キハ80系と共に非電化区間の列車速達化に大きく貢献したキハ58系。その北海道バージョンがキハ56になります。画像は一瞬、本州向けのキハ58かと思ったのですが、グリーン車が小窓並ぶキロ26のように見えますので、ここではキハ56として扱います。ただ、北海道の気動車はキハ22にしてもキハ56にしても、車両の前頭部に番号が記されていますけど、これは記されていません。だから余計に 「これ、ホントにキハ56?」 と勘ぐっちゃうのです。

 

北海道だけでなく、当時はまだ、特急列車は高嶺の花だったので、 “普通の利用客” は専ら急行や準急を使うことになりますが、昭和30年代後半から40年代の前半にかけては、急行もおいそれとは乗れない列車だったので、 “清水の舞台から飛び降りる” 感覚でりようしていたのかもしれません。段々と特急列車の大衆化が進み、特に昭和40年代後半から急行の特急格上げがダイヤ改正の度に実施されまして、急行はその都度、肩身の狭い思いをするわけですが、北海道はまだその恩恵がなくて、 「急行が主役」 という時代がしばらく続きます。

 

画像をよく見ると、普通車両の窓が全開になっていて、グリーン車は窓が閉め切られているので、撮影は夏場だというのが判ります。そして、キロ26にグリーン帯が巻かれていないので、昭和50年代中盤に撮影されてものかなと思ったりします。

キハ56は北海道の彼方此方で見られ、急行の他に普通列車にも充当されていましたが、グリーン車付きの急行は知れていると思っていました。

 

「すずらん」

「ニセコ」

「ちとせ」

「宗谷」

「大雪」

「天北」

「なよろ」

「狩勝」

・・・

 

これは昭和54年12月現在の時刻表からグリーン車付きの北海道急行を挙げてみましたが、これしかありません。逆に言えば、挙げた列車はある意味、エリートなのかなと思ったりします。走っている線路は複線なので、函館本線か室蘭本線、あるいは根室本線の可能性があります。

 

キハ58系が華々しかった時代の一コマでした。

 

【画像提供】

ウ様

【参考文献・引用】

国鉄監修・交通公社の時刻表 1979年12月号 (日本交通公社 刊)