【ダイヤ改正2022】中央線特急「あずさ」2往復が「かいじ」化・車両運用にも影響か

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JR東日本では2021年12月17日、新幹線と在来線の大規模な運転本数見直しを発表しており、在来線特急についても大きな変更が発表されています。

中央東線特急「あずさ」の2往復が「かいじ」となるほか、「はちおうじ」の運転本数削減・「おうめ」の運転時刻繰り上げなどの変更が予定されています。

中央線特急〜「あずさ」2往復の「かいじ」化

中央東線特急は、新宿〜松本間を結ぶ特急「あずさ」が18往復36列車・新宿〜甲府間を結ぶ特急「かいじ」が12往復24列車の合計30往復60本体制が長年に渡り続いていました。「あずさ」の一部列車は千葉・東京・南小谷発着、「かいじ」の一部列車は東京・竜王発着として利便性を高めています。

基本的に「あずさ」が速達型・「かいじ」が停車型ですが、現在まで長野県内発着は「あずさ」・山梨県内始終着は「かいじ」の名称と、発着駅に基づいた愛称のため「あずさ」の一部には八王子〜甲府間の停車駅が「かいじ」と同等の列車も長らく運行されています。

2019年から大月駅より富士急行線に直通する特急「富士回遊」が運転されていますが、JR線内は「あずさ」または「かいじ」に連結する体制となっています。

2022年3月のダイヤ改正では、下り「あずさ19号・43号」と上り「あずさ14号・58号」2往復4列車の甲府〜松本間の運転が取りやめられ、「かいじ」化されることとなります。

これにより、ダイヤ改正後は特急「あずさ」が16往復32列車・新宿〜甲府間を結ぶ特急「かいじ」が14往復28列車となります。

列車名始発駅時刻終着駅時刻備考
19Mあずさ19号新宿11:30松本14:09甲府止まりに
43Mあずさ43号新宿17:30松本20:19甲府止まりに
5014Mあずさ14号松本8:40東京11:32甲府始発に
58Mあずさ58号松本19:30新宿22:07甲府始発に

今回の区間削減対象となった列車は「あずさ」が連続して運転されていた時間帯の列車です。

このうち「あずさ19号」は2019年3月改正まで「かいじ105号」だった列車で、「あずさ43号」「あずさ58号」は同改正まで甲府以東で大月・塩山・山梨市・石和温泉に停車する「かいじ」パターンで運転(あずさ27号・あずさ34号)されていた列車です。実質的に「かいじ」の松本延長の色合いが強い経緯のある列車が削減対象となっている点が特徴的です。

常磐線特急の事例と同様に、利用者が多い時間帯に延長されていた列車を区間短縮した格好で、利便性を最低限維持しつつ輸送の効率化を図る狙いが伺えます。

本数を減らした代替として速達列車の停車駅を増やす対応は、近年の埼京線の快速列車でも見られた変更がされており、今回のダイヤ改正では立川・上諏訪を通過していた最速達列車の停車パターンも見納めとなっています。

今回の減便対象で意外と言える列車は「あずさ14号」ですが、これは後続の「あずさ16号」が甲府以東で「かいじ」パターンとなっていました。

この朝の上りについては単純な置き換えとせず、運転区間削減に合わせてあずさ号・かいじ号の設定順序と運転時刻が変更されています。E353系統一で運転パターンが変更された、2019年以来の大規模な変化となりそうです。

列車名始発駅時刻終着駅時刻
かいじ2号竜王7:12新宿9:04運転時刻15分程度繰上
あずさ4号松本6:30東京9:27
あずさ6号
→かいじ6号
松本
→甲府
6:50
新宿
→東京
9:26
9:42
かいじ8号
→あずさ8号
竜王
→松本
8:12
東京10:09
10:01
八王子以西は旧あずさ6号停車駅
八王子以東は旧かいじ8号の8分程度繰上
あずさ10号
→かいじ10号
松本
→甲府
8:00
東京10:54
10:39
八王子以東は旧あずさ10号の15分程度繰上
かいじ12号
→あずさ12号
甲府
→松本
9:24
新宿
→東京
10:59
11:09
あずさ10号停車駅継承+東京延長
八王子以東は旧かいじ10号の5分程度繰上
あずさ14号
→かいじ14号
松本
→甲府
8:40
東京11:30
11:32
あずさ16号松本9:10新宿11:53停車駅変更は未発表
(元々「かいじ」パターン)
あずさ18号松本10:10
維持?
新宿12:33
12:44
最速達
→一般的な速達便停車駅+小淵沢

中央線特急ではこのほか、2019年より「中央ライナー」「青梅ライナー」を引き継いだ特急「はちおうじ」特急「おうめ」の運転を開始しており、現在は「はちおうじ」が下り5本・上り2本、「おうめ」が下り2本・上り1本運転されていました。

今回のダイヤ改正では、「はちおうじ」のうち深夜帯の2列車がそれぞれ臨時化・運転取りやめの対象とされており、これに関連して「おうめ3号」の運転時刻が変更されています。

列車名始発駅時刻終着駅時刻備考
5207Mはちおうじ7号東京22:15八王子23:07平日運転臨時化
東京22:30発,新宿22:45発へ
5303Mおうめ3号東京22:30青梅23:47平日運転(維持)
東京22:15発,新宿22:30発へ
5209Mはちおうじ9号東京23:00八王子23:48平日運転運転取りやめ

「はちおうじ7号」の運転日発表は季節の臨時列車発表を待つこととなりますが、中央線特急ではこれまで長らく、金曜夜に臨時「かいじ」下り1本を運転しており、同様の運転体系が想像できます。

車両運用への影響

E353系の運用数を巡っては踏切事故で付属編成が長期離脱をしていた時期もありましたが、2020年9月以降は基本編成が17運用(+予定臨2運用)20編成配置・付属編成が10運用11編成配置となっています。

「かいじ」は「富士回遊」併結を除き全て基本編成9両で運用されているほか、「あずさ」は9両と12両が混在しています。

12両下り1号,3号,5号,13号,17号,29号,33号,43号,45号,49号,53号11列車
12両上り4号,6号,10号,22号,26号,34号,44号,46号,50号,54号,60号11列車
9両下り9号,19号,21号,25号,37号,41号,55号7列車
9両上り14号,16号,18号,30号,38号,42号,58号7列車
緑字は「あずさ」+「富士回遊」のため大月以西9両赤字は今回「かいじ」化

朝の甲府出庫列車が1本増加していますが、従来から午後出庫の運用があったため、甲府停泊は長年続く4運用体制を維持するものと見られます。「かいじ43号」は「かいじ58号」へ折り返しとなることが想像でき、E353系の稼働が一番多い時間帯が19時台であることを加味すると、基本編成1運用の削減効果が期待できます。

深夜帯の所要数減少・「かいじ2号」運転時刻前倒しにより、構成次第では従来の幕張1・新宿1・三鷹3・拝島1の都心側停泊の1運用削減が可能となったようにも見えます。ただし、9両・12両の違いによる運用都合で都心側では段落としの処理がされるため、現時点では断言はできません。

E257系は2021年度にカラーリング変更を受けて以降「あずさ」「かいじ」で使用されておらず、2021年末の臨時列車が初登板となる予定です。今後の設定に暗雲が立ち込めている状態と言えますので、年末年始の“里帰り”をしっかりと見届けたいところです。

このほか、編成の減車=付属編成の動向については言及されておらず、動向予想は難しいところです。

基本編成の臨時列車を細やかに増やす対応とするのか、これまで設定されていなかった特定日のみ12両の運用が新設されているのか、そもそも減車は行わないのか……今後の情報に注目したいところです。

E353系の付属編成は、特急「富士回遊」での運用などに対応するためバリアフリー設備を有しており、単独での運用も可能な設計です。何らかの活用に期待したいところです。

地理歴史小噺:中央線特急の語源

「あずさ」の語源となった梓川は、飛騨山脈槍ヶ岳〜上高地〜梓湖=奈川渡ダムまでの区間を指します。梓湖で奈良井川と合流し犀川となり、長野市で千曲川と合流、新潟県に入ると信濃川と名称が変わります。流路だけで言えばアルピコ交通上高地線に近いものとなっており、あずさ号の松本駅発着では梓川を見ることは出来ず、大糸線直通便の島高松〜梓橋間や、篠ノ井線で北松本〜田沢間に乗車しない限り見ることは出来ません。

「かいじ」の語源となった甲斐路は、これは現在の甲州街道=国道20号ではなく、御殿場〜河口湖〜笛吹市を結ぶ国道137号,138号に相当する経路と推定されており、こちらもかいじ号の運転経路とは少し異なります。鎌倉時代に幕府との行き来で発展したほか、東海道の支線として歴史書物の初出は律令制の頃(奈良〜平安時代)とされており、歴史は甲州街道・中央道・中央本線のルートより遥かに長いものです。

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参考:E353系踏切事故関連の動き

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