどの支援や協力をすることが前提となろうが気動車の観光列車の「あめつち」を木次線に投入するという。

 

一方滋賀では来月にSL北びわこの代替のつもりだろうが大阪・京都から木ノ本へと往復する「特急北びわこ」なる団臨を走らせる予定。しかしこれはサンダーバード用の683系での運転。車両はカスタムカーではない汎用的な車両で湖西線特急が迂回する実績がすでにあって乗務員の訓練がいらないからやってみるか、というような内容である。観光庁「既存観光拠点の再生・高付加価値化推進事業」【交通連携型】の補助金を受けて運行するからJR側の持ち出しも少ないし。

 

やはりこれは地域の政治力とJRの忖度力の差か、と思う。

 

とはいえ、特急北びわこ号は木ノ本や長浜で降りて結構長い時間現地を観光できるし観光プランも充実してそうで湖北を楽しめそうではある。またこの手のJR団臨ツアーはどんどん高額化がとまらないがこのツアーは値段もお値ごろで気軽に参加できそうだ。再び旅行自粛ムードが広がるがこの列車ツアーは催行してほしいもの。(追記:結局催行中止になった)