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チカラン電化開業から4年越しの電留線完成

去る12月14日、チカラン電留線の完成に合わせて電車入線試験が実施されました。入線試験に充当されたのは12連の205系横浜線H17+H15編成。チカラン電化開業以来、日中にチカランに到着した列車は全て折り返し運転で、そのまま留置される運用は存在しない為、H17+H15編成はマンガライ~チカラン間の臨時回送として送り込まれています。




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日中、チカラン駅に電車2本が停車しているのもなかなか貴重
右が入線試験の為に送り込まれてきたH17+H15

ブカシ線ブカシ~チカラン間は2017年10月に円借款によって開業していますが、当時の進捗率はざっと6割~7割ほど。完成と言うには程遠い状況であり、借款供与期限の都合から、とりあえず架線だけ張って無理やり開業させた状態でした。2001年に借款契約、2012年着工、そして2017年に未完のまま終了というあり得ないプロジェクトであり、取り仕切っていた某商事すら曰くつきの案件と言う程でした。まさにJICAクオリティを突き進んでいました。いくら、日本式信号を導入したとは言え、ブカシ~チカラン約17㎞の電化に5年もかかると言うのは・・・。

今一度おさらいすると、2017年10月時点で完成していたのは
・ブカシ~チカラン間の電化及び信号設備一式
・ブカシティムール駅
・チビトゥン駅
・チカラン駅(約4割)

のみでした。とにかく、そこら中が暫定供用だらけの中でのチカラン開業でした。その後は、インドネシア予算とインドネシア企業による施工に切り替わり、残る工事が進められました。要するにインドネシアからしたら、信号さえ日本から入れてもらえば、あとは自前で出来るわけで、これこそが曰く付きと呼ばれるゆえんです。インドネシア自らタイムアウトにさせることで、日本から押し付けられた余計なお金を借りずに済ませたという形です。

で、電化開業後は以下の工事が進められました。
・タンブン駅(進捗4割ほどで工事休止)
・チカラン駅電車線側(2020年5月20日供用開始)
・チカラン駅列車線側(2021年9月1日供用開始)
・ブカシ駅電車線側(2021年11月21日供用開始)
・ブカシ駅列車線側(2021年11月着工)
・チカラン留置線と付帯する変電所建設(2021年12月14日完成)

これまでも逐一こちらで報告してきましたが、こうしてみるといよいよ完全な形での完成が近づいてきていることがわかります(ブカシ駅の列車線側はもう少しかかりそうですが)。ただ、不思議なのはタンブン駅の特に上りホームの工事が、ここ1年半以上完全に止まってしまっていることです。


チカラン駅はこの1年ほどで一気に完成を迎えましたが、
タンブン駅は上記記事内の画像の状態のまま変化がありません・・・

よほどのことが無い限り、チカランなどわざわざ来るようなところではないですから、おそらく今回の訪問は上記記事の為に訪れた今年の1月以来になるでしょう。9月に列車線側が完成した際には取材していませんので、こちらも合わせて紹介します。

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担当者が何やら打ち合わせ中

マンガライからの送り込み回送後続のチカラン行きで追いかけて来たところ、試験列車はまだチカラン1番線に停車中。現在、1・2番線は基本的に走る貧民窟、プルワカルタ鈍行の発着専用となっていますので、日中の1番線に電車が止まっているのは、これまたレアなのかもしれません。まだ、しばらく発車しそうもないですから、先に列車線側を観察してから外に出ましょう。

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おお、完成していますね

この前まで、ブツ切れだったコンコース、青空がそのまま広がっていたところは、当然ながら立派な列車線側の改札口になっていました。

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改札内を覗くと・・・

まだ、営業用の機材、物品は搬入されておらず、殺風景な駅構内ですが、ホームへ降りるエスカレーターの看板には、KA Antar Kota(長距離特急・急行)、KA Lokalと書かれています。現在、チカランは全ての特急・急行が通過しており、KAIの列車は当駅始発の普通列車のみが設定されていますが、複々線完成後は、一部、又は全ての長距離列車が停車することになります。また、現在は電車(KCI)側から発着している普通列車も、今後はKAI管轄の列車線側から発着することになるようです。まあ、そうすればKCI改札内の変なセパレートは解消しますね。

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ここに、チェックイン機がずらっと設置されるのでしょうね

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列車線ホーム(既に通過のみですが、供用開始されています)
当然、架線柱はありません

そんなわけで、ちょっとした浦島太郎状態を味わいつつ、外に出て電留線に向かいます。思えば、チカランなんて、いつも着発で戻っていましたから、駅前ロータリーより先に出るのって初めてですね。ただ暑いだけで、何もないですからね、チカラン。

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踏切からチカラン駅を望む

気になっていた配線ですが、このように収まったのですね。電車線2線のうち、直接電留線に繋がるのは1・2番線側のみであり、3・4番線側はすぐに列車線と合流しています。結局、線路側に飛び出た「森」の部分の買収は諦めた、ということでしょうか。ですので、3・4番線から電留線への出入りは出来ません。あまりにも不自然な形ですよね。


チカラン
配線図

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電留線側を望む

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電留線は3本
12連入るのか?と思いましたが、ギリギリ入りました
一番右だけは10連が限度かな

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H17+H15が入線してきました

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5㎞/h以下の最徐行とかで、通過するのに相当かかり、
踏切前は大渋滞!!

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ようやく入線
KAI職員の他、運輸省や施工会社の人間も見学しに来ています

とりあえず、無事入線確認が取れましたが、このまま電留線が供用開始されるかは未知数です。現在、チカラン滞泊は3本設定されていますが、列車線が完成したことで3本とも駅留置で賄えてしまいます。電留線部分に柵も何もなく、外から筒抜けですから、今後KCIが予算を付けて柵の設置、また必要に応じて職員詰め所を建設しなければなりません。増発しようにも車両が足りない中、これ以上チカラン滞泊が増えるのは当面ないと見えます。チピナン機関区の如く、使われないまま、草ぼうぼうということになってしまうのかもしれません・・・。

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