美濃太田駅のコンコースに戻り、KIOSKでこの先の飲み物を調達。何か美味しそうなものでもあればとあまり広くない店内を探してみたが、極ありふれた必要最低限の品物が揃うKIOSKだった。
美濃太田駅は開業100年。大正時代から続く歴史ある立派な駅である。確かに高山本線だけでなく、中央本線へ向かう太多線。北陸本線の福井を目指したものの赤字ローカル線として国鉄時代に指定され、何とも中途半端な北濃という場所で終点を迎えてしまった越美南線(現:長良川鉄道)。
この越美南線が福井からの越美北線と繋がっていれば名古屋と福井、さらには金沢へのバイパスルートになり、それなりに賑わっていたのではないかと思うと残念である。
とはいえ、4方向3路線が交わる駅なので駅構内は広い。
美濃太田からは普通列車で鵜沼まで戻る。
太多線から直通の電車の様な顔つきをしたロングシートタイプのキハ25に乗る。
出来れば短い時間でもクロスシートのキハ25かキハ75に乗りたかった。
10分程で鵜沼に到着。
乗って来た列車は行き違いをするらしく少々止まる。
行き違い列車は、私が乗りたかったキハ75の太多線直通の多治見行が入線。
キハ75は2015年の武豊線電化に伴いこの地に転属してきた車両。同型車両は名古屋から鳥羽へ向かう快速みえ号としても活躍するディーゼルカー。今朝乗って来たキハ85に負けず劣らずの性能を持つが、ここではそのハイスペック、ハイパワーは持て余し気味のようだ。
鵜沼空中歩道と名のついた長い通路を通り抜け名鉄新鵜沼駅前のロータリーに出る。
名鉄側の駅舎は立派な駅舎で好感がもてる。
次に乗る列車まで時間があるので駅前を散策。
犬山側へ進み新鵜沼駅構内を眺める。
ここを訪れたのは20年振りか。確か、道路になっている部分にJR高山本線へ繋がる連絡線があり、名鉄からの直通特急『北アルプス』号が1日1往復走っていた。中々の急カーブで新鵜沼を掠めて通過していたので、名鉄新鵜沼駅、JR鵜沼駅には止まらない。というか止まれない。その様子を撮りに来て以来の訪問である。
もう一つは木曾川を渡る鉄橋。
今では普通に列車が鉄橋を走っているだけだが、かつては右側に道路用の橋がなく、この列車が走る橋が併用橋として機能しており、ちょこまかと動く小さな車に気を遣いながら鉄道の大きな車体が名鉄名物『どけよ〜、どけよ〜』のミュージックホーンを鳴らしながらゆっくりと走る様は中々の見応えがあった。
鉄橋自体も年季が入っており、横から眺めても見るに値する綺麗な橋ではあるが、真ん中の橋が工事をしていたので、今回は中を覗くだけにする。
堂々の8両編成の新鵜沼行が橋を渡り、新鵜沼駅構内へ入って行く。
時間があればずーっと見ていられる光景だ。
ここを7000系パノラマカーや3400系いもむしなどの名車が走っていたのも今は昔。
駅に戻り、趣のある駅舎の改札を抜けると、留置されているパノラマスーパーと先程犬山橋を渡り終えて来たパノラマスーパーが止まっているのが見えた。
次に乗るのは3番線から発車する一部特別車つまり座席指定車を繋いだ豊橋行の特急。
1200系がリニューアルされてだいぶ月日が経つが、リニューアル後に生で見るのは初めてだが、素直にカッコ良いと思う。
犬山橋の見学に時間を取りすぎたので、発車まであまり時間がないので外観を眺めるのもそこそこにして乗り込む事にする。
運転席は前にせり出した台の下にあるので、何も邪魔されるものはなく、また高さもあり非常に眺めが良い。
ただ、両端の座席は斜めの柱が少し邪魔になるが、これは仕方がない。
特急は2種類の車両で運転されており、2200系と呼ばれる新しいがパノラマではない車両と、今回乗る1200系『パノラマスーパー』とがある。
ネットでチケットを購入する際に展望室の有無が表示されているので、どの列車が1200系がわかり、座席も指定できるので展望席に座りたい場合は確実に押さえることができる。
新鵜沼駅を発車すると直ぐに先程見学した犬山橋を渡る。
広い視界で鉄骨の造形美に圧倒されながら、名鉄特急の旅が始まる。
犬山では広見線、小牧線、犬山線と3線が分岐するので中々見応えのある複雑な構内だったが、見惚れていると、つい撮り忘れてしまった。
柏森に名古屋市交通局鶴舞線に乗り入れる名鉄100系が留置されているのを横目に、名古屋へ向けて人が増えた狭いホームをすり抜けながらの通過は迫力があり、恐ろしくもある。
岐阜から来た名古屋本線、今、私が乗っている犬山線、岐阜・犬山を短絡する電留線の3線で構成されたデルタ線、枇杷島分岐点も名鉄名物で見応えのある場所である。
枇杷島分岐点を過ぎると名古屋駅の高層ビル群が前から迫り、右からはJR東海道本線、東海道新幹線が並走し、この列車は左に留置中の名鉄1200系、前からは中部国際空港からの空港特急『ミュースカイ』、JR線上にはキハ85特急『ワイドビューひだ』、さらにその奥には関西本線へ向かうDF200ディーゼル機関車の牽くタンク車が並走し、非常に賑やかな名古屋駅入線となった。
日本一忙しい地下駅と言われる名鉄名古屋駅をくぐり抜け、乗務員交替のある神宮前駅まで乗り、新鵜沼駅から30分程の旅を終える。
展望席下から聞こえるハキハキとした指差呼称や、交替時の動作といい、見ていて非常に気持ちの良い運転士氏だったので、安心して展望席からの旅を楽しめたことは特筆に値すると思う。
ここで少しばかり名鉄車両を眺める。
名鉄といえば『スカーレット』のボディが印象的だったが、新車や塗り替えなどでそれも徐々に数を減らしているようだ。
ちょっと前に登場した通勤車両。
最近登場した通勤車両。
展望できない特急車両の2200系。
本線を名鉄伝統のスカーレット1色で走る2両編成の普通列車。
多種多様な名鉄車両をもっと眺めていたかったが、お腹の空き具合と次に乗る列車の時間的な兼ね合いもあって後ろ髪を引かれる想いで神宮前駅を後にする。