船名板を囲んでいるフレーム状の半丸鋼を「ワイヤーズレ」と称してます。 ワイヤーずれ防止の半丸鋼が略された呼称ですが、繋船作業や繋船中にワイヤーが船体に接触しても塗装が剥げない様に特に着岸する左舷側の船首船尾を中心に取り付けられているのです。
津軽丸型の場合、直径が75mmを半分にカットして高さ37.5mmのワイヤーズレが施工されており、厚さ7.5mmの船名文字も保護されました。 面白いのはこのワイヤーズレ、船ごとに異なる形状なのです。
。右舷にある船(大雪丸とか)無い船、 ローマ字との仕切り、最小限で済まされた船、と船尾まで含めて様々です。
日本船舶海洋工学会のデジタル造船資料館で公開されている「船の科学」誌1965(昭和40年)6月号の90ページに一次資料があります(連絡船ドック/古川達郎著)。
ちなみに貨物船の船名板は4.5mmの鋼板文字で、真鍮板合わせでは無かった様です。 また津軽丸の設計時に船尾の船名と船籍港の表記は、ポンプ操縦室正面(船尾側から見て)の窓下に付けられる計画がありましたが、却下された経緯があります。
なお船尾側のワイヤーズレは国鉄側からの指示で『実船にワイヤーを張って船名文字にスレなければ施工しないこと。』となっていました。