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白亜のボゴール旧駅本屋供用再開

露天商締め出しの為、2014年以来閉鎖されていたボゴール駅東口改札が、ボゴール市が整備した市民公園(露天商や不法占拠建築等、駅前ヤクザ浄化完了後の跡地)のオープンに合わせ、12月21日から約7年ぶりに供用を再開しました。ジョーナン政権によるKAI構内の浄化作戦、そしてボゴール市が進めた露天商及びアンコタ追放運動に翻弄された旧駅舎が再び日の目を見ることになりました。




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ボゴール名物「バカの柵」も撤去され、
道路に向けて直接開放されました

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再び自動改札機と券売機が設置された旧駅舎

旧改札と言えば、半年前はコロナ接種会場になっており、
まさか改札として復活するとは思いませんでした・・・

旧駅舎はボゴール駅のメイン改札口として、隣接するボゴール市場、仲見世通り、駅前の大通りにアクセス抜群の利便性を誇っていましたが、KAI敷地内の仲見世通りの入居者を追放するため、2013年6月1日の乗車券のIC化・自動改札機の供用開始と共に一旦閉鎖されました。このときに、メインの東口と、裏手にあたる西口を統合して、巨大な中央口が設置されました。しかし、中央口はKAIのパークアンドライド駐車場には通じるものの、改札前の道路とは「バカの柵」によって遮られており、アンコタへの乗り継ぎはおろか、駅の外に出るのにも大混雑の1mにも満たない通路で延々と駅の外周を歩かされ一苦労・・・と言う状況でした。アンコタが駅前に滞留すると、ボゴール市からKAI側にお達しが出る為、それを避ける口実づくりなわけですが、だったら余りまくっている用地を使って、アンコタ乗り場作れよ!と思うのですが、縄張り意識が強すぎ(公共スペースという考え方が皆無)て、それが出来ないインドネシアです。最大の問題は後述する土地ヤクザの存在ですが。

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中央改札側はバカの柵によって覆われています
左がKAI敷地内、右が歩道、さらに歩道と車道の間にももう一つバカの柵が
あり、二重バリケードという他に類を見ない形状になってます

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屋根付き通路はぐるっと駅を半周しており、パークアンドライド駐車場前
にようやく柵の途切れた出口があります


2013年6月1日の様子はこちらからどうぞ

ただ、流石に不便過ぎたのと、通路が将棋倒しが発生するほどの大混雑になったため、このときはわずか数日で東口改札は復活しています。しかし、仲見世通りの掃討作戦は計画通り実行され、ほとぼりの冷めた頃に、東口改札も再び閉鎖されました。いずれも2014年中頃のことです。なお、このときKCI(当時はKCJ)は、ボゴール市からの指示で閉鎖したと答えています(本社でエヴァ嬢に聞き取りしたので、よく覚えています)。東口から駅前道路に出る付近にバカの柵が無かった(当時は歩行者天国ではなく、車の出入りがあるため物理的に作れなかった)為、アンコタが溜まること、加えて仲見世通り以外にも駅敷地外に多数の露店、不法占拠商店が立ち並んでおり、中央改札の開設で、だいぶ衰退していたものの、ボゴール市としても、これらを全て浄化したいという思惑があったものと思われます。なお、救済策として、中央改札前の歩道橋との間に動線を確保し、迂回距離が従来に比べたら少しは短縮しました。

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ただ、アンコタに乗るにはパークアンドライド駐車場付近まで迂回してから、
柵の無い対岸に渡らなければならず、不便はそのまま
てか、コロナで明らかにアンコタ減ったよなぁ・・・


破壊された仲見世通りはこちらからどうぞ

この結果、東口側はすっかりさびれてしまい、ただでさえ市場の近くで治安が悪そうな一角が、さらに場末の雰囲気を醸すようになりました。もともと、駅前道路から繋がっていた道路(後に歩行者天国)もいつの間にか閉鎖されてしまい、市場方面、ボゴール電車区脇の踏切方面に向かうには大迂回を強いられることになりました。そんなこんなで、私もこの旧駅舎周辺からはすっかりご無沙汰になってしまい、先のワクチン会場になったときにに久々に訪れたわけですが、そのときには、まさかこんな綺麗に整備されるとは予想もしませんでした。当然、商店は店じまいし、一部は当局に破壊され残骸になっており、一方、駅前道路側では何やら工事をしており、今後何か出来るらしいということまでしかわかりませんでした。

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小奇麗というか、殺風景なまでに整備された旧駅舎前
なお、この奥、市場方面には柵がされており、表向きには通行禁止
(微妙な隙間があるので実際には行き来できる)

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そして、誕生した巨大空間(Alun Alun Bogor)、コロナ様様ですね・・・
こんな土地あるなら、一部を交通広場にしなさいよ


開業式典では、ディディック社長もこの広場のお立ち台に立ちました
記念柄のKMT(コメット)は1月発売予定とか

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広場から駅前道路に通じる道
横は運動公園のようになっています

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駅前道路に出たところ
今回、歩道が整備され、初めて駅前道路に直接アクセス出来るようになりました
雀の涙程度に車寄せもありますが、足りないだろ、これでは・・・

いやぁ、これは事前情報なしで行ったら浦島太郎ですね。コロナ禍での市場、駅前露店の収入減、アンコタ通過台数の減少は、直接土地ヤクザの衰退に繋がっており、コロナ禍に乗じた駅前浄化作戦は各所で行われています。タナアバンも2020年に潰されましたし、難攻不落のマンガライが切り崩された(交番裏の「麻薬公園」が完封無きまでに破壊されました)のも記憶に新しいところです。コロナも使いようです。

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Alun Alun前の商店は万々歳ですね
歩道は工事中?まさかバカの柵は作らないですよね??

ボゴール市は20年来公共交通行政に失敗しており、特にアンコタのコントロールを完全に失っていました。雨後の竹の子のごとく台数は増え続け、アンコタ渋滞がボゴール名物になるほどで、2013年に駅前に「バカの柵」が数百メートルにわたって設置され、アンコタと電車との乗り継ぎを事実上出来なくした、そしてKCIの巨大パークアンドライド駐車場を活用し、バイク、マイカーに誘導しているのがあからさまでした。まあ、そうでもない限り、ヤクザの運行するアンコタを制御することは出来ません。一時期議論されたナンバープレートの奇数偶数による運行制限も圧力がかかり実現していません。もっとも、運行車両を5割減にしたとしても、それでも多すぎると言われていたわけで・・・。

ただ、そのボゴール市も昨年には、ようやく巨大利権にメスを入れ、1系統のみですが、表向きにはアンコタを掃討し(闇アンコタは走っている)、市営バスに置き換えています。

インドネシア名物公開破壊で、アンコタを潰しにかかるボゴール市長(2021年11月)

ボゴール市内だけで3000台もアンコタがあることに驚きですが、果たして計画通り一掃することが出来るのでしょうか・・・。 まずは、2021年11月にパイロット事業として、30台のアンコタを破壊し、10台の市営バス(Trans Pakuan)に置き換え運行を開始していますが、気の遠くなる話ですよね・・・。だいたい、最新のニュースによれば、1月1日から当面の間、大人の事情により運行停止とのことですし。完全にヤクザの反撃にあってるんじゃないですかね・・・。何年先になるのかわかりませんが、アンコタの完全掃討で、ボゴール駅前が交通結節点としてマトモに機能するようになることを期待しています。

ま、とにかく今後は中央改札の方に流されず、東口旧改札をご利用下さい。駅前のケンタッキーに行くにも、スカブミ線への乗り継ぎも、もみくちゃにならず、最短ルートで到達できます。

おまけ

インドネシアの土地ヤクザに関しては、こちらの記事が秀逸です
ロクでもないじゃか新ですが、本名先生のコラムだけは毎回必見です

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