以前に、KATO製の211系2000番台の7両基本セット(10-517)に、3両増結セット(10-518)相当分の車両をジャンクボディから整備して、基本編成10両とし快速アクティーに仕立てていますが、入手難の付属編成の5両もジャンクボディから整備することにしました。

 

付属編成の製品は、5両セット(10-519)としてJR東日本・田町車両センター所属のN53編成が再現されています(KATOのHP→こちら)。内訳は、熱海方から ⑪クハ210-2003,⑫モハ210-2003(M),⑬モハ211-2003,⑭サハ211-2003,⑮クハ211-2003 東京方の順となる5両です。

 

手持ちのジャンクボディから5両分を選別しました。

左から、⑪クハ210-2003,⑫モハ210-3022,⑬モハ211-2020,⑭サハ211-2003,⑮クハ211-2003 です。下線を施した車番は、N53編成と一致していません。

 

左から2番目だけが通常のASSYパーツから部品取りした後の残品で、これ以外はジャンク品で目印にボディ内側に赤色や白丸のマーキングがされています。

 

上記を所定車両に組み立てるのに必用な材料を整理します。

⑪クハ210-2003には、購入してあった新品のASSYパーツで、クハ210-2015ボディ(4151-2A)とクハ210-2011長野色床下(4151-6C)とクハ211-2011台車・機器付き(4150-4D)を使い、ボディのみ車番が合致しているジャンク品に置換えます。但し、スカートは以前に211系3000番台の5両セット(10-425)を高崎仕様として、211系長野色用の強化スカート(Z04-9315)に置換えたことで捻出した従来形のものに交換しています。前面カプラーはダミーカプラーで基本編成と連結できませんが、2000番台用の床下セットではKATOカプラー伸縮密連形に変更できる構造になっており、詳細は後述します。

 

次に⑫~⑭の中間車3両のベースになるのは、何れも中古品で入手した0番台です。

左から、モハ210-7,モハ211-7(M),サハ211-5で、何れもボディ以外の屋根板/窓ガラス/下回りを使用します。ただ座席表現のない動力車を除き、0番台車両の座席パーツはセミクロスシートで、2000番台のロングシートとは異なりますが、代品がなく取り敢えずそのまま利用します。

 

⑮クハ211-2003には、中古品で入手したクハ211-5のボディと床板を除く屋根/窓ガラス/台車のみを使用します。下回りは⑪クハ210-2003と同一品で、台車は流用品を使用するので211系長野色・車端部床下機器(Z04-8620)を別に準備しました。スカートは撮影時に付け忘れていますが、通常形を準備してあります。

 

材料の準備が出来たので、2000番台用のボディに各部を装着すれば、改装作業は簡単に終わりそうですが、ベース車両に0番台を多用した結果、幾つか加工をしないと組み立てることが出来ない車両があります。

 

先ず先頭車です。

左が0番台用の床下セット、右側が2000番台用の床下セットです。座席の形状が異なる以外に、0番台ではヘッドライト/テールライトのみ点灯する仕様でしたが、2000番台では更に前面の種別幕も点灯する仕様になり、ライトケースの構成・形状が変更されて、ヘッドライト/テールライトのレンズもケース側に装着されています。

 

0番台(左側)では、ヘッドライト/テールライトのレンズはボディ側に装着されており、2000番台(右側)のボディ側には何もなくスッキリしています。これに関連して他にも相違点があります。

 

ボディの向きを変えると判りますが、両開きドアから左側にある乗務員ドアにかけて、窓ガラスの形状が0番台(手前側)と2000番台(奥側)で異なっています。2000番台では窓枠スレスレまで切り込まれていることが判りますが、これは床板先端にあるライトケースのハウジングサイズが上方に拡大されたため、これとの接触を回避するための細工です。

 

窓ガラスを外してみました。

手前側が0番台用、奥側が2000番台用の窓ガラスで、先端部分以外は同一形状をしています。

 

従って、先頭車で0番台用の窓ガラスを使用する際には、R/L両側面とも先端部分の窓下を切断加工しておく必要があります。

 

2000番台用(上側)を見本にして、0番台用(下側)の先端部を切断しておきました。

 

前面板の種別幕は、0番台(左側)ではモールドで表現されていましたが、2000番台(右側)では穴が開けられ光が透過する電照式構造に変わっています。また、0番台には運転席上にJRマークがないので、2000番台(写真は今回使用しないクハ210-2015のボディ)とするにはインレタで追加せねばなりません。

 

裏面から見ると、種別幕部分の違いが鮮明です。0番台用の前面板(左側)を使用するには、2000番台用の前面板(右側)と同様に穴開け加工が必要です。

 

0番台用の前面板(左上)の種別幕を繰り抜きましたが、種別幕の導光レンズの先端が楽に通るようにと腐心し過ぎて、2000番台用に前面板(右上)に比べて上下左右とも少し大きめの穴になってしまいました。併せて0番台の前面ガラス(左下)も、2000番台用の前面ガラス(右下)と同じ形状になるように中央上部を切断しました。

 

次に、中間車ではパンタグラフのある車両(⑬モハ211-2003)のみ加工が必要です。

0番台のパンタグラフは幅の広いPS16/PS16A(中央)ですが、2000番台では幅を狭くして見映えが改善されたPS16B(右側)が装着されています。パンタグラフの取付脚の向きは、PS16では前後方向(左側の0番台用の屋根板の取付穴も参照)ですが、見映えの良いPS16Bでは左右方向に変わっています。取付脚は、ある程度長さの必用なため、屋根板を貫通してボディ天井に当ってしまいます。このため、ボディ天井部分には逃げ穴が設けてあり、0番台用のボディ(中央)では前後方向に長穴が、2000番台用のボディでは左右方向に小穴が開けてあります。

 

従って、0番台用の屋根板を使用してPS16のままではボディ天井に前後方向の穴開け加工が必要で、PS16Bに変更する際には、屋根板に左右方向の穴開け加工が必要になります。取付脚の取付穴は何れもφ1mmですが、取付脚の間隔はPS16が4mm、PS16Bが3.5mmと異なるので注意が必要です。更に、PS16では表現されているパンタ置台が、PS16Bには表現されていないので屋根上にパンタ置台を追加した方がよく、見映えを優先すると手間も掛ります。

 

パンタグラフの取付穴φ1mmを枕木方向に3.5mm間隔で開けてから、パンタ置台の中心にφ0.5mmの小穴(前後方向8.8mm間隔、枕木方向7.5mm間隔)も開けておきました。パンタ置台は、鉄コレのパンタグラフをTOMIX製のPS13(0224)に交換した際に、余剰となる歩み板と一体になったパンタ置台の部分だけ切り離して使用しますが、切り離す前にパンタ置台の裏面を屋根の傾斜に合うよう鉄ヤスリで斜めに削っておきました。

 

元のパンタ取付穴は、直径1mmのプラ丸棒で埋めています。切り離したパンタ置台は、裏面にプラ用接着剤を付けて屋根板に貼り付けています。その際、待ち針をパンタ置台の穴に上方から刺し込んで、針の先端を屋根板の小穴にも突き刺すことで位置ズレを防ぎました。最後に屋根板の裏面から小穴を介して、少量の瞬間接着剤を流し込んでおきました。このパンタ置台は2段構造になっており、今回の用途には上段の高さが過剰気味なので、最後に上段の厚さを1/3位になるまで鉄ヤスリで削って仕上げました。

 

これで各車両の組立に着手できます。

基本編成と連結する側の付属編成の熱海方先頭車⑪クハ210-2003です。

 

付属編成の2両目⑫モハ210-2003(M)です。ボディは3000番台を使用したのでドア開閉スイッチが印刷されており消去せねばなりません。併せ車番も3022のままで未改番です。

 

付属編成の3両目⑬モハ211-2003です。車番は2020のままで未改番です。方向幕と妻板間に短いオレンジ色の帯がありますが、若番車にはないので消去せねばなりません。

 

付属編成の4両目⑭サハ211-2003です。

 

付属編成の5両目の東京方先頭車⑮クハ211-2003です。

 

なお、先頭車のダミーカプラーは、2両共とも連結可能なものに交換してあります。

左側がダミーカプラーの装着状態、右側が連結可能なカプラーに交換後の状態です。ダミーカプラーは前面から挿し込んであるだけなので指で引き抜くことができ、別売のクハ201前面用カプラーセット(4321C3)が装着可能な構造になっており、コの字形のカバーを介して伸縮密連形カプラーを装着することが出来ます。

 

左側が⑪クハ210-2003(熱海方)、右側が⑮クハ211-2003(東京方)です。JRマークはボディ側の黒色幕部にインレタを転写し、前面ガラスで上から覆うことにより保護しています。このインレタは30年以上前に販売されていた絶版品ですが、貼付能力は損なわれていませんでした。寧ろ寒さで指がかじかみ貼付位置の固定に時間を要しましたが、少し右寄りになってしまい残念です。暖かくなってから転写し直すことにします。

 

実は、材料を手元に揃えてから、写真を撮って記事を書きながら加工作業を進めることの繰り返しで、本記事の作成に正味4日間を要しています。このため、途中で当初計画を変更した箇所があり、⑪号車と⑮号車のベース部材を入れ替えた状態で組み上げています。スタート時点での写真の撮り直しが効かないので、書き出し部分と最後の部分で相違が生じています。

 

理由は、0番台用前面を当初は⑮号車に使用する計画でしたが、前面の種別幕の穴開けが少し大きくなり過ぎたことで、基本編成との連結面になる⑪号車に回し、当初⑪号車に予定した2000番台用の新品前面を最後尾で目立つ⑮号車に回した方が良いとの判断からです。

 

漸く4日目にして、付属編成5両が完成しました。

 

 

左側が7両基本セット(10-517)で①~⑥⑩号車、右側がジャンクボディから生まれた車両達で、上3両が3両増結セット(10-518)相当分の⑦⑧⑨号車と下5両が付属編成用の5両セット(10-519)相当分の⑪~⑮号車で、211系2000番台の15両が揃いました。

 

15両編成にして悠然と走行させるには、レンタルレイアウトのお世話にならざるを得ませんが、憎きコロナウイルスの第6波流行との報に、何時になったら広々とした場所での15両走行が実現するのでしょうか。

 

【関連記事】

 KATO 211系2000番台の付属編成5両も追加整備

 KATO 211系2000番台の快速アクティ

 KATO 211系に施した小加工

 KATO 211系2000番台の10両編成も投入